第83話:近づかない地球あるいは強制的な勉強
「ねえ、バロ」
「はい、レイ様なにかご用ですか?」
「なんか、ぜんぜん地球が近づかないんだけど?
もうさっきの倍ぐらいの時間経ってるよね?」
「レイ様、先ほどレイ様の精神波が爆発したせいで
ガソタムの出力が上がっておりましたが、、
今は通常出力しかでておりませんから
戻るにも時間がかかるのは当然です」
「精神波が爆発したせいって、私のせいにしないでよ
じゃあどれぐらいで帰れるのよ?」
ガソタムの出力が戻ってスピードが出ないのは理解した
が、何もない宇宙空間、その中のコックピット…
ずっと無音の中変わらない景色を眺め続けるというのも
なかなかの拷問じゃないだろうか…
いや、景色は最高なんだけどね…
「…レイ様、大変申しあげにくいのですが…
レイ様先ほど地球に帰還しようとしたときに
ガソタムの向きを反転させましたよね?」
「?、反転したよ?なんで?
反転させないと帰れないじゃん」
「先ほどまでのスピードはマッハ33が出ておりました。
そのスピードを殺さずに大きく
弧を描くように旋回していればよかったのですが、
反転させ逆噴射したせいで減速しました。
最初の数分間は地球に帰るどころかむしろ
遠ざかっていたのです」
「えっ!?そうなの?先に言ってよそういうことは!
なんで教えてくれなかったのよ!」
「あまりに迷いのないUターンでしたので、
何か深いお考えがあるのかと、
ワクワクしながら拝見しておりました」
「わくわくしてんじゃないわよーっ!!」
「おかげさまで退屈な宇宙が良い暇つぶしになりました」
「暇つぶしって何よ!
こっちは命がけで帰ろうとしてるのよ!?」
まったく、人が一生懸命やってるのにこのAI執事は…
少しは気を利かせて助言とかしてくれてもいいじゃない
まあ、減速しちゃったものはしょうがない。
もうしばらくこの宇宙の景色を楽しむとするか…
「ちなみに、地球の成層圏に到着するまで
およそ2時間ほどかかります」
「に、2時間ーーーーーっっ!???
なんでそんなにかかるのよ?
え、なに?この何もない空間で2時間?
嘘だよね?嘘って言ってぇぇぇ!」
ガソタムに乗り込むときにスマホを
置いてきちゃったのよ!?
何もしないで2時間ぼーっとしてるなんて本当に
拷問じゃない!あっそうだ!
「バロ、このガソタムのメインディスプレイで
youtubeとか見ることできないの?」
「機能としてはできなくもないですが、
現在、衛星軌道の外側におりますゆえ
電波が届きません
ちょうどいいので先ほど提案しました勉強の
訓練を今からいたしましょう。
まずは宇宙空間における慣性の法則から…」
えぇ…(げんなり)




