↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
34/112

モテモテ34


 

 放課後ベストプレイスで、スマホを眺めながらニヤニヤと頬を緩ませていた。


「えへ、えへへ」


「気持ち悪いを通り越して、新境地を垣間見てしまったわ」


 飾霧が俺の面を睨みながら淡々と言ったので、こちらも淡々と言い返す。


「おめでとうございます」


「ありがとう。では、作戦の結果を聞こうかしら」


「……わかりました」


 俺はしぶしぶ体力測定の結果と、作戦は失敗したことを話した。


「……そう。ーーそこそこ! なのに結果がついてこなかったのは残念だったわね。それにしても……長座体前屈は……本当に……凄いわね。学内で……一番かも……しれないわね」


 そこそこを無駄に強調するんじゃねよ。後は褒めるんならちゃんと褒めろよ。なんで笑い堪えてんだよ!


「そういう貴女はどうなんですかねぇ?」


「仕方ないから教えてあげるわ」


 飾霧は事細かく教えてくれた。結果を聞き、こいつは魔王だと再確認した。長座体前屈と握力以外は俺よりすごかった。俺、男子なのに……。


「気に病むことはないわ。貴方もそこそこだもの」


「はい」


 彼女なりに慰めてくれたみたいだ。いつもより優しい目をしている気がするよ。そんな事を思ってしまったせいなのか、急に飾霧の視線が汚物を見るような目に変わった。


「それで次の作戦の前に、先ほどからスマートフォンの画面を見ながら鼻の下を二メートル以上伸ばしていた理由を教えてもらえるかしら?」


「どんだけ伸びてんだよ! 身長超えちゃったよ!」


「いらない突っ込みご苦労様。それでなぜかしら?」


 いらないツッコミって、もしツッコミをいれなかったら大惨事だぞ。次は絶対入れないからな。


「そうだなー。教えない」


「そう。わかったわ。それでは作戦ーー」


「嘘だって! 教えるから、今言うからーー」


 どんだけ興味ないんだよ。取り乱しちまったじゃねぇか。


「嘘は嫌いだと何度も言っているのだけれど。これほどまでに記憶力が乏しい貴方は虫以下ね。きっとミジンコやミドリムシと言った部類と同じだわ」


 遮ったお返しとばかりに遮ってくる飾霧の様子は、それはそれは冷ややかだった。


「言い過ぎだと思います」


 心からの言葉。本心。


「すごいわ。日本語を話せるなんて、きっとミジンコ界の期待の星ね」


「わーい」


 面倒なので適当に喜んだ。ツッコミは我慢したぞ。


「お遊びはこの辺にしてもらえるかしら?」


 ツッコミいれないと全て俺のせいになるんだ。そうかそうか、もう怒った。


「もうなんでもいいです。はい。さっきの話なんですけど、はい。日野彩香という、はい。運動部で断トツ人気のメアドをゲットしただけです。はい。ただそれだけです。はい」


 通話時のサラリーマン風に喋ってやったわ。


「他には?」


 効果はなかった。しかも他にあるってなんでわかるの? 本当に怖いんだけど。もう包み隠さずに言うしかないじゃないか。


「ーー明日お弁当を作ってくれるみたいです」


「そう。なら明日の作戦は、日野彩香のお弁当を褒めちぎって好感度上げちゃおう」


 何それ? 日野を狙うってことか? 仕方ないから一応聞くか。


「日野さんを落とすんですか?」


「そうよ」


「無理だと思うんですけど」


「落とすのは無理でも好感度ぐらいは上げなさい。それと、お弁当を作ってもらえる時点で嫌われてはいないのだから、頑張る価値はあると思うわ」


「……確かに。やってみます」


 飾霧の言う通りかもしれない。そもそも嫌いな人に弁当なんて作らないよな。もしかしたら脈ありなのかもしれない。そう思うと力が沸いてくるし、なんか興奮してきた。


 今にも荒ぶりそうな右手を抑えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。