モテモテ20
「飾霧聞いてくれよ」
「既に朝から三回は聞いているのだけれど」
放課後いつもの離れ、お互いの定位置に座り朝の出来事を何度も自慢してくる俺に、呆れた雰囲気は出すものの無表情の飾霧。
「だって、「かっこよくなってる」って女子に言われたんだぜ。かっこいいってことだろ」
「お世辞の可能性が高いと何度も言っているのだけれど」
「お世辞でもいいだろ。初めて言われたんだから」
「そう、よかったわね。余韻に浸るのはこの辺にして、今週行う作戦を教えるわ」
「えー」
不満な声を上げるも無視しされ、飾霧は淡々と言う。
「作戦名は、優しさオーラで女子の好感度上げちゃおう」
うん。わかってた。言わなかったら逆に突っ込んでた。
「優しさは必要だよな。これもまた難しそうだけど」
「そうね。優しくすると言うのも簡単ではないわね。後、優しくするにあたっての注意点があるの」
「そんなのがあるのか」
「あるわ。注意点は男女問わず誰にでも優しくするということね。今週はこれを心掛けてできるだけ自分の力で優しくすること」
「男子にもか」
「そう。女子だけだと下心が露骨に表に出てしまうの。特に貴方みたいな生物は」
「最後の一言は余計だろ」
「気のせいよ」
「ここまではわかったけど、具体的に優しくするって何をすればいいんだ」
飾霧はため息を漏らし呆れた様子で淡々と言う。
「……聞いてばっかりなのね。仕方がないから教えてあげる。例えば、消しゴム拾うとか? 落し物を届けるとか? 誰もいない図書室で、脚立から落ちそうな女子を助けるとか? かしらね」
「最初のは起きないとできないし、最後のやつなんか最早起きないだろ。てか起きたら怖いわ!」
「そんなことはないと思うのだけれど」
そんなことはあると思うのだけれど。
「まぁいいや。できる範囲で優しさを振りまいとくよ」
頑張ればいいんだろ。頑張れば!
「その意気よ。貴方はそれくらいしないと他がダメなのだから」
「そうですねぇ。それぐらいわかってますー」
本当にわかってますー。いちいち再確認させなくてもいいですー。
「この世界で自分のことを理解している人は少ないわ。そこだけは褒めてあげる」
「ありがとうございましたー」
褒めるならもっと微笑んでもらいたいですー。あと、できれば違うところを褒めてもらいたいですー。
「後、勘違いしているだろうから確認するのだけど。清潔感と爽やかさについては貴方がモテるまでずっと続けるのよ」
「えっ! 終わりじゃないの?」
「当然よ。モテるまでは続けなさい。でないと意味がないことぐらい自分でわかってほしい所ね」
「すいません」
そうだよな。普通に考えればわかるよな。これでやめたら前と同じだもんな。きっとこのままモテるためのレベルを上げていく感じだろう。道のりは長く険しそうだ。
「では、今日はこれで終わるわ」
「今日もありがとうございました」
今日も無事に終わったと言っていいのだろうか。まぁ、明日からは優しさだ優しさ。人に優しくすると気分もいいしな。モテるかもしれないし、気分もよくなるし、一石二鳥とはこのことだな。
明日からも頑張るぞ。




