chapter51 現実の壁
サ……ミユキさんに怒られ、ぼくは素直に受け入れることにした。
これは、ぼくの配慮不足だ。
“サギ”と言われて気分のいいものではないよな。
「わかった、気をつけるよ」
ぼくはそう返して、四人を落ち着かせる方法を考えようとした、その時――鳩川さんが声を上げた。
「いいじゃん……そんなの、どうでも……」
「おい、鳩川!! 何言ってんだよ!!」
「そうよ、あんた!! 悔しくないの!?」
犀田さんとミユキさんが食ってかかる。
鳩川さんはゆっくりと立ち上がると、机を叩いた。
乾いた音が部屋に響く。
「日本に帰れないんだよ!!
こんな所にいたくないのに!!
……もう嫌だ……」
そう言うと、そのまま力が抜けたように、うずくまった。
「本当に帰れないのですか?」
カザクラさんが小さく手を上げながら、震えた声で言った。
その言葉に、視線がぼくへ集まる。
ぼくは小さくため息をつき、言葉を選んだ。
「日本に“帰れない”とは、一言も言っていません」
そう口を開くと、鳩川さんが勢いよく顔を上げた。
涙に濡れた目だった。
「ただ――可能性としては、かなり低いというだけです」
続けて、ぼくは説明する。
「これはラノベを読んでいる人には常識みたいなものですが、世界を渡るには“莫大な魔力と、それを制御する術式”が必要なんです。
理論上は可能でしょう。
ぼくがこの世界に呼ばれた事実もあります。
ですが、それを実行できるかは別の話です。
少なくとも現時点では、不可能です」
言い終えると、部屋は再び静まり返った。
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