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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第六章

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chapter52 見えている者と見えていない者

部屋に冷たい空気を打ち破るように、鷹橋さんが口を開いた。


「なるほどな、速水の言うことは一理ある。

そもそも我々と違い、“ちゃんと”周りが見えているようだ。

だから、感情的にならずに状況を分析できるのだろう。

小説はただの娯楽だと思ってたんだが――“知識は武器”とはよく言ったものだ。

お前がいなければ俺たちは、この場にいなかった可能性が高い」


悔しそうな表情でそう言った。


「おっさんなに言って――」


犀田さんが突っかかるが……


「現に、彼は何度も我々を救っている。

魔法のやり方。

あの化物との戦闘。

騎士たちへの対応。

危険を犯しながら、足手まといの我々を守り、戦いを勝利へ導いた。

その事実は、変わらん」


鷹橋さんは言葉を遮り続けた。


(ん? 化物?)


ぼくはその言葉にひっかかりを覚えるも、すぐに理解した。


(あ、ゴブリンのことか)


そんなことを考えてるぼくをよそに――


「感情で動いても何も変わらん。 今は速水の意見を聞いてから、俺たちがどうするべきか決めるべきだ」


そこで一度言葉を切り、鷹橋さんは犀田さんを見る。


「……ところで犀田。 ここが会社でなくてよかったな。 今の発言、停職ものだぞ」


そう言われ、犀田さんは睨みつけたまま動かなかった。

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