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第7話 修道院の鍵と偽りの告発
変化はすぐに反撃を呼んだ。
その日の夕刻、教会の聖具庫から禁書が見つかり、なぜかミレイユの名前で貸出記録が作られていた。異端の疑い。あまりに露骨で稚拙な罠だが、民衆は「聖女の失脚」という言葉に飛びつく。
元のゲームでもあったイベントだ。ここでレティシアは裏から火をつけ、ミレイユを孤立させる。私は逆の手を打った。
「修道院へ」
夜のうちに私有馬車を出し、ミレイユを郊外の小修道院へ移した。護衛は最小限。大人数で動けば、余計に目立つ。
「どうしてここまで」
揺れるランタンの明かりの中で、ミレイユが問う。
「あなたが燃やされる未来を知っているから」
彼女は眉を寄せた。そりゃそうだ。説明になっていない。
修道院には客間がひとつしか空いていなかった。老修道女が「物騒ですから、今夜はお二人で」と当然のように鍵を渡してくる。私は鏡の策略を疑った。
しかも、私たちが到着した直後、裏門の見張りから合図が入った。武装した男たちが森を囲んでいるという。
ミレイユの顔色が変わる。
「私のせいで、あなたまで」
「いいえ。私があなたを巻き込んできたツケです」
私は扉に閂を下ろし、窓辺に立った。雨が降り始める。
今夜を越えられなければ、聖女ルートは焼死へ進む。
それだけは、絶対に嫌だった。




