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自由の権化

 あぁ…やばい…死にそうだ…。


 竜巻に飲み込まれた俺は、朦朧とする意識の中で呑気にそんなことを考えていた。


 俺の今世は短かったなぁ、まだ5時間経ってないくらいか。


 そろそろユニークスキルが発現する頃だ、しかしまぁ、もう遅いだろう。


 こんな満身創痍な体で強力なスキルが発現した所でだ、発動も出来ずに殺されるだろうな。


『ふむ、我の技を受けても立っていられるとはな…しかし、指一本動かせまい?』


 オオカミがなにか言っているが聞こえない、いや、聞こえているが、それを理解する脳が機能していないと言えばいいだろうか?


 理解しようと思えばできる、でも、もう疲れた。


 血を流しすぎたのだろうか?


 誰が見たって流しすぎだな。


 俺の周りには血の溜まりが広がっている、現在進行形だ。


『貴様はなかなかに善戦した、久々の戦いと言える戦いに、すこしワクワクしたぞ』


 すこし…ね、相手はまだ力を残しているらしい、そりゃそうか、あの威力の竜巻2つを放っておいて息のひとつ切らしていない、もしかしたらあれを100発くらい余裕で打てるんじゃないのか?


 そう思うと笑えてきた。


 ゴブリン相手に無双して調子に乗って、魔法の練習程度に強者を期待したが、まさか返り討ちになるとはな。


 戦う相手を間違えたらしい。


『我に善戦したのだ、誇って良いぞ?』


 そう言いつつ近づいてくる。


 0:00:30


 トドメを刺そうとしているだろうか?


 あぁ、はやく、人思いに潰してくれないだろうか、痛くて意識が飛びそうだ。


『名を聞こうかと思ったが、声を発することも出来ないだろう?』


 また1歩近づく。


 0:00:15


 あぁ、そうだよ、悔しいがその通りだ。


 …そういやあの女どうしたんだ?成り行きとはいえ、せっかく助けたんだ、簡単に死んでもらっては困る。


 …無理な話か、洞窟の外にこんな化け物がいるんだ。


 もう、俺には関係ない。


『しかし、惜しいな、あと数十年、いや、数年すれば我と死闘を繰り広げることが出来やもしれぬ』


 そうかい。


 立っているも限界で、後ろに倒れてしまう。


 0:00:05


 気づいたらオオカミは目の前にいた。


『さらばだ若人よ、なかなかに楽しめたぞ』


 そう言いながら前足を振り下ろす。


 0:00:01


 その場面が嫌に遅く見える、走馬灯ってやつか?


 そっと目を閉じた。


 0:00:00


 早く終わってくれ。


 ーー


 なかなか衝撃は襲ってこない。


 どうしたんだ?ゆっくりと目を開ける。


 …とまっている…?


 いや、ごく僅かだが動いている、これは、なんだ?


 …ユニークスキルか?それしかないな。


 当たりを付けステータスを開く。


 名前 ・リエト

 Age ・24

 状態 ・瀕死(超回復)


 スキル

 空間魔法

 空間魔術

 空間把握

 収納


 ユニーク

 自由の権化


 …自由の…権化…?


 どう言ったスキルなんだ?


 この状況に、全く当てはまらないスキルの名前に困惑する。


 …詳細、見れるか?


 スキルをタップしようとしたが体が動かない。


 無理か…そう思ったがスキルの詳細が表示される。


 ーー

 自由の権化


 縛られない


 ーー


 少ない、詳細をみても全くわからないじゃないか。ステータス、仕事しろ。


 ーピシッ


 ん?


 ステータスに悪口を言っているとステータスを表示する透明な板からヒビの入るような音が聞こえた。


 板を見るとヒビが入っていた。


 なんだこれ?壊れたのか?


 ーピシピシピシ


 そう思っているとヒビはどんどん広がっていく。


 おいおいおい!


 しかし体が動かない、俺ができるのは考えることだけだ、ヒビが広がるのをただ見ているしかできない。


 ーバリン!


 そう思っているとステータス画面が割れた。


 おいおいおい、マジで壊れちまったじゃねーかよ…直るのか、これ?


 ステータスと、何度唱えても出てくる様子はない。


 はぁ、これ、絶対ユニークスキルのせいだよなぁ…。


 詳細を見た途端に壊れたんだ、そうとしか考えられない。


 縛られない…か、この、思考が加速している状態も、人間の脳にかけられている制限がなくなったことか?


