第77話:耐え難い重圧あるいは激励のペンダント
「ぐ、ぬ……ッ……!」
容赦ない加速…
それによる重圧が私の体にのしかかる…
気を抜いたらすぐにでも気絶しそうになる。
「こらえるんじゃ!レイ!
ここで気絶したら終わりじゃ!
マッハ2に到達するまで耐えきるんじゃ!」
「ぐ、ぬ……ッ……! ぬ、ううううっ……!!
あとどれぐらい!?
あと何秒耐えればいいのか…
ガソタムの機体は私の苦しみとは関係なく
最高出力で上昇していく…
「マッハ2到達まであと、6秒じゃ!
それまで踏ん張れ!レイ!」
あと6秒…
もう何十分も加速している感じがするけど
いまは一秒一秒がとても長く感じる…
バロが、カウントを取る。
「マッハ2までカウント
5…4…3…2…1…
0、ガソタム最高速度到達じゃ!」
マッハ2に到達した…
到達した瞬間それまで自分の体にのしかかっていた
その重圧は、ピタリと消える…
「……っ、がはっ、……はあ、はあ、はあ……っ
何とか…耐えきった…ふぅ…」
気が付けば全身から汗が噴き出していて
不快を覚えるが、それも意識がはっきりしてる
証拠だろう。よし、このまま…ミサイルを…
「レイ、最高速に入ったまま速度を落とさず
そのまま上昇じゃ!
あと2分程で高度100kmに到達する!
そこでショットガンを構えるのじゃ!」
「了解!おじいちゃん
合図お願いね!カウント宜しく!」
マッハ10で飛来してくるミサイルを目視で確認して
打ち落とすなんて芸当出来るわけない。
おじいちゃんの合図でこのトリガーを引くだけだ!
まだ見えぬ弾道ミサイルがあるだろう空を
見続けながらさらに上昇していく…
ピピ・・ピピピ…
んっ?なんだこの音は、私の首元で鳴っているような…
突然の音に少しだけ集中が乱れる。
ふと音のする方へ視線を向けてみると私の胸元から
なにか点滅する光が見えた。
パイロットスーツから光の原因になるものを取り出す…
これ…九条さんにもらったペンダントだ…
光っている部分に指を置くとそこから九条さんの
声が聞こえてきた…
「うららさん…動かしてしまったのね…」
「九条さん…私…ごめんなさい…」
「いえ、動かしてしまったのは…みんなを守るため…
そうでしょ?」
ペンダントから九条さんの声だけが聞こえるのに
なぜだか九条さんの悲しい顔が頭の中に浮かぶ…
「そんなことより、九条さん!、早く!
早く避難して!ミサイルが!」
「…いいのよ、うららさん…
私は、このまま運命に身をゆだねるわ…
それに、うららさんがミサイルを何とかするのでしょ?
私、うららさんなら出来るって信じてるから…」
「九条さん…」
九条さんの優しい言葉が私の背中を押してくれるような
そんな錯覚を受ける。
信じてくれる…
「うららさん!今はミサイルをなんとかする事だけを
考えなさい!、その後、何があっても
私はうららさんの味方だから…
だから、今は全力でいきなさい!」
九条さんの激励に力をもらった私…
絶対にミサイルは迎撃する!
九条さん…サキ…チカ…それに町のみんな…
もうすぐ、そのみんなの未来を破壊する悪意の塊
それを阻止しなければと改めて決意を固める。
「九条さん、有難うございます。私頑張ります」
私がその一言を言った後、ペンダントの光は消え
九条さんの声も聞こえなくなった…
でも、このペンダント…
このペンダントのその奥の向こうに九条さんが
居てくれている。それだけで心強い
ディスプレイの高度の数字が間もなく100kmに
なろうとしている。
ガソタムの腕に抱えたショットガン…
その銃口をまだミサイルの見えない空に向けて…
「おじいちゃん!カウントお願い!」
「まかしとけ!レイ!
ミサイル迎撃までカウント25秒…
24…23…22…」
バクバクと高鳴る心臓を抑え、おじいちゃんの
カウントダウンに全集中し始める。
カウントが0になったらトリガーを引く、
町の未来のために!




