別章8
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星間戦争のための世界の始まりの人々と、そのお子様二名。
総勢十二人が揃う中、私はしばらく呆然としていました。
『なんと申し上げたらよいのか分かりませんが、
言葉の意味は理解しております。
ただ、申し訳ないのですが、
今しばらくお時間をいただく必要を感じております』
としかお答えできませんでした。
「ところでファロンちゃーん。ぼくらの存在が君にバレちゃったんだけど、
このままここにいさせてもらっていいのかなー?
できれば居残り希望しまーす」
「私もきぼうしまーす」「ぼくもしまーす」
皆様の総意らしいです。
『居残り希望というのは、現状維持、という意味でしょうか?』
「ぼくはそうだねー」
「私もハルキと一緒に残りたい」
「俺は君が持ってる本を読んでみたい」
「映像作品が気になるわ」
「父さんと母さんと一緒にいられるのがいいー」
「推理小説があるなら読みたい」
「小説ならなんでもいいわ」
「ストーップ。現状維持に近い希望なんだけどよー。言いづらいんだけど、今の状態をファロンちゃんは理解してないぜ?」
「そうみたいね」
「ラトナ、出番だ。まとめろ」「おい」
賑やかで楽しそうですね。
「……非常に言いづらいのだが、現状は、君の思考が筒抜けなんだ。
盗み聞きするつもりはなかったんだが、すまない。
……それと、今のままだと、
俺たちが騒ぐと君にも筒抜けになってしまうのではないか?
それはさすがに邪魔じゃないかと思う。
その点をどう改善するかは君に任せるが、俺も現状維持を希望している」
私の思考が筒抜け……の、何が問題なのか。聞かれて困るようなことを考えたことがあったのかどうか思い返してみますが、特に思い当たりません。
「意外と気にしないタイプなのね」
「邪な心がないっていいよなぁ」
「ファロンは、ユージーンの中にいた頃も、家族の寝室や風呂などは見ないようにしていたが、あれはどういう意味でしていたんだ?」
『皆様がそのようにしていたので真似をしていました。見られたくないものがあることや、一人になりたいことがある、というのも、皆様から学びました』
「知識としての理解なわけか……」
「どうする?今後ファロンちゃんが羞恥心を理解した時困るんじゃないの?」
「今更じゃない?」
「いやいやそれでもさー」
『あの、皆様が気にしておられることは理解しましたので、結界を張りましょうか?出入り自由ですが、結界の中にいれば皆様の声はこちらに漏れず、私の思考も結界の中では遮られるように調整します』
「……それでいいのか?」
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『あの……私から一つ、ご相談があるのですが、よろしいでしょうか?』
「お?どしたどした?」
『皆様がここにおられることを、我が主……ユージーンにお伝えしたものかどうか、迷っています』
「うわぁ……これは悩ましい問題だ」
「もんだいなのかー」「なのかー」
「意見がある人、手を挙げてー」
「俺、カレーライス」「ばか」
「今は、ユージーンは何も決めていない状態だと思う。
俺たちがいると知られたら……
ユージーンは自分で自分の未来を決められなくなるかも知れないと、
俺は懸念する。だから、今の時点では伝えないに一票」
「相談相手としてお役に立ちたい気持ちはあるし、
まだ幼いユージーンに、この状況を背負わせたままなのは、
どうなのかしら……。意見は、まだ未定ね」
「幼いって言っても、だいぶ成長してると思う。
見た目が変わらないけど、中身は大人になってきてる。
だが、俺もまだ未定」
「うーん。ファロンちゃんが傍にいてくれてるしー、
でしゃばらないほうがいいかもー?と思うからー、伝えなーいに一票」
「私達、ユージーンにとっては知らない人、なんじゃないかしら?」
「……そうね」
「ラトナの懸念も踏まえて……
今私たちの存在を知らせても、混乱するだけじゃないかと思うの。
ずっと隠すってことじゃなくて、
ユージーンが自分で決断するのを見守ってから再検討という意味で、
今は伝えないに一票」
「ファロンちゃんを信じて今は伝えないに一票」
「……私は、選べないわ」
「うーん……まだ伝えないに一票かなぁ」
「ファロン自身は、どう考えている?」
『……私は、我が主の願いを叶えられません。
本当は今も家族の元に帰りたいと願っておられるのに、
口にされなくなりました。諦めているというのもあるのでしょうが、
私を気遣われているのだと……感じています。
子供は、親に甘えたりするものでしょう?
その状況を奪って、二度と戻れなくしてしまった。永遠に……。
彼が創造神になりたいなどと考えたことは一度もありません。
彼は、あの集落で自分も立派な大人になることを思い描いていました。
それが彼の憧れでした。私はそれを知っているのに……。
私に彼を支えることができるのでしょうか?
私は道具に過ぎません。彼が孤独を埋められるものが何もないのです。
それならば、皆様のことをお伝えして、共に暮らしていただくことも、
新たな可能性の一つなのではないかと……』
いつの間にか、私は皆様に囲まれていて……奥様達とお子様二人に抱きしめられていました。
私は、どうしてしまったのでしょう……。




