↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
37/112

モテモテ37



 日野さんも可哀想だな。あいつの好みってロングヘアーで高身長だろ。身長はギリセーフでも髪型はOUTだな。それに、自分の意見がハッキリ言えて、自分の信念を貫く人とも違う気がする。


 涼太の好みに当てはまる奴なんているのかよ。実際そんなこと心配している場合じゃないな。俺はこれから作戦報告をしにいかなければならないんだった。


 急いで離れに向かった。二階の部屋に着き、軽くノック。何も反応がないので、中に入ることにした。いつもの定位置で飾霧は紅茶を飲みながら読書を嗜んでいる。


  俺の存在などないかのように一瞥すらしない。俺はエアー扱いだ。そんなエアーな俺は勇気を出して話し掛ける。


「失敗でしたあああああああああああ!」


 俺は怒号の高島並みに大声を上げた。飾霧はビクッと肩を強張らせると、不愉快極まりないといった様子で睨んできた。


「ーーうるさいわね。馬鹿なのかしら?」


「馬鹿なんです」


「知っているわ。何が失敗だったのか説明してもらえるかしら?」


「わかりましたーー」


 先程の出来事を詳細に話す。全て話し終えると、無表情で聞いていた飾霧が一言。


「そうーー」


 一言だけ言い、口を抑えつつ俯く飾霧に尋ねる。


「もしかして笑ってるんですか?」


「そ、そんなこと……あるわけ……」


「あるわけあるということですね」


 この野郎。他人の不幸が大好物なんだな。流石は魔王。

 飾霧はどうにか笑いを堪え、コホンと仕切り直すと口を開く。


「ーー好感度は上がってるみたいね。相談されるぐらいなのだから」


「言われてみればそうですけど、複雑です」


 そういうポジティブな考え方は俺の中にはなかったから新鮮だな。


「そうね。でも、モテ男になるのも時間の問題だと私は思うわ」


 飾霧は自信満々な雰囲気を醸し出し、無表情で言い切る。その言葉に疑問を感じる俺は浮かない顔で、


「そうですか? そんな感じしませんけど」


「貴方を二週間以上見ていたけど、徐々に皆に慕われだしてきているわ。このままいけば、徐々にモテ始めるはずよ」


「そんな感じはしなくもないんですが、女ってよりも男ばかりに好かれてる気がします」


 このままだと、あっち系になっちまう。


「それはあるわね。でもそれも重要なことなの。女ばかりに好かれると男は嫉妬するけど、男ばかりに好かれても女は嫉妬しない。どちらかというと友達が多いということで、好印象に繋がるわ。だからめげずに好感度を上げなさい」


「わかりました」


 飾霧の力強い言葉に頷くしかなかった。


「では明日も、今までやってきたことを信じて実行しなさい」


「了解」


 この後、離れを後にし、学校の自販機の前でMAXコーヒーを飲んでいた俺の心には靄が掛かっていた。


 飾霧は時間の問題と言っていたけど、俺にはどうも信じられない。好感度が上がってるのは認めるけど、このままだといい人で終わりそうというか、ただの友達枠みたいな感じになりそうなんだよな。今だって既に二人から告白されたしな。親友が好きだって。それって完全にモブキャラ認定だもんな。このままで本当にモテるのか、自信がなくなってきた。


 飾霧の言葉は説得力があるもののどこか煮え切らない。そんなモヤモヤした気持ちを、俺は飲み終わった空き缶にぶつけた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。