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アイテムとお嬢様

探索と言っても、空間把握のスキルで洞窟の間取りは分かっている。お宝のある部屋に直行する。


向かっている途中に戦闘を振り返る。振り返ると言っても特に問題はなかったし、体の動かし方が分かって収穫が沢山あった、反省するとしたら、魔法を全く使わなかった所だろうか、身体能力が高く、使わなくても圧倒できたから仕方がないとは思うが。


それよりもまずは何が出来るか特訓しないとな。


お宝のある部屋に近づき、考えをやめる。


中に入ると金銀財宝がある訳では無いが、装備品が沢山あった。


あのイレギュラーが居たんだ、並の人では勝てないだろう。


荷物が嵩張るのも嫌だからな、使えそうなものだけ収納して持っていくか。


俺はあの女が着ていた服や他にもマントや、使えるか分からないランタン、武器そして、お金だと思う硬貨を適当に収納に放り込んだ。


「これくらいで十分か」


どれくらい経っただろうか?それほど時間は経っていたと思うが…。


「キャーーー!」


洞窟の中に女の悲鳴が響く。


あの女が起きたのか、面倒な予感に嫌気をさしつつ、女の元へ向かう。


女がいる部屋に着くと寒いのか火に体を近づけ暖まっている。


「起きたのか」


ービクッ


女は恐る恐るこちらに振り向く。


「あ、あなたは…」


もっと高圧的な態度で来るかと思ったが拍子抜けだ。


まぁ無駄に上からこられても困るんだが。


「簡単に言うとお前をゴブリンから助けた者だな」

「そ、そうなんですか。あ、ありがとうございます。」


本当にこいつは高圧的な態度で部下に接していた、あの女なのだろうか?二重人格と言われた方がしっくりくる。


「あ、あの!」


考え事をしていると声をかけられた。


「なんだ?」

「な、なにか着るものはないですか?裸のままというのも恥ずかしいというか、寒いというか…」


そのまま顔を俯かせてしまった。


ここは寒いのだろうか?そんなことも無いと思うが、この体はいろいろと便利に作られたのかもしれないな。


いつまでも女を放置しているのも悪いと思い、先程部屋から取ってきた女の服を収納から取り出し渡してやる。


「これは私の服…?あ、あの、ありがとうございます!」

「いいからさっさと服を着ろ、寒いんじゃないのか?」

「は、はい!」


こころなしか女の顔が赤くなっている気がする。…惚れたか?


