モテモテ19
休みが終わり、月曜日。
日曜日はどう過ごしていたのかと言うと、クリーニングに出しといてもらった制服を取りに行っただけだ。
後はだらだらと過ごしていたと言いたいところだが、モテるために筋トレをしていた。細マッチョがモテると昔から相場が決まっているからな。
今日は俺にとっては大事な日。新たな服装&髪型での初登校日なのだから。これで女子のハートは頂いたも同然だな。
飾霧と買ったカーディガンを着て新しいベルトを通し、香水を少々付けている。準備は完璧だ。
教室の前でいつものように集中力を高めていると、背中に衝撃が走った。
「痛った」
「おはよう。突っ立てないで入ろうぜ」
振り向くと爽やかな表情の涼太がいた。全く朝っぱらから太陽よりも輝いてるぜ。
「こら、急に叩くな」
「わりー。それよりついに髪切ったのか。似合ってるな」
「そうか? イケメンに言われると照れるな」
あまり褒められる事がないからマジで嬉しいんですけど。男から言われただけでこんなに嬉しいんだから、女子に言われたらどうなってしまうんだろう。
「イケメンは関係ないだろ。それに服装もいいし、いい匂いもするな。香水か?」
「わかるのか! やはりイケメンは只者ではないな」
香水までわかるなんて、主人公クラスのやつはすげぇな。
「普通わかるから、只者だから」
「謙遜するなって」
「してないから」
二人で教室に入って行くと、クラスの男子が近づいてきた。名前は田辺。モブ日本代表に選ばれている。出番は少ないので説明は短めに、元気。以上。
「お二人さんおはよう。てか、直ちゃん髪切ったの」
「おはよう田辺。切ったんだよ。どうよ」
「おはよう」
「似合ってるな。最高にイカすじゃん」
田辺はおおげさに両手の親指を突き出す。褒められて気分を良くした俺は大きく頷く。
「そうだろう。そうだろう」
「それにカーディガンとか着ちゃってお洒落さんじゃん」
田辺のよいしょに、俺は鼻が高くなりドヤ顔で言う。
「俺は生まれ変わったんだよ」
「なにそれ、かっこいいんだけど。なあ涼ちゃん」
「そうだな。いいと思う」
涼太は爽やかに頷く。
「そうかそうか。やっぱりか」
俺がご機嫌で頷いていると田辺が手を上げた。
「そんじゃ、俺ちょっとトイレ行くから」
「漏らすなよー」
「またな」
おおげさなダッシュで田辺がトイレへと向かう。その姿を見ながら俺は呟く。
「ほんと、あいつは元気だな」
「あいつの唯一の取り柄だからな」
「だな」
二人して田辺をディスっているとクラスの女子二人が話しかけてきた。
「あー。津賀君茂木君おはよう」
「二人ともおはー」
今時JKの二人はいい匂いがするのう。俺達が軽く挨拶を返すと二人は明るい笑顔で、
「茂木君髪切ったんだ。すごい似合うじゃん」
「ほんとだ。かっこよくなってる」
「ほ、ほんとか!」
嬉しいんですけど。これが天にも昇る気持ちってやつか。
「ほんとほんと」
「うんうん」
「な、なんか、ありがとう」
「お礼なんていいよ。それより急にどうしたの?」
「いや、別に大したことはなくて、気分転換というか」
全然大したことある。モテる為に必死なんだ。
「そうなんだ。でも成功だね。津賀君もそう思うでしょ?」
「そうだな。俺は前から言ってたんだけど……」
「まぁ。昔の事は忘れようぜ。今が良ければ全て良し」
「お前がいいならいいけど」
確かに昔からお前は口うるさく言っていた。随分と遠回りした気がするが、今度からは涼太の言うことは基本聞くことにしよう。
「それじゃあ私達もうそろそろ行くね」
「お二人さんまたねー」
俺と涼太が各々返事を返すと、笑顔のまま手を振り今時JKは席に戻った。
なんという好感触。これは俺の時代もすぐそこまで来てるのかも知れない。
この作戦は完全に成功と言っていいだろう。モテモテになるのも時間の問題だな。ふふふ。




