chapter52 見えている者と見えていない者
部屋に冷たい空気を打ち破るように、鷹橋さんが口を開いた。
「なるほどな、速水の言うことは一理ある。
そもそも我々と違い、“ちゃんと”周りが見えているようだ。
だから、感情的にならずに状況を分析できるのだろう。
小説はただの娯楽だと思ってたんだが――“知識は武器”とはよく言ったものだ。
お前がいなければ俺たちは、この場にいなかった可能性が高い」
悔しそうな表情でそう言った。
「おっさんなに言って――」
犀田さんが突っかかるが……
「現に、彼は何度も我々を救っている。
魔法のやり方。
あの化物との戦闘。
騎士たちへの対応。
危険を犯しながら、足手まといの我々を守り、戦いを勝利へ導いた。
その事実は、変わらん」
鷹橋さんは言葉を遮り続けた。
(ん? 化物?)
ぼくはその言葉にひっかかりを覚えるも、すぐに理解した。
(あ、ゴブリンのことか)
そんなことを考えてるぼくをよそに――
「感情で動いても何も変わらん。 今は速水の意見を聞いてから、俺たちがどうするべきか決めるべきだ」
そこで一度言葉を切り、鷹橋さんは犀田さんを見る。
「……ところで犀田。 ここが会社でなくてよかったな。 今の発言、停職ものだぞ」
そう言われ、犀田さんは睨みつけたまま動かなかった。
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