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第15話 反乱の芽を踏み潰せ
軍務卿の失脚で終わり、とはならなかった。
ローディスの背後には、さらに大きな資金源がある。貴族の反乱予備軍に金を流し、王太女と教会と騎士団がそれぞれ争うよう仕向けていた存在。元のゲームでも終盤に出る黒幕候補、そのひとりが魔女伯爵ヴィオラだ。
彼女は毒薬と香料と情報で財を成した女。社交界では「夜会に招かれたら喜べ、でも杯は空けるな」と言われている。
そんな相手から、仮面舞踏会の招待状が届いた。
紫の封蝋。薔薇の香り。嫌な予感しかしない。
「罠だ」
クラリスが言い、ミレイユが「罠ですね」と続け、イリスが「行かせない」と眉を寄せる。三人とも正しい。
でも私は首を振った。
「行くしかないの。あの人が握っている帳簿がなければ、反乱の資金の流れが追えない」
クラリスは私の言葉の裏を察したのか、じろりと私を見る。
「それだけ?」
「……あと、私が死ぬ」
もはや隠し切れない雑な説明だった。それでもクラリスは深く追及せず、代わりに護衛と退路を整え、ミレイユは簡易解毒薬を持たせ、イリスは黙って短剣を一本差し出してくれた。
私はひとりではなくなっている。
それが、少しだけ嬉しかった。
そして同時に、ヴィオラという女を口説く難易度の高さに頭が痛くなった。




