【○月×日土曜日 00:47】
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飲み会の後、イケメン同僚を部屋にお持ち帰りした深夜。
私はベッドの上で、彼のありがたい説法を聞いていた。
(どこの坊さんだよ)
と思うほど、清廉潔白で神山くんには煩悩というものがないのかもしれないとさえ思える。
「女性が、そんなに体を安売りしたら駄目だろ!」
(今時、結婚前にしない人の方が珍しいと思う・・・・
それに、安売りをしたくてしてるわけじゃない・・・どんなに好きでも愛していても体の相性一つで、簡単に関係を捨てる男だっている・・・)
『お前・・・本当につまんないわ』
遠い日に作った古傷に、痛みが走った。
神山くんの様な考えを持ってる人と一番最初に付き合えたなら・・・大事に恋愛が出来たなら。
今の私は少しは違っていたのかも知れない。
「谷山さん?」
今にも泣き出しそうな空気に気づいた彼が、私を気づかう様に顔を覗いてきた。
「怖い・・・怖いの!好きで、どうしようもなく好きなってから、相性が悪い!つまらない!!って捨てられたらいやなの!!だったら、その前に・・・っ」
こんなこと神山くんにぶつけたって、彼が困るだけだって分かっているのに。疼いた古傷から膿の様に言葉が溢れた。
『体の相性が合わないんだよな俺たち。別れよう』
社会人になって、初めて付き合って・・・私の初めてをあげた男はそんな酷い男だった。
でも、好きで愛していた。いつか彼と結婚が出来たらなんて夢も抱いていた。
彼との想い出を消すために、いろんな男性と体を重ねても・・・・
いつか ”つまらない”と言われることに怯えていた。
「ごめん・・・神山くん・・・ごめんね」
アルコールが残っているのか、今まで溜めていた想いが溢れたからか私は溢れる涙を止められないでいた。
ベッドが微かに軋む音をたて、彼が動いたのが分かった。
神山くんは、きっと呆れてる。こんなに軽い女だったって・・・軽蔑して帰るんだ。
俯いたまま、顔を上げれない私の耳に衣擦れの音が聞こえ、その直後ふわりと優しく私を包み込む温もりを感じた。
「辛かったんだね。谷山さん」
優しい声が頭上から降り注ぎ、彼の大きな手が私の頭を撫でているのが分かった。
目の前には、ワイシャツが目に入り。スーツの上着を脱いだんだと分かった。
「・・・・私、神山くんに好きになってもらえる女じゃない・・・から」
(だから・・もういいよ)
神山くんは、優しいから・・・軽蔑しなかった。同情かもしれないけど、今こうして慰めてくれてる。
だから・・・・さっきの彼の告白は、なかったことにしてあげないと。
そう思った私に、神山くんは意外な言葉を呟いた。
「谷山さん、一緒に寝ようか?俺が、教えてあげるよ。好きな人とだったら肌を重ねるだけで幸せだってこと」
「え?」
驚く私を抱きかかえたまま、神山くんはベッドへと体を投げ出し、驚きで涙が止まった私の頬の涙を痕を指でなぞった。




