第15話 緊急事態宣言②
突然の緊急事態宣言。
藤井は、緊急事態宣言が解除になるまでの間、現場が休工になることが決定したので、とりあえず自宅に向かった。自宅に帰るまでの道中、スーパーの前を通るとすでに人だかりになっていた。
その時、藤井はどうせ一週間もすれば解除になるだろうと思っていた。
自宅に着くと、子供たちのことが気になり娘の亜希に電話をかけた。
「もしもし。ニュース見たかい?」
「パパ。見たよ。学校は休みになった」
「そうか。パパも現場が休みなった。明日から暇だよ。それと、現場からの帰り道にスーパーの前を通ったら人がすごかったよ」
「それよりも聞いて!! ママがコロナの時みたいになったら困るからって、じいちゃんの家に行くって言いだしてさ。準備に大忙し!!」
「そうか。でも、その方が良いね。東京のじいちゃんのところに行って、解除になったら遊んでくれば」
「そうだね。解除になったらディズニーランドでも行こうかな」
「飛行機は取れたの?」
「ママがすぐに取ったみたい。それじゃ忙しいから切るね。東京に着いたら電話するね」
「了解。気を付けて行ってきなさい」
藤井は電話を切り、テレビを付けたがどこもかしこも同じニュースばかりであったので、そのまま寝てしまった。
その頃、北警察署では署員が集められていた。泉と内田もそこにいた。地域課長が今後について説明を始めた。
「えー皆さん。突然の緊急事態宣言でびっくりしているかと思いますが、それは私たちも同様です。まずは本部からの指示も含めてご説明します。二日後の12時以降は、すべての国民が外出禁止となります。除外されるのは、我々警察官と自衛隊、医療従事者のみとなります。外出している者を見つけた場合は、自宅まで帰すように促してください。ただ......」
と言ったところで、地域課長は声を詰まらせた。
「ただ...... よく分かりませんが、反抗的な態度をとる者に注意せよ。注意を聞かなかった場合は、公務執行妨害罪で逮捕せよ。襲い掛かってくるようなことがあれば、迷わず撃てとの指示です」
泉は手を挙げ、質問をした。
「すいません!! 撃てとはどういうことですか? 特別公務員暴行陵虐罪になりませんか?」
すると、署長が泉に向かって言った。
「余計なことは考えるな。これは警察庁からの指示だ。理由はよく分からんが大変なことが起きているらしい。おそらく、留置場にいたアレが関係しているのだろう......」
留置場にいたアレとはゾンビのようになってしまった者のことだ。実は、午前中に梅津と共にウイルス研究所なる団体が連れて行ってしまったのだ。
泉は黙って、席に座った。
地域課長がつづける。
「これから署員を3班に分けます。3交代制の当直勤務とし、常に2名で行動してください。勤続3年以内の者は自宅待機とします......」
地域課長は、その後も詳細の説明を続けた。
横にいた内田が話しかけてきた。
「泉係長。これはマジでやばいですって。要するにゾンビ映画の世界が本当になったってことですよ」
「まあ大丈夫だ。すでに国で動いているんだ。広まりはしない」
「そうっすね」
しかし、ウイルスは異常なスピードで増殖し、また変異していた......




