表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/17

第3話 最悪の相手は王太女殿下

夜会の大広間は、断頭台よりよほど綺麗だった。


シャンデリアが黄金色に輝き、軍服もドレスも宝石みたいに磨かれている。その中心で、王太女クラリスは白銀の軍装ドレスに身を包み、ひときわ冷たい美しさで周囲を睥睨していた。


ああ、本物は画面越しよりずっと綺麗だ。見惚れている場合じゃないけれど。


元のシナリオでは、このあと宰相派が私の横領と謀略の証拠を提示し、クラリスが私を排除する。だが私は知っている。その証拠の半分は偽造で、残り半分は宰相派がわざと私の名義を使ったものだ。そして今夜、クラリスのグラスには遅効性の毒が仕込まれる。


私は配膳の列を見た。左手に指輪をした給仕がひとり。いた。


「殿下」


大勢の貴族が息を呑む中、私は淑女の礼を取った。クラリスの紫水晶みたいな瞳が細くなる。


「弁明なら聞きません、レティシア」


「弁明ではありません。あなたのグラスに毒が入っています」


ざわ、と周囲が波打った。クラリスは顔色ひとつ変えない。けれど近衛たちが一斉に身構える。


「証拠は?」


「給仕の左手、小指の黒曜石の指輪。宰相補佐の私兵だけが使う印です。今飲めば、明日には“女公爵の呪い”のせいにされます」


クラリスの視線が給仕へ飛んだ。次の瞬間、近衛がその男を取り押さえる。床に落ちたグラスから、淡い青い煙が立ちのぼった。


大広間が一気に殺気立つ。


「……続きは、別室で聞きましょう」


クラリスが低く言った。


断罪イベントは、たった一言で尋問イベントへ変わった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