第69話:元台所での宮廷昼食会もしくは破滅への序章
「わ~すごい豪華!
早くたべた~い!」
サキがテーブルに乗っかっている豚の丸焼きを
目にしてよだれを垂らしていた。
普通の家の昼食に豚が丸ごと一頭、丸焼きになって
食卓に上がっているって異常なんじゃないだろうか?
例によって並べられた豪華な料理は
空気で出来ているらしく、お金はかかっていないのだが…
いつも以上にやりすぎである。
「バロ!いつもいつも、やりすぎよ!
料理もそうだけど台所までこんなにしちゃって!
だいたい今日は夏休みの課題をこなさないと
いけないんだから、昼食に時間をかけるわけには
いかないのに!」
「はて?レイ様
私はいつも通り職務を全うしているだけで
御座いますが?
食事も普段通りに…」
「普段はもっと普通の食事を用意してるでしょ!
サキとチカが来たときだけ奮発するんだから
この見栄っ張りAI!」
このAI執事、普段は普通のごはんを用意してるのに
サキ達が来たときだけやたらと張り切る。
中身はおじいちゃんの自意識が入っているはずなのだが
もしかしておじいちゃんって女子高生好きなのか?
「レイ様、ひとつ言い訳をさせて頂ければ、
レイ様達が夏休みの課題をやっている最中
私は特にやることが無かったものですから…
こうなるのも仕方がないかと…」
ふむ、つまり午前中私たちが課題に夢中になって
バロをかまってあげなかったからって事?
そんなペットじゃあるまいし…
かまってあげなかったせいで予想外の事をするとか
どんだけナイーブなんだ?このAI
「うらら~とりあえず食べようよ もう我慢できない!」
サキが早くとせかしてくる。
用意してしまった物はしょうがないから
とりあえず頂くか…
しかしまあ、王宮みたいな部屋に
そこに並べられた数々の料理…
肉もあれば魚もある、フレンチだけじゃなく
お寿司や中華まである…
ほんと節操ないな…
サキの「いっただっきま~す」の掛け声が合図となって
食事が開始された。
まず私は、この春巻きから食べようかな
うんおいしい…
私達三人は宿題と言う拷問の束の間
おしゃべりしながら楽