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起動させないしガソタム〜おじいちゃんが地下に残した遺産ーTrue Story~  作者: じょん-ドゥ


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第8話:機械仕掛けの執事あるいは止められないプロジェクト

せり上がってきた球体の塊、緑黒い色で

だいたいバスケットボールぐらいの大きさかな、

うん、ちょうど今日の体育の授業で見たから正確だと思う。

 

なんてのんきなことを考えていた次の瞬間、

ちょうどその物体の上半分から

いきなり「プシュー」と音を立てて煙を吐き出した。

 

「きゃあぁぁぁ!」

私は硬直した体をなんとか動かし座布団を盾にして

防御態勢をとり、部屋の片隅に距離を取る。

 

その物体は煙を吐きながら、球体の上半分を真ん中から

左右にパカッとゆっくり開いた。

煙が落ち着くと同時に開いた中央から青白い光が放たれる。

 

私はそばに置いてあったポットを手に取り

攻撃態勢も完了。

 

しかし、その青白い光はだんだん人の姿になっていく。

これってホログラム?って注目していると、

その姿は燕尾服に蝶ネクタイ、ストレートの髪に

スタイリッシュなメガネをかけている、

まるで漫画に出てくる執事そのものだ。

 

『レイ様落ち着いてください。心拍数が上昇しています

 落ち着くために深呼吸を推奨いたします、さあご一緒に

 吸って~、吐いて~、もう一回吸って~』

 

ホログラムに映し出されている人物が深呼吸の動きをする

いや、どう見てもあんたに呼吸は必要ないでしょ?

って心の中でツッコミを入れる。

 

『落ち着かれましたか?

 初めまして、レイ様の生活およびガソタム運用を

 サポートいたします。AI執事の「バロ」と申します』

 

サポート?

生活は良いとしてもガソタム運用?

そんなのいらないんだけど…って言うか、それよりも

 

「AI執事だかなんだか知らないけどね、私は「うらら」!

 「レイ」なんて呼ばないで!」

 

『おや?レイ様、戸籍謄本上のデータでは

 「古谷 麗」「ふるや れい」となってますが?

 源造さまがお付けになった素晴らしい名前では

 ないですか?』


「だから「レイ」って呼ばないでって言ったでしょ?

 私は「うらら」!」

 

しかし「バロ」と名乗るその執事は飄々と答える。

 

『レイ様の呼称を設定したのは源造さまで御座います。

 現在、設定を変更できるのは源造さましかできません』

 

「おじいちゃんしか出来ないって、だっておじいちゃん

 もう亡くなってるのよ?設定変更なんて無理じゃない」

 

『はい、その情報もインプット済みでございます。

 ですので、マスター登録をレイ様へ変更することも

 可能ですがいかがされますか?』

 

…マスター変更、要するに主人って言うか、所有者を

変更するということか… まあ、それぐらいならって…

待て、待て、待て、再開発の時に何も考えないで

失敗したのをもう忘れたの?

同じ間違いは繰り返さない!

 

「バロ、簡単にマスター変更って言わないで!

 一から全部説明してちょうだい!」

 

バロは満面の笑みで、私に答える

 

『すばらしい!、再開発の失敗を糧にして成長する

 レイ様の執事としてとてもほこらしいです』

 

「はぁ?なんでバロがその事知ってるの?」

 

『レイ様周辺の情報は一つも逃さず収集しております

 すべてはレイ様の生活向上のため』

 

情報収集?また不穏なワードが出てきた。

良いからさっさと説明してよ。

 

『では改めまして、AI執事の「バロ」です。

レイ様のサポートをするために源造さまに作られました。

源造さま曰く、レイ様の身の回りのお世話をしつつ

将来幸せになっていただくのが目的です』

 

私の幸せ?まあ、いつかは誰かと結婚するだろうけど…

とりあえず、落ち着いて話を聞くために、

ペットボトルのお茶を一口飲む

 

『はい、運命のお相手、安室様とのご結婚です』

 

ブフォッ、私は盛大にお茶を吹き出してしまった。

盛大に噴き出したお茶は、私のカバンにふりかかる。

 

「なに言ってるのよ!私は安室姓の人とは

 絶対結婚しないわよ!」

 

と、バロに抗議の声を上げたのだが、バロはそっちのけで

空中に何かのリストを投影し始めた。

 

「何これ?」

 

『はい、半径30km以内にいる独身男性で安室姓の

 データです。横にスライドさせると写真も見れますので

 どうぞご確認を、気になった方がおられましたら

 その方の攻略までサポートいたします』

 

「いらないわよ!そんなサポート!

 攻略なんてしないからね!」

 

私は手に持ったペットボトルをちゃぶ台に強く叩きつけながら

猛抗議した。

 

『しかしレイ様、安室姓の方との結婚は

 源造さまの悲願です。それを無下にするのは…』

 

「あんた、さっき私を幸せにするのが目的って

 言ったわよね?

 安室姓と結婚するのは私にとって不幸なの!」

 

ぜぃ、ぜぃ、と肩で息をしバロに反論、

バロを見ると、とても不服そうな表情をしてる。

さっきの満面の笑顔は何処へ行った?あ、そうだ、

 

「バロ、もしかしてさっきのマスター変更ってしたら

 安室姓と結婚をサポートってしないように出来るよね?」

 

そうだ、マスター変更、バロの主人が私って事になれば

命令もすんなり受け付けるだろう

 

『レイ様、残念ながら、マスター権限でも中止できない

 プロジェクトがいくつかあり、安室結婚プロジェクトも

 その一つでございます。むしろマスター変更で

 より一層のサポート強化をお約束いたします」

 

「なんでよぉ!じゃあ、しないよ!マスター変更なんて!」

 

危なかった…安易にマスター変更していたら強制的に

安室姓と結婚させられるところだった…


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