第84話:迫りくる大気圏突入あるいは燃やされそうな予感
「うへぇえ~」
長い時間が経ってやっと大気圏手前までやってこれた
授業に熱が入ったのかバロの講義は止まらないし
ほっんんんんと疲れた~
無重力で体勢を正して授業を聞くのが
こんなにも体力がいるなんて知らなかったよ…
「お疲れ様です。レイ様
ガソタムはあとおよそ10分で大気圏に突入
いたします」
やっと…帰れる…
いや、地球に帰ってもまだ家で休めるわけではないはず
なんて言ったってガソタムを動かしてしまったのだ。
おそらく、警察とか自衛隊とかが待ち構えているはず…
帰還した後起こるであろう事後処理を想像して
思わず生唾を飲み込む。
「あの~それでレイ様、
1つ言い忘れたことがあるのですが」
「ん?なに?」
「うっかりしておりましたが、レイ様が
大気圏突入の訓練をしていないことを
忘れておりました」
「へっ?大気圏突入?」
そう言えば…
ガソタムのシミュレーションで大気圏突入とか
やって無かったかも…
帰還後の事後処理とは別に今度は
だらだらと汗が噴き出してくる…
「えぇぇぇ!?どうするのよ!!!
大気圏はもうすぐそこなんでしょ!?
慣性の法則なんて授業やってないで
大気圏突入方法を教えておいてよ!!!
もう大気圏目の前じゃないこのままじゃガソタムごと
炭になっちゃうじゃないぃぃ!!!
Uターン!今すぐUターンしないと!!!」
「落ち着いてくださいレイ様
この時点でUターンをしても現在のガソタムの出力では
地球の重力からは逃れられません。
それとご安心ください。ガソタムの装甲は特殊金属
大気圏で燃え尽きることは御座いません」
「なーんだ、ガソタム燃えたりしないんだ、じゃあ安心…」
「ガソタムは燃えませんが、コックピット温度はおよそ
2000度ぐらいになるかと…」
「じゃあだめじゃぁぁん!!!
死ぬ! 確実に死ぬ!!!
恋愛も恋も知らないまま死んでいくんだぁぁぁ!!!」
「……と、いうのが『耐熱バリア』を展開しなかった
時の状態です。
とりあえず、左ディスプレイのコンソールから
『耐熱バリア』を起動してください」
「それを早く言いなさいよぉぉぉ!!!
絶対にわざとでしょ!
私の動揺を楽しんでるでしょぉぉぉ!!!」
「おや、滅相もございません。
私はただ、大気圏突入の恐怖を身をもって
学んでいただこうと……」
「それを楽しんでるって言うのよ!!
早く起動方法教えなさいーーーッ!!!」
ほんとにこのポンコツ執事は…
私をこんなに弄んでどうするつもりなのか…
帰還後の事後処理の憂鬱なんて、一瞬で
吹きとんじゃったよ…




