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辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

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第273話 王城


 マスターに薦められた通り、王城見学に行ってみたのだが、色々と凄かった。

 遠目から漠然と見るのとは訳が違い、間近で見る城の迫力は何とも言い表せぬもの。


 大きくとも雑ではなく、造りが細かいことにも圧倒されたし、城を守る兵士の数も凄かった。

 中庭までしか入れなかったのだが、それでも国で一番偉い人物が住んでいるというのを感じ取れたし、素直に来てよかったと思えた場所だった。


「王城、凄かったなぁ! 私もあんな大きなところに住んでみたい!」

「お姫様は女の子の夢ですもんね。私も憧れちゃいます」

「凄かったが、住んでみたいとはならなかったな。掃除もそうだが、管理するのが大変そうすぎる」

「確かに管理は大変そうだけど……グレアムは夢がない!」

「管理とかを考えないのが夢ですもんね」


 割と真っ先に思い浮かぶことを言ったつもりなのだが、アオイとジーニアから苦言を呈されてしまった。

 立場などを考えると、気軽に外出もできないだろうし、何にせよ住みたいとは全く思わないな。


 そんなタラレバについて語りながら、俺たちはマスターに薦められた『オクバル』へとやってきた。

 王城は期待していなかった部分があったが、『オクバル』は期待しかしていない。


 王都に住む人しか知らない穴場スポットを想像していたが、金持ちの多く集まるであろう北のエリアに店があるためか、外観から凄く立派な造り。

 客足もかなり多そうだし、俺たちが知らなかっただけで意外と知られている店なのかもしれない。


「ここが『オクバル』ですか? 何だか高級店って感じの外装ですね」

「俺たちが強いことを確認してから薦めてくれた店だったし、高級店なのかもしれないな」

「道具屋の高級店って初めてかも! 何が売ってるのか想像つかないし、めちゃくちゃ楽しみ!」


 この店のことを知らなければ、絶対に素通りしていたであろう外観の建物の中に入る。

 王城のせいで妙にハードルが上がってしまっているが、一度冷静になってから物色することにした。


 店に入ってまず見えたのは、ポーションの瓶。

 回復ポーションの割合が多いものの、珍しいポーションも置かれている。


「グレアムさん、見てください。超級ポーションが売ってますよ」

「うわっ! 私、生で見るの初めてかも! 超級ポーションって存在していたんだ!」


 ジーニアが指さしたのは、真っ赤に燃えるような色合いの回復ポーション。

 俺も特級ポーションまでしか見たことがなかったのだが、初級→中級→上級→特級とランクが上がるにつれて、ポーションの色は薄緑から濃さを増していく。


 そして、超級ポーションの明確な基準がこの赤色。

 着色しているのではと疑ってしまうほどの色合いだけど、混じり気のない回復ポーションだということは、長年薬草を探し続けていた俺だから分かる。


「俺も初めて見た。色合いが基準ということもあり、効能では超級ポーション並みの効果を持っていた特級ポーションもあったんだが、この赤色だけは意味が分からなかったからな」

「確か、ブラッドフラワーが使われているからだったはず! この超級ポーションが防犯対策すらされずに置かれているんだもんなぁー!」

「これは上級者向けの道具屋と言われても納得がいきますね」


 上げていたハードルを優に超えるファーストインプレッション。

 これはマスターが薦めてきたのも納得だな。


「ねね! こっち見てよ! 使い捨て魔道具が売ってる!」

「使い捨て魔道具ってなんだ? 聞いたこともないぞ」

「私も見るのは初めてだけど、最近流行ってるって聞いた! 火炎瓶を改良して、魔法の力で火炎の勢いを増したり、煙玉を風魔法で爆煙にしたりするんだって!」

「へー。そんな魔道具も出回っているんですね」


 便利アイテムに魔法の力を加えて改良した品って感じか。

 見た感じは、大きめの火炎瓶という印象で魔道具感はない。


 煙玉も同様で、片手でようやく掴めるくらいの大きさになっているが、見た目は煙玉でしかないんだよな。

 魔道具にするのにどれほどの技量が必要なのか分からないが、これは小さな思いつきの勝利だと思う。


「値段も高めではあるが、威力によっては全然手が出せる金額だな」

「額で言うと、十個分くらいかな? 三倍くらいの威力になってるなら、買う人はガンガンいると思う!」

「二倍でも十分だと思うぞ。実際に流行ってるってことはそれくらいの威力は実現できているんだろうな」


 まぁ俺は魔法もある程度扱えるため、火炎瓶にも煙玉にも魅力は感じないが、ジーニアとアオイにはお守りとして持たせておいてもいいかもしれないと思うくらいには惹かれたアイテム。

 というか、単純に威力も知りたいし、両方購入して一つずつ持ってもらってもいいかもしれない。


「ねぇ、これ欲しいかも! 値段的にも買えるよね?」

「俺もちょうど買ってもいいかもなと思っていた。俺には不要だが、ジーニアとアオイが一個ずつ所持しておくのはアリだからな」

「入店してすぐに購入したいものが見つかるなんて、凄いお店ですね。さすがはマスターのおすすめなだけあります」


 そんな感想を言い合いながら、使い捨て魔道具である火炎瓶と煙玉を買い物かごに入れた俺たちは、更に店内を見て回ることにした。

 これはまだまだ面白いものが見つかる予感がするな。


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

本作のコミカライズ版の第一巻が8/23に発売されます!!!

担当してくださった村下先生が漫画を描いてくださっており、web版を読んだ方でも楽しめるような素晴らしい作品に仕上がっております!

どうかお手に取っていただけたら幸いです<(_ _)>ペコ

↓の画像をタップしていただくと、カドコミに飛びます!


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