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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第六章

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chapter50 広がる不信

巳島くんとの話が終わり、部屋に沈黙が落ちる。

冷たい空気が流れる中――それを裂いたのは、サギジマさんの声だった。


「あの騎士たち、超ムカつくんですけど!? なんなの? あの言い方!! 私たちのこと、奴隷みたいに見てさ! 人権侵害じゃん!!」


思い出したように、サギジマさんが声を荒げる。

言いたいことはわかる。

実際、騎士たちの態度は威圧的だった。

“騎士”というわりには不快感が強く、とても物語に出てくるような騎士には見えなかった。

そんなことを考えていると、犀田さんが苛立ったように続けた。


「ホントだよな!! あいつら、最初からオレたちを舐めてやがる……!」


「確かに、あの人たちの言葉には私も不快感を覚えました」


海蛇田まからださんも眉を寄せながら同調する。


「俺も……ああいう言い方はどうかと思います」


コンドウさんも静かに不満を口にした。

他のみんなは口には出さない。

だが、思うところはあるのだろう。

部屋の空気には、騎士たちへの不満と不信感が広がりつつあった。

――けれど。


「言いたいことはわかる。けど――感情的になるのは、相手の思うツボだと思うよ」


広がりかけた空気を抑えるように、ぼくは四人を窘めた。


「あ?速水はあいつらの味方するのかよ!?」


「はやみんは、ムカつかないの?あいつら」


犀田さんとサギジマさんが突っかかってきた。

相当頭に来てるのだろう。

二人とも、顔が赤い。


「ムカつくよ、でもね。

感情的になるのは良くないって言ったんだ」


ぼくは二人に言い返した。


「どういう意味です?」


海蛇田まからださんが“理解できない”という顔で聞きてきた。


(普段、冷静な彼を怒らせるなんてそうそうできるもんではないよ。 帝国の騎士さんよ。)


「まずは、落ち着きましょう。

犀田さん、海蛇田まからださん、サギジマさ――」


そう言おうとしたら、言葉を遮られた。


「あたしの名字いうのやめて!!」


サギジマさんがさらに強い声で叫んだ。


「その呼び名嫌いなんだよね。

はやみん以外のみんなにも言うけどさ、あたしのことを呼ぶときは、みゆきって呼んで!!」


その言葉と共に部屋にはまた静寂が訪れた。

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