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能力者と部屋

「な、何でもしますぜ!兄貴!」

「とりあえず正座しろ」

「正座…ですか?」

「足を畳んで座れ」

「は、はい!」

「ちょっといいか」


 マウリッツを座らせシスターを呼ぶ。


「あの、助けていただき、ありがとうございます。それで、どのような要件でしょうか。」

「こいつをここの用心棒にできないかと思ってな、何かいい方法ないか?」

「用心棒に…ですか?たしかにこの方がいれば大抵の荒事はどうにかなりそうですが…」

「何か問題でもあるのか?」

「いえ、その、用心棒にしても裏切られてしまっては危ないですし、奴隷にしてもらうにしてもお金がかかってしまって。方法があるにはあるのですが、その、」

「その方法ってのはなんだ?」

「…」


 その方法を使うのがよっぽど嫌なのか口を閉ざしてしまった。


「まさか…」

「なにか知ってるのか?」

「あ、あぁ、多分だが、シスター、あんた能力者だな?」

「…っ」


 どうやら図星のようだ。


 能力者ってなんだ?そう思うとインストールされた常識の中にあった、どうやらその人だけの能力、つまり俺の【自由の権化】みたいなのを持っている人のことを能力者と言うらしい。


 硬貨の価値がインストールされてないのに、能力者のことはあるのか、めっちゃくちゃ不便だ。


「その能力を使えば問題は解決するんだろ?どうして使わないんだ?」

「いえ、もう、大丈夫です。私の能力は【契約】と言います。相手と交わした約束を強制させることができます。」


 なかなかに強力な能力だ、俺には効くのか試してみたくなるな。効かないだろうけど。


 シスターが男に近づく。


「【契約】」


 そう唱えた瞬間、シスターと男の足下に魔法陣が展開される、淡い光を放ちながら魔法の文字が出現する。


「マウリッツさん、契約内容は私たちの味方をする。それでいいですか?」

「あ、あぁ、それでいい」

「わかりました、それでは抵抗しないで受け入れてください。」


 甘い契約内容だな、いや、その程度でも強い力を発揮するのだろう。


「【契約】」


 今度は文字が動き、姿を変えていく、そして、言葉の羅列にかわりマウリッツに吸い込まれていく。特に痛みはないのかただ黙々と受け入れている。


 やがて光が止み、魔法陣が消える。


「これで終わりです。」

「どうして最初、能力を使う事を渋ってたんだ?」

「…能力者ということを明かしたくなかったのです。」

「そうか」

「…それだけですか?」

「興味ないからな」

「…」


 お抱えの事情は胸に閉まっておいて欲しい、面倒を吐き出さないでくれ。


「それで、気分はどうだ?」

「…あまり変わらない、です」


 さっきから随分と大人しいな、そんなに俺が怖いか?


「これで問題は借金だけか、いくらあるんだ?」

「…それが、わからないんです。最初はほんの少し借りただけなんです。金貨1枚分くらいです。それなのに気づいたら金貨10枚だって言われて、払わなかったら子供を攫うと脅されて、それで。」


 闇金か、どこの世界にもあるもんだな。


「多く払った分、返してもらわないとな」

「いえ、いいんです。私たちが幸せならそれで」

「そうか、ならもうやることは無いな。」

「あの、本当にありがとうございました、せっかくなのでお茶でもどうですか?」


 お茶はギルドで飲んだばかりなんだ、森で技の練習とか、しなくてもいいけど。なんていうか、一緒にいると面倒が増えそうで嫌なんだよな。


「いや、遠慮しておく、マウリッツと今後について話でもすればいい」

「…はい、そうします。」


 申し訳ないような、残念そうな顔をしたシスターに見送られる。


 教会から大通りまでの道は迷わなかった、空間把握のスキルがあるのと、1度通れば道はだいたい覚えられる。


 さて、これからどうするか、森で技の練習をするにはもう遅い時間だ、宿でも取ってそこで出来ることをするか?よし、そうしよう。


 街に入る時に見張りから聞いといてよかった、見張りから聞いた宿まで歩いていく、宿は門の近くにありここからだと結構歩く。


 前世では散歩が趣味だった俺にとっては楽な気持ちで歩ける。カメラが欲しくなってくる、この世界にはやっぱり無いのだろうか。ダンジョンのお宝とかカメラありそうなんだが、大会が終わったらダンジョンにでも行ってみるか。


 散歩からダンジョンに潜る話に変わると誰が予想できるのか、自分の気まぐれさに戦慄を覚えていると、教えられた宿が見えてきた。多分あれだろう。


 近くまで来るとお酒の絵が書かれた看板が飾ってあるその上には宿屋と書いてある、文字が読めない人のための配慮か?


 中に入ると1階は居酒屋にでもなっているのだろう、冒険者の格好をした人たちが酒を飲んでいたり、今日の成果を大声で自慢していたり、その奥に受付と厨房があり注文を忙しなく運んでいる。


「よぉにいちゃん、おめぇーも冒険者かぁ?ひょろひょろじゃねーかよぉー」


 受付に真っ直ぐ向かっていたが酔っ払いに絡まれる、めんどくさい、それに酒くさい。


「おいおいむしすんなよぉーおめぇーの冒険話もきかせてくれよぉー」


 無視して進むが絡まれる、めんどくさい、酒くさい。


「きいてんのかてめぇ!」


 いきなりキレだし拳を振り上げる。めんどくさい、酒くさい。飛んできた攻撃を躱しながら受付へと向かっていく、


「むしされてんじゃねーかー、しっかりしろー!がはははははー!」


 その光景を見ていたほかの酔っ払いがちゃちを飛ばす。めんどくさい、宿変えようかな。


「こんのクソ餓鬼がァ!」


 さらにキレた酔っ払いが飛びかかり襲ってくるが、その無防備な腹に1発お見舞しとく。


「ぐぼぁ」


 崩れ落ちる男を傍目に見ながら受付へと進んでいく。


「部屋空いてるか?」

「あ、あ、はい!1泊銅貨8枚です!朝食付きなのでこの値段です。朝の7時に下へ降りて来てください!」


 ギルドでの大会もあるから、少し多めに宿をとるか。


「5日間で」

「え、えっと、」

「銀貨4枚な、ほら」


 計算が苦手なのだろう、受付をやるには少し足りてないな、人手不足か?


「あ、ありがとうございます!こちらの番号が書かれた部屋です!」


 そう言われ207と書かれた鍵を渡される。


「階段を上がってまっすぐ進んだところにあります!」


 鍵を受け取り階段を上り部屋へと向かう、鍵を差し込み部屋を開けると、なかなかに清潔さが保たれた部屋だった。


 見張りに聞いたのは間違いじゃなかったな。いい宿だ。客以外は。


 宿も取れたし、何するか。

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