第82話:静寂になるガソタムあるいはオカルトな最高フレーム
無限に広がる宇宙空間
危機も去った。
後は帰るだけだ。
機体を反転させ地球方向に向きを変える。
ペダルを踏みこんだ。
遠くに見える地球がだんだんとその大きさを
増していったが、さっきほどスピードが出ない…
ふと気が付けばガソタムが発生していた出力は
通常に戻っている。
ディスプレイに表示されていた∞マークも
普通の数値に戻ってるし…
「バロ、そういえばさっきまでの
ガソタムの非常識な出力って何だったの?
今はさっきまでのスピードが出ないんだけど?」
「レイ様…私も…いまだに信じられないのですが…
とりあえず説明させていただきます…」
バロはなぜか遠い目で目の前の宇宙空間を
眺めながら説明を続けていった。
「実はこのガソタムの土台となるフレームには
他の装甲金属とは別の特殊な処理を行って
おりまして…
操縦者の精神に反応する性質を持っております」
「精神に反応?」
「はい、機体が操縦者の精神に反応することで
操作性の向上および反応速度を上げるのが
源造様の設計構想なのです」
なるほどわからない?
金属が私の心を読み取るってこと?
今まで勉強してきた中にそんなことができる
金属なんて物聞いたことがないけど⁉
「操縦者の意思を読み取ることで
操縦をアシストするものだったのですが…
まさか…レイ様の精神とシンクロして
あそこまで出力が出るなんて…
そんな風には作られていなかったのですが…」
「作られてない?じゃあなんであんな出力がでたの?」
「おそらく、ガソタムのフレームがレイ様の
精神波をエネルギーに変換したのかと
いやはや、さすがレイ様の精神
あのような莫大なエネルギーを発生させるとは
このバロ感服いたしました」
「感服いたしましたじゃないよ!
なに勝手に納得して美談にしてるの!?
設計した人間すら把握してないエネルギーが
精神波から発生して、機体が爆発もせず動いてるって、
ただのバグか欠陥構造でしょ!怖すぎるわ!!」
えっ⁉なに?つまり今回のことは
全部偶然ってこと?
結果的に町を守れたのはよかったけど
一歩間違えばガソタムが爆発してたかも?
怖っ!
「これはうれしい誤算というものです。
このフレームを研究してガソタムの出力を
さらに向上させましょう。
そうだ!これを機にこのフレームを
「最高フレーム」と名付けましょう。
これは帰還したら私忙しくなりそうです」
「ネーミングセンスが最悪だよ!!
嬉しがってる場合かーーーっ!!
人の心を勝手に未知のエネルギーに変換するような
オカルト機体、怖くて二度と乗りたくないわよ!!」
地球に帰還している無音の宇宙空間の中
コックピット内には私の切実なつっこみが
響き渡る。
っていうか、私
もう二度とガソタムを動かすつもりはないんだけど
そんな私の願いを余所に、青い地球は刻一刻と
近づいてくるのだった。




