第272話 おすすめの店
注文した飲み物が届いた。
俺のは牛乳のような真っ白な飲み物。
ジーニアは白みがかったオレンジ色の飲み物で、アオイのは真っ黄色の飲み物となっている。
カフェオレだから無難だと思っていたが、ここまで真っ白だと少し不安になってくるな。
まぁ一番怪しい色をしているのは、ダントツでアオイの飲み物だが。
「すっごい! 真っ黄色なんだけど!」
「なんかシュワシュワもしてますね。私のは普通のミックスオレって感じで少し安心しました」
「俺のはカフェオレにしては白すぎる気がする。まぁカフェオレだから、変な味ではないと思うが」
各々感想を述べてから、提供された飲み物を口にした。
俺が頼んだ白すぎるカフェオレだったが……味は美味しいカフェオレ。
ミルク感は強いものの、しっかりとコーヒーの味も感じられるし美味しい。
何だか面白い飲み物だな。
「私のは普通に美味しいミックスオレですね。アオイちゃんのはどうですか?」
「シュワシュワで美味しいよ! 味もめっちゃ好き!」
「どんな味なんだ? 見た目からじゃ想像もつかない」
「えー? 元気になる……味?」
アオイの抽象的すぎる感想に、俺もジーニアも首を傾げる。
これ以上の表現もないようだし、飲んでみないと分からない。
「どう? 気に入ってもらえたかしら?」
「凄く美味しくて気に入りました! ここはバーなんですか?」
「ええ、夜はバーをやってるの。というか、バーがメインね」
「外観も雰囲気もバーだもんな。いい穴場を見つけた気分だ」
「そう言ってもらえてよかったわ。私は色々と詳しいから、困ったことがあったら聞いてね」
バーのマスターにしては若いと思っていたが、王都について詳しいのか。
これは色々と尋ねていいかもしれないな。
「そういうことなら色々と質問していいか? 俺たちは王都が二回目で、何も知らないんだ。行ったほうが良い店があれば教えてほしい」
「えっ、今回が二回目なの!? それでよくこの店に入ろうと思ったわね」
「まぁどこも賑わっているからな。怪しかったが、営業中と書いてあったから入ったんだ」
「不用心というかなんというか……。まぁ私にとってはありがたいお客さんなんだけども。えー、それでおすすめのお店を教えてほしいんだっけ?」
「ああ。あればでいいんだが、教えてもらえたら助かる」
どんなお店を紹介してもらえるのか楽しみだな。
センスのいい飲み物ばかりだったし、王都に詳しいとなれば期待してしまう。
「もちろん教えるよ。誰もが面白いと思えるものでいえば、王城はおすすめだね。夕方までは中庭を一般開放しているから、興味があれば一度は見てもいいかもね。あとは……お客さんたちの目的によって変わるわね」
王城は素直に面白そう。
王都では常に視界に入る王城だが、行ってみようとは思わなかったもんな。
まぁ入れないと思っていたのもあるが。
「王城に入れるなら行ってみたい!」
「私もですね。見てみたいです」
「俺も同意見だから、薦められた通り王城には行ってみようと思う。それで、俺たちの目的なんだが、道具屋を探しているんだ。明日からダンジョンに潜ろうと思っていてな」
「ということは、お客さんたちは冒険者なのね。観光客だとばかり思っていたわ。あなたたちの強さや懐事情はどうなのかしら?」
「自分で言うのもアレだが、それなりに強いと思う。金銭的な余裕も割とある方だ。馬鹿みたいに高いものは買えないが」
俺がそう答えた瞬間、バーのマスターの目の色が変わった気がした。
「……なるほど。お客さんたちは冒険者ギルドのギルド長会議の護衛で来たのね。それなら、このお店にやってきた胆力にも納得だわ」
「えっ!? なんで分かったの!?」
俺が驚きを口にする前に、アオイが驚きの声をあげた。
こういうときに、真っ先に素直な反応をしてくれるのは助かる。
「冒険者ギルドのギルド長会議があることを知っていたら、それぐらいは簡単に推測できるわよ。バーの方でだけど、私のお店を贔屓にしてくれているギルド職員の方もいるから情報は入ってくるのよね」
「それでも、即座に結びつくのは凄いな」
「褒めてくれてありがとう。五大都市のギルド長の護衛ということは、めちゃくちゃ強い冒険者ってことよね。ということは……北東にある『オクバル』ってお店がおすすめよ。ララーナから紹介してもらったと言えば、色々とよくしてくれると思うわ」
「北東にある『オクバル』ってお店だな。教えてくれてありがとう。王城にも『オクバル』にも行ってみようと思う」
「どういたしまして。滞在中は、またここにも遊びに来てね」
「ああ。感想を伝えるがてら、必ずまた寄らせてもらう」
色々と当たりの店だったな。
『オクバル』がどんな店かも気になるところだが、それは行ってからのお楽しみでいいだろう。
俺たちはそれからもうしばらくゆっくりさせてもらってから、王城見学に向かったのだった。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
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