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モテモテ52



 十年前、母親が入院している病院へと足を運んだ私は迷子になった。


 まだ小さかった頃の私は一人でいるのが寂しかった。


「ここどこ? パパー。パパどこー? もう、やだ……」


 私は必死に父親を探した。けれど見つからなかった。

 諦めた私はその場に座り込んで、俯いていた。

 すると、目の前から声が聞こえる。


「おい。そこの。なんで泣いてるんだ」


 そこにいたのは、私と同じくらいの男の子だった。私は答えた。


「そ、そこの。じゃあ、ない。ノア」


「じゃあ、ノアなんで泣いてるんだ」


「……パパが、どこにも、いない、の」


 もうパパに会えないと思うとまた涙が溢れてきた。


「逸れたのか、俺と同じだな」


 自分も同じ迷子だとこの男の子は笑顔で言う。


「同じなの?」


「そうだ。同じだ。だから一緒に探そうぜ」


 そう言い手を差し伸べてくれた手を握ると、少し震えていた。私は涙を拭って立ち上がった。


「うん。あなたの名前は?」


「俺か? 俺はなおだ。よろしくな」


「なおくんか。なんか女の子みたいな名前」


 つい、笑ってしまった。


「そうか? そんなことないだろ」


 少し怒ったのか、握った手に力が入る。


「そんなことないかも」


「いいから探すぞ」


「うん」


 暫く二人で歩き回った。

 歩き回ったと言っても子供なので、たいして歩いてはいないだろう。


 親は全然見つからず、雰囲気が暗くなる。


「なかなか見つからないな」


「もう会えないかも……」


 私が弱気になり、また泣き出すと、


「泣くなって、俺に任せとけ! なんたって俺はモテ男になる男だからな」


「モテ男ってなに?」


 なおくんがよくわからないことを言い出したので、興味が湧き涙が止まった。


「モテる男ってことだ」


 なおくんは自信満々に答える。


「それすごいの?」


「すごいぞ。爺ちゃんがいつも言ってた。男はモテてなんぼだって。男なら誰しもが求める。男の中の男だ」


「そうなんだ。でもまだモテ男じゃないんだ」


 よくわからなかったけど、すごい人らしい。


「いいの。これからなるから」


「それなら、ノアがモテ男にするの手伝ってあげる」


「手伝うって、そんな簡単なもんじゃないんだ」


 なおくんが言うには難しいらしい。なら尚更。


「でも手伝ってあげる」


「まぁ、もし俺がモテ男になれてなかった時は頼むかもな。そんな事にはならないと思うけど」


 なおくんは自信満々だった。


「わかった。その時は頑張る」


「おう。その時はきっとこないけどな」


「その時は頑張る」


「話し聞いてんのかよ」


 おかしかったのか、二人でくすくすと笑った。


 この後すぐに親は見つかり、別れ際に指切りをしたのだった。



これにて一章完結です。


二章は書くかわかりません。


今他の小説を書いているので、出来次第投稿します。

その時まで暫しのお別れです。


最後まで読んでくれた方々本当にありがとうございました!

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