いやいや、まだ調子に乗るのは早い、残念なことに、お宝部屋で鏡のような物はなかった。


自分の容姿が分からないんだ、火で顔が赤く写っているだけなのかもしれない。


そう思っていると、服を着終わった女がこちらに向き直る。


「ふん!私の事を助けてくださった事は感謝致しますわ!名を名乗る事を許可致しますわ!」


…なんだコイツは?服を着た途端に高圧的になったぞ?本当に二重人格なのかもしれない。


…めんどくせぇ。


「なにを黙っているのですか?はやく名のりなさい!」


そう言われて自分がまだ名前を決めていない事に気がついた。


何やかんやあって川にも行けなかったし、名前も決めてなかったな…。


今までのように釦と名乗ってもいいが、転生したんだ、新しい名前でやり直すのもいいだろう。


「えっ…と…」


自分の名前を考えていたら、声に出てしまっていたらしい、女が声をかけてくる。


「エトと言うのですか?」


エト、名前を考えるのも面倒になってきた所だ、それで行こう、そう思ったがこの女に名ずけられるのも癪だ。


「いや、」


少し考え、やり直しという意味の、Reを頭に付けて、リエト、これで行こう。


「リエトだ、俺の名前はリエト」

「リエト…ふん、貴方にしてはいい名前ですわね!」

「それで?お前の名前は?」


知っているが、何故知っているか聞かれたら面倒だ、本人から聞くとしよう。


「なぜ私が名乗らなければいけないのでしょう?しかし、貴方は命の恩人ですので、特別に教えてあげましょう。」


いちいちこちらに噛みつかなければ行動することが出来ないのだろうか?イライラするが、ガキが威張っているだけだ、そう思い聞き流す。


「私はナディア・ファン・アス、ファン・アス侯爵家の次女ですわ!」


侯爵家か、階級なんて知らないんだが、貴族であることは間違いないようだ、面倒なことになる前にさっさとさよならといこうか。


ーキュルルルル


そう考えていたら、女の方からお腹の音が聞こえてきた。


女は恥ずかしかったのか、顔を赤くして、こちらを睨んでくる。


「貴方、何か食べるものを探してきなさい!」

「なんでだ?そこに果物があるだろ」

「ゴブリン達が採ってきたものなんて汚くて食べられるわけないじゃないの!」


ゴブリンが採ってきたから汚いのかは置いといて、ゴブリンの血で汚れている。あれを食べるのはさすがに嫌だな…どうするか。


ードシン!


食料問題で悩んでいると洞窟の外から大きな音が聞こえた。


今度はなんだよ…


次から次へと問題が舞い込んでくる、いや、まだ問題と決まったわけじゃないんだが、まだこの世界に転生してきて、5時間も経ってないぞ?いい加減休ませてくれ…。


空間把握のスキルを使い、洞窟の外に意識を集中させる。


そこに居たのは、体長6m程の緑色のオオカミの顔をした何かだ。


何かと形容したのはオオカミにはない部位があるからだ、前足から横に伸びている骨のようなものにそこから膜が貼られている。


膜を広げて飛ぶのだろうか?いや、そんな悠長なこと考えてる場合じゃないな。


「な、なんなんですの!?」


大きな音から立ち直ったのか女が聞いてくる。


「知らん」


めっちゃ知ってるが答える義理もない。返答しただけマシだと思え。


「あ、貴方!見てきなさいよ!」


そうだな…何れにしろ洞窟から出るんだ、このまま、この女を洞窟に放置してさよならするとするか。


「わかった、ただお前はここから動くなよ?」

「い、言われなくても動かないわよ!」


よし、これでいい、しかし、明らかに強者感漂わせてる相手だ、この森の主とかなのかもな、俺の身体能力の高さは分かった、大丈夫だとは思うが、やばかったら全力で逃げよう。よし。


俺は洞窟の外に向かって歩いていく。


ーグァアアアアアァァア!


「は、はやくいきなさいよ!」


外から聞こえた咆哮に女が怯えたように声を出す、それに対し俺は片手を上げて答える。


ま、のんびり行くんだけどな。


ゴブリン達ではあまり使えなかった魔法の練習が出来ればいいんだけどな。


どんな魔法を試そうか、強者であれと、願いながら洞窟の外にたどり着く。


『お前が、音の犯人か?』


頭の中に声が響く。


驚いているとさらに声をかけてくる。


『我の威圧を浴びながら平然としているだと?…貴様が音の犯人で間違いないようだな。』


威圧?確かにオオカミから重い圧のようなものを感じていた。しかもなんか勝手に犯人扱いされている。犯人で間違いないんだが。


『答えぬか…いいだろう、我の平穏を害する者は生かしてはおけぬ、ここで仕留めさせてもらうぞ!』


そう言うや否や、こちらに物凄いスピードで突進してきた。


「うお!?」


思いがけないスピードに反応が遅れる。


回避は間に合わないと判断し腕をクロスさせ衝撃に備えるが、オオカミは正面から来ず背後に回り込んだ、空間把握のスキルで感じ取ったが、間に合わない。


そのまま背中にとてつもない衝撃を喰らい吹き飛ばされる。


木を2本程倒しながら地面に激突し停止する。


「痛てぇ…」


この世界にきて初めてダメージを喰らった、相手は思った以上に強い。


目で終えるスピードだが、気を抜いたら直ぐに見失ってしまう。スキルで感じ取れるが反応が間に合わない。圧倒的に戦闘に対する経験値の差を感じる。


口から垂れた血を拭い立ち上がる。


やばいな…逃げることも視野に入れとくか。

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