chapter47 ソウヤの思惑
みんなの戦闘は無事に終わった。
探索魔法に引っかかったのは、全部ゴブリンだった。
ぼくは二匹を倒し、他のメンバーはそれぞれ一匹ずつ倒した。
魔石は二十二個集まっている。
騎士の二人はただ付いてくるだけで、何かする様子はない。
表情が歪んでいるのが、不快に思えるくらいだ。
ぼくは気づかれないように、ゴブリンの片耳をこっそり切り落とし、アイテムボックスに収納した。
ラノベの知識で、魔物の討伐部位は把握済みだ。
付け入る隙は必ずある。チャンスを待とう――そう考え、みんなに改めて説明することにした。
「えー、みなさん。この世界は危険に溢れています。
自分の身は自分で守らなければなりません。
幸い、ぼくたちは魔法があります。
最初は使いにくいかもしれませんが、慣れれば簡単に発動できるようになります。
これからは、この世界で生きていくために頑張らないといけません」
「本当に日本に帰れないの?」
鳩川さんが怯えたように言った。
だから、はっきり告げる。
「日本に帰る希望は捨ててください。
少なくとも現状では不可能です。
足りないものが多すぎますから」
何人かが崩れるように地面に座る。
「ちょっと速水くん、もう少し言い方があるでしょ!?」
熊沢さんが突っかかってくる。
「“事実”ですから。希望に縋り甘え、現実を直視しないよりかは、現実と向き合い、“可能性”を捨てないように生きるほうがマシだと思いますよ」
ぼくはそう言い放つ。
世界を渡るには、桁違いの魔力と次元を越える理論、
そしてそれを制御する術式が必要だ。
どれも今のぼくたちには欠けている――つまり、無理だ。
日本に帰るという幻想に縛られ、生きる希望が潰えるよりは、
開き直ってこの世界で生きて行くほうが、まだ希望がある。
みんなが絶望の表情を浮かべる中、ぼくはそう考えていた。
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