第5話「恋と甘酢とカオスの都フルーナ!」
到着早々、だし男は目を疑った。
「おいポンヌ……この街、なんかおかしくないか……?」
「ようやく気づいた?」
目の前に広がる街――フルーナは、
伝統ある“恋と甘酢の聖地”のはずだった。
だが今そこにあったのは――
・街の門に立つ金の像《初代恋将軍・ドロドロ様》
・路地のあちこちに掲げられた《恋愛指南標語》(例:「甘酢の味は距離感!」)
・お見合い屋台が並ぶ“恋の横丁”
・告白失敗者の涙を集めて作った《失恋ドレッシング博物館》
「えっ……なにこれ? 恋の町って、もっと……こう、情緒とか静謐さとか……」
「ここはね、“恋に失敗した人々が作った、リベンジ型恋愛都市”よ」
「背景がエグい!」
そのとき、白馬に乗った市長らしき男が現れる。
「おお、ポン酢の女神ポンヌ様! そして味谷だし男殿!」
「え、俺知られてるの!? なんで!?」
「《大恋愛神酢祭》の特別ゲストとしてお招き申しておりました!」
「出たよ、異世界名物“勝手に祭りに巻き込まれるイベント”!」
ポンヌ(心の声):
(……この街、想像の5倍は頭が悪い。いい意味で)
市長が続ける。
「今夜は《神酢婚活バトル》! 勝ち抜いた者には“伝説の恋酢”が授けられる!」
「いや、伝説の恋酢って何!? 味が伝説なの!? 効果が伝説なの!?」
「安心して。だいたい両方よ」
「ポンヌ、お前もツッコミ慣れしすぎじゃない!?」
だし男は混乱しながらも、街の熱気に飲まれていく。
恋の都、フルーナ――
かつては誰かが恋に敗れ、それでも誰かが立ち上がって作った街。
誰もが恋に傷つきながら、笑ってそれを乗り越えようとする、ちょっとおかしな、でも妙にあたたかい場所。
ポンヌ(心の声):
(……もしかしたら、この街のどこかで、だし男が“本当に帰りたくない”と思う何かを見つけるかもしれない)
(それが“私”だったら……どうしよう)
だし男がふと、甘酢の香る風に顔を向けた。
「……なんかさ、ツッコミまくってるけど……」
「うん」
「こういうのも、悪くないな」
「……へぇ?」
ポンヌ(心の声):
(……ずるいよ、そういうの)
――夜が近づき、神酢婚活バトルの幕が開く。
街は光に包まれ、恋とツッコミと甘酢が、はじけるように交錯する。
☆次回予告:だし男が強制参加させられる《神酢婚活バトル》開幕です!お楽しみに!




