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モテモテ53

 二章スタートになります。


 二章の完結までは書き終えていますので、毎日一話以上投稿いたします。




「茂木君これはどういうこと?」


「ほんと! 説明してもらえるんだよね?」


「先輩酷いです!」


「えーっと。これはなんというか……」


 とあるファミレスにて、白石佳代(しらいしかよ)日野彩香(ひのさやか)黒笠雫(くろかさしずく)、三人の美少女から言い寄られ、ミジンコみたく縮んでいる俺は、清々しいまでの修羅場を迎えていた。


 俺は、モテモテの男。略してモテ男になるべく精進していた矢先、こんなトラブルに巻き込まれてしまった。


 自分で撒いた種な気もするが、モテる為に必要と判断したのだから仕方ない。


 なんで俺ばかりこんな目に合うのか……それは神のみぞ知るというところなのだろう。


 兎に角こんな修羅場に陥いってしまった理由をこれから長々とお話しする事になると思う。


 本当。いつになったらモテるんだよ!






 今日も今日とて離れ。


 俺の尻をひんやりとした椅子が包み込む。量産型のあいつに腰かけるとなんだか落ち着く。

 夕日に照らされながらそんなくだらない事ばかりを考えている。


 同じ空間に居ながらも、まるで別世界なのではないかと錯覚させる彼女の名前は飾霧かざきりノア。


 ソファに腰を据え優雅に小説を嗜んでいた。


 彼女はいつ見ても美しい。夕日に負けない青い瞳。純白の肌と整った顔。風にそよぐ銀髪。

 そして、なんといってもスラっとした足。


 全くこれじゃ誰が見たって女神じゃないか。


 見たままの感想を心に抱いていると、冷ややかな視線が一つ。


「何をジロジロ見ているのかしら?」


 先程。女神であると思われた人物からの言葉である。

 しかも、この後にくるであろう一言で彼女が女神ではなく魔王だという事が、俺以外の皆にも理解してもらえると思う。


 小説を閉じ机に置くと蔑むような瞳で、


「気持ちが悪い」


 ほらな? だから言わんこっちゃない。これがこいつの本性。


 そんな魔王と不本意ながら今日もモテる為の会議が行われていた。


「気持ちが悪いはもう聞き飽きた。それよりいい作戦はないのか?」


「そうね……」


 暫く無表情で考え込む飾霧はふと口を開く。


「とてもいいアイデアが浮かんだわ」


「どんなだ?」


 飾霧は自信満々な表情でピシッと人差し指を向けた。


「作戦名は、この際だから女友達の好感度上げちゃおう」


「待て待て、この際ってなんだ!」


 やはり、「〜〜ちゃおう」は気に入っているらしい。


「貴方。最近女友達できたわよね。だからこのチャンスに攻めた方がいいかと思ったのだけれど」


「確かにできたけど。あいつらは涼太の事が好きなんだって、お前も知ってるだろ」


 最近俺の親友が好きだと三人の美少女から告白されました。辛っ。


「関係無いわ。恋なんて一時の錯覚みたいなものよ。まだチャンスはあるわ」


「ないだろ」


 錯覚ね。俺だって錯覚だと思いたいよ。言ってもらいたいよ。「一体いつから、親友が好きだと錯覚していた?」って……


「あるわ。もし百歩譲ってないとしても。女に慣れる良い機会になるはずよ」


「それは一理あるな」


「なら黙って従いなさい」


 飾霧が言うように、俺はまだ女の子に免疫力がない方だと思う。

 この際。あの美少女三人を使って完全に克服するのもありだな。


「わかった」


 すんなりと頷く。

 すると、少し意外だったのか飾霧が訝しげな瞳を向けてくる。


「貴方にしては、物わかりがいいのね」


「学んだからな」


 彼女に逆らうと話が終わらないのである。だから俺はイエスマンになると決めている。


「そう。やっと人並みになれたのかしら」


「本当に一言余計なやつだな」


「性分なのよ」


「だろうな」


 いつものたわいのない言い合いを終え、一呼吸置いて飾霧は口を開く。


「まずは、白石佳代から好感度を上げてみなさい」


「具体的にはどう上げる?」


「そうね。悩み事の相談に乗ってあげるというのはどうかしら?」


「悩み事ねぇ……」


 確か、白石は涼太に会わせて以来会っていない。


 あの時、機関車みたいに顔から蒸気を上げて逃げたけど、多分あれが悩みみたいなもんだよな。


 一通り悩んだ末に椅子から立ち上がった。


「わかった。一応やってみるわ」


「頑張りなさい」


「お、おう」


 予想外の言葉にたじろぐ俺の姿を見て、小首を傾げる飾霧。


「違ったかしら?」


「いや、合ってるけど」


「そう。ならいいのだけど」


 何事もなかったように小説を手に取り読み始める。

 動揺した自分が情けなくなる程に雰囲気はしらけていた。


 にしても最初に会った時に比べれば大分あいつも変わったよな。


 その後会議は終わり。一人下校しているとあの言葉が耳に響く。


「頑張りなさい。ーーか」


 釈然としないが、応援してもらった以上は頑張りたい。

 その程度の事で浮かれてしまいそうなのは、俺がモテない男子高校生だからか……


 ポケットに手を入れ、ある物を取り出し鞄にしまうのだった。



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