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迷宮に囚われた男  作者: 火川蓮
第六章

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chapter47 ソウヤの思惑

みんなの戦闘は無事に終わった。

探索魔法に引っかかったのは、全部ゴブリンだった。

ぼくは二匹を倒し、他のメンバーはそれぞれ一匹ずつ倒した。


魔石は二十二個集まっている。

騎士の二人はただ付いてくるだけで、何かする様子はない。

表情が歪んでいるのが、不快に思えるくらいだ。


ぼくは気づかれないように、ゴブリンの片耳をこっそり切り落とし、アイテムボックスに収納した。

ラノベの知識で、魔物の討伐部位は把握済みだ。

付け入る隙は必ずある。チャンスを待とう――そう考え、みんなに改めて説明することにした。


「えー、みなさん。この世界は危険に溢れています。

自分の身は自分で守らなければなりません。

幸い、ぼくたちは魔法があります。


最初は使いにくいかもしれませんが、慣れれば簡単に発動できるようになります。

これからは、この世界で生きていくために頑張らないといけません」


「本当に日本に帰れないの?」


鳩川さんが怯えたように言った。

だから、はっきり告げる。


「日本に帰る希望は捨ててください。

少なくとも現状では不可能です。

足りないものが多すぎますから」


何人かが崩れるように地面に座る。


「ちょっと速水くん、もう少し言い方があるでしょ!?」


熊沢さんが突っかかってくる。


「“事実”ですから。希望に縋り甘え、現実を直視しないよりかは、現実と向き合い、“可能性”を捨てないように生きるほうがマシだと思いますよ」


ぼくはそう言い放つ。

世界を渡るには、桁違いの魔力と次元を越える理論、

そしてそれを制御する術式が必要だ。

どれも今のぼくたちには欠けている――つまり、無理だ。


日本に帰るという幻想に縛られ、生きる希望が潰えるよりは、

開き直ってこの世界で生きて行くほうが、まだ希望がある。

みんなが絶望の表情を浮かべる中、ぼくはそう考えていた。

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