↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらの創世譚  作者: 鳴音-narune
別章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/9

別章5

★――


「ファロン。言いたいことは分かったから……ごめん。ちゃんと考えるから」

 僕は、ファロンが座っているソファの横に移動して、声をかけることしかできない。

 どうしよう……女の子を泣かせてしまった。

 本人に聞いたら「私は道具ですから性別はありません」とか言うんだろうけど、外見も雰囲気も女の子っぽいんだから、そう扱ってしまうのは仕方ないよね?



 正直なところ、彼女が必死に訴えていた内容は、頭では理解できていると思う。……事実を話してくれているんだってことも。

 ファロンの方も、かなり動揺していた。

 自分が取り乱したり泣いたりしたことが、信じられなかったらしい。


 この後は、お互いに落ち着くまで、失敗した世界に関係する話題は避けることにした。

 そう取り決めたわけじゃないんだけど、僕のことをよく知っているファロンには、僕の考えは筒抜けみたいだから、自然とそうなってしまったんだ。

 こうして互いに避けようとする話題を抱えているわりには、それほど息苦しさとか居心地の悪さは感じられなかった。

 それも、彼女が察してくれて、その都度程よい距離感でいてくれたことが大きかったと思う。

 そういったことを感じる度に、本当にずっと僕の中にいたのだな、と妙に納得してしまった。



 以前と変わったことは、二人で零界に部屋を創ったことだ。

 ぼそっと、「広すぎて落ち着かないね」とぼやいたら「部屋を創りましょうか?」って言ってくれたんだ。

「それなら一緒に創ろう」って言ったら、ファロンはとても嬉しそうだった。

 彼女が壁を創り、僕が天井を創る。

「白い床のままなのがなんとなく嫌かも」と言ったら、綺麗な模様が描かれた緑色の絨毯を敷いてくれた。「蔦模様です」って微笑んでいた。


 お風呂がある場所も、壁と天井を創って浴室にしておいた。

 今まで勝手に出てきた家具や道具類も部屋の中に配置して、居間や寝室、台所も完成した。

 

 一通りの部屋が完成して、二人でソファに腰かけていた時のことだった。


「壁や棚に、写真というものを……飾ってもいいでしょうか?」

「構わないけど、写真が何かは教えてほしいなー」

 紅茶を飲みながら呑気にそう返したら、ファロンが創り出したのは、家族写真だった。

「私の記憶から創った、他世界の技術……写真です」


 爺ちゃんの隣に座る僕、向かいの席には母さん。母さんの隣には父さん。

 テーブルには母さんと僕が作った食事が並んでいて……皆笑顔で食べたり喋ったりしている日常の……絵のようで絵ではないものだった。


「ファロン、他にもあるの?この……写真!もっと創れるの?」

「貴方が赤ちゃんだった頃の写真はどうですか?皆若くて驚くと思いますよ」

 他世界の技術?訳が分からないけど、とにかくすごい!

「もっともっと出して、壁中に貼りたいよ」


 ファロンは「額縁に入れて飾りましょう」なんて言って、綺麗な模様の四角い枠まで創ってくれた。

 その後はファロンが写真を創る横で僕が額縁を創って、二人で壁に飾るのを繰り返した。

 壁の大きさにも限度があるよなぁなんて考え始めた頃「アルバムというものもあるようです」と言って、少し大きな本のようなものも創ってくれた。

 僕は渡される写真を次々とそれに収めていき、数冊のアルバムが完成した。


 ファロンも楽しそうに、次々と写真を出しては、思い出話をしてくれて……

僕らは懐かしみながら、とても楽しい時間を過ごした。


★――


 ある時、ファロンが言い出した。

「一戸建てというものにしてみましょうか?」


 真っ黒な零界にポツンと家があるのを想像すると、なんて言っていいのか分からない感じ。奇妙というか、似合わないような気がしたんだけど、二人でできることがあるのは楽しい。


「やろうやろう。でも、この部屋はどうなるの?思いつくまま創っちゃったけど、どうにかなるの?」

「問題ありません、我が主。創造後調整は被造物の移動も自在です。それでは……あー……間取りを決めるというのも、案外難しいようですね……」

 自在だと言った後、何やら問題があることに気付いたらしい。眉毛がハの字になっている。


「我が主、屋根と外装の好みを聞かれても困りますよね?参考の為に、他世界のカタログを出してもよろしいでしょうか?間取りを決めるにも、ある程度知識が必要なようですし……」


「自由にしていい」「ユージーンって呼んで」「我が主はやめて」

 何度か言ったはずなんだけど、なかなか変わらない。ファロンは意外と頑固者なんだろうか?


「いいんだけどさー……そろそろ、ユージーンって呼んでもらうことはできないかなー?」

「……ユージーン様?」

 僕は、仕方ないなぁって顔を作って、ファロンの前に立つ。

「ファロン、ずっと僕の中にいた時は、僕のことをなんて呼んでた?ユージーン、だったんじゃない?」

「……はい」

「それなら、これからもユージーンって呼んでね。あなたはファロン。ね!」

「はい、我が主……いえ、ユージーン……」

「じゃあ、カタログ?見せて見せてー」

「はい、我がぁ……ユージーン」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。