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第16話 魔女伯爵は毒より甘い

仮面舞踏会の会場は、紫水晶の温室だった。


夜の庭園を丸ごと硝子で閉じ込めたみたいな空間に、香料と笑い声が満ちている。中央で私を迎えたヴィオラ・エーヴェルンは、噂通りに危険な美しさをしていた。


緩く波打つ黒紫の髪、赤葡萄みたいな瞳、そして触れたら火傷しそうな笑み。


「ようこそ、女公爵様。あなた、思ったより早くここまで来たのね」


初対面のはずなのに、ずっと待っていたみたいな言い方だ。


「招待しておいて、その感想なのね」


「だって、王太女も聖女も騎士団長も落としてくるなんて予想以上ですもの」


私は仮面の下で目を細めた。


知っている。この人は最初からかなり多くのことを知っている。


ダンスを申し込まれ、私は断れなかった。ヴィオラの手は冷たいのに、腰へ回る動きは妙に優しい。


「あなた、前のレティシアじゃないでしょう?」


一歩目で、核心を踏まれた。


「何のことかしら」


「惚けてもいいけれど、あなたの歩き方には“やり直し”の匂いがあるわ」


この世界、魔女だけ難易度が違いすぎない?


曲が終わる頃、ヴィオラは私の耳元で囁いた。


「証拠が欲しいなら、今夜、私の屋敷まで来て。もちろん、ただでは渡さないけれど」


鏡が真っ赤に明滅した。


罠だと分かっていても、その誘いに乗るしかなかった。



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