 …安直だな、だが、それしか考えられない。


 そういえば、状態が超回復ってなってたな、てことは、体の方はどんどん治ってきているのか。


 この思考が加速している状態がいつまで続くかわからない、早々に考えるのをやめて反撃しないといけないんだが…勝てるのか?散々ぶちのめされて、こんな状態になったんだ。


 しかし、何故か大丈夫という感覚がある、ユニークスキルが発現したからなのか分からないが、とにかく行けそうだ。


 俺は学習しないな、ユニークスキルが発現してまた調子に乗ろうとしたな。


 しかしまぁ、ユニークスキルのおかげで脳の制限が無くなったんだ、身体能力の制限もなくなったと考えていいんじゃないか?


 それだと助かるんだが、高望みし過ぎか?


 あと、今の俺に、逃げるという選択肢はない、こいつに1発ぶち込んで、あとはそっから考えればいい…!


 オオカミを見れば前足が随分と近づいている。


 そろそろか。


 加速する思考を解除しながら体を横へと転がす。


「ぐぁ…!」


 直撃は免れたが風圧で吹き飛ばされる。


 なんちゅう威力でトドメ刺そうとしてんだよ!


 痛む体を無理やり動かし、立ち上がる。


『驚いた、まだ動けるとはな。』


 ほんとだよ、まだ動ける、それだけだけどな…今はな。


「なに…名前を…聞きたがってた…みたいだからな…」


 息も絶え絶えに言葉を紡いでいく。


『ほう、いい心がけだ、それで、貴様の名はなんという?』

「リエト、それが、俺の名前だ。」


 少しでも回復する時間を稼ぐ、徐々にだが、体の痛みが引いてきた。


 しかし、まだ、雌伏のときだ、もっと時間を稼ぐんだ。


『リエトか、覚えておこう、勇敢な戦士だったとな』

「そりゃ、ありがたいね、」

『それでは、今度こそさらばだ』


 オオカミがこちらに近づいてくる、まだ、まだここじゃない。


「おいおい、俺だけ名乗らせといて、自分は、名乗らないのか?」

『…そうだな、冥土の土産に教えてやろう。』

『我の名はセガルラ、タフォジャの森の主だ。』


 森の主ね、


「そうか、通りで強いわけだ」

『ふん、我より強い者など、数える程しか居らんよ』


 いいこと聞いたな、こいつの強さは最高峰ってことだ、こいつより強いとか考えたくもないが。


『言いたいことは終わったか?』

「そうだな、最後に一つ」

『なんだ?』

「はやくトドメを刺さなかったことを後悔するんだな。」

『なに?』


 そういい、地面を蹴る。


 今までよりも速い。


 オオカミは突然の突進に驚き、反応が遅れる。


 まずは1発…!


『グァアアアアアァァア!』


 何度も聞いた咆哮だ、だが今回の咆哮は痛みに吠えている感じだ。


 そのまま追撃する。


 オオカミも反撃しようと魔法を放ってくる。


 感覚の制限も無くなっている、どこから魔法が飛んでくるのか分かる。


 魔法の射線上に板を出現させ身を守っていく。


 よかった、ステータスは壊れたが、スキル自体は使えるみたいだ。


 板で魔法をガードしている間もオオカミへの追撃をやめない。


 魔法が封じられさすがのオオカミも焦ったのか、攻撃を雑に後ろに跳ぶことで回避する、しかし、そこを見逃す俺ではない。


 足に板を出現させ跳躍。


 さらに、板をオオカミの背後に出現させ行く手を阻む。


 オオカミは驚愕に顔を顰めるが、さすが森の主、すぐに冷静になり反撃をしてくる。


『ガァァァァア!』


 オオカミが咆哮すると、目の前に竜巻が起こる、慌てて目の前に板を出現させ、手で勢いを殺しつつ、水泳のターンのように体を丸め、足を板につけ跳躍する。


 チッ…状況を把握しきる前にもう数発大きいのを入れときたかったんだが。


『貴様…いや、リエトよ、その急激な成長はなんだ?』

「お前に殺されかけて、俺も本気になったんだよ。」


 わざわざ教えてやる義理もない、適当にはぐらかすだけでいいだろう。


『そうか、答える気はないか。』


 バレてるな、だからどうした。


「言っても意味ないだろ?これから死ぬんだからな」

『ふん、たった1発不意打ちで当てていい気になりよって』

「不意打ち?呆けてたお前が悪い」

『ぐぬ…』


 先程とは立場が逆だ。


「さて、お喋りは終わりだ。」


『グァアアアアアァァア!』


 オオカミ、いや、セガルラの咆哮を合図に、足に力を込め、地面を蹴る。

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