第73話:崩れる平穏の日あるいは飛翔する脅威
サキの宿題騒動が一段落して翌日
自分の課題は完了しているから残りの夏休みを
のんびりと過ごそうと思っている今日この頃
昨日の騒動が嘘のようにまったりと居間で
お茶をすする。
ふぅ、今日はどうしようかな~
ずっと家にいるのもなんだし、でかけようかな~
と思っていたら、バロが慌てた様子で
私の前まで来た。
「レイ様、一大事で御座います」
何をそんなに慌てているのだろうか?
サキの課題の事かな?
でもサキの様子なんてさすがのバロでも
四六時中監視していないだろうし、なんだろ?
「たった今、総理大臣あてに、北夜国から
国際ホットラインが入りました。
その内容は1時間後、この町にミサイルを
打ち込むとの事です」
総理大臣あて?
なんで総理大臣へのホットラインの内容を
バロが分かるの?盗聴?
それって、ものすごい犯罪じゃないの?
「北夜国は、この間実施された
経済制裁の解除を要求しているみたいです」
経済制裁の解除?
それってこの間、日本上空をミサイルが通過して
グアム近海に落ちたって事件の事だよね?
確か、その件に日米共同で経済制裁をするって
確かにニュースで言っていた。
「バロ!もちろん政府はその要求を呑むんだよね?
じゃないとミサイルが来ちゃうもんね?」
経済制裁の言葉自体は聞いたことがあるが
その内容までは詳しくは分からない?
その文字からまあ、経済的な制限を設けるみたいな
感じの認識だったが、
そんな制裁行為より人命…国民の命の方が
重要視されるはずだ。
しかし、バロが投影する執事のホログラムは
その首を軽く振り…
「レイ様…残念ながら、アメリカの意向として
テロに屈する事ができないとの事です。
おそらく北夜国の要求は通らないでしょう。
ホットラインから既に20分…
残り30分を切ったところで、Jアラートで
避難指示が発令されるはずです」
「えっ!?それじゃやばいじゃん!
早く避難しないと、どこまで離れれば
安全なのか教えてバロ!
サキとチカにも連絡しなくちゃ!」
「落ち着いてくださいレイ様
北夜国の軍事サーバーにハッキングしたところ
打ち込まれるミサイルは、核非搭載の通常弾頭です。
隣町まで行けば安全でございますが…」
隣町まで…
急げば何とかなるのかな…
ちゃぶ台に置いてあるスマホと財布を拾い
急いで外に出ようとするが…
「お待ちください、
そもそもこの家の素材は特殊金属でできております。
この家の中にいる限り、ミサイルが直撃しても
死ぬことはありません」
そうだった、この家は特殊金属でできていて
10万年たたないと風化しないぐらい頑丈だった…
つまり外に出なければ安全…って…
「バロ!私じゃなくて他の人は?
ちゃんと避難できるんだよね?
サキやチカは死なないんだよね?」
自分だけ…自分だけ助かればいいって事じゃない…
この町は大都会ではないがそこそこ人が暮らしている。
みんなちゃんと避難できればいいけど…
スマホを操作してサキとチカに連絡を試みるが
二人とも通話に出なかった。
私は祈るような気持ちで…
サキ…チカ…
お願い…無事でいて…




