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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第六章

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chapter51 現実の壁

サ……ミユキさんに怒られ、ぼくは素直に受け入れることにした。

これは、ぼくの配慮不足だ。

“サギ”と言われて気分のいいものではないよな。


「わかった、気をつけるよ」


ぼくはそう返して、四人を落ち着かせる方法を考えようとした、その時――鳩川さんが声を上げた。


「いいじゃん……そんなの、どうでも……」


「おい、鳩川!! 何言ってんだよ!!」


「そうよ、あんた!! 悔しくないの!?」


犀田さんとミユキさんが食ってかかる。

鳩川さんはゆっくりと立ち上がると、机を叩いた。

乾いた音が部屋に響く。


「日本に帰れないんだよ!!

こんな所にいたくないのに!!

……もう嫌だ……」


そう言うと、そのまま力が抜けたように、うずくまった。


「本当に帰れないのですか?」


カザクラさんが小さく手を上げながら、震えた声で言った。

その言葉に、視線がぼくへ集まる。

ぼくは小さくため息をつき、言葉を選んだ。


「日本に“帰れない”とは、一言も言っていません」


そう口を開くと、鳩川さんが勢いよく顔を上げた。

涙に濡れた目だった。


「ただ――可能性としては、かなり低いというだけです」


続けて、ぼくは説明する。


「これはラノベを読んでいる人には常識みたいなものですが、世界を渡るには“莫大な魔力と、それを制御する術式”が必要なんです。

理論上は可能でしょう。

ぼくがこの世界に呼ばれた事実もあります。

ですが、それを実行できるかは別の話です。

少なくとも現時点では、不可能です」


言い終えると、部屋は再び静まり返った。

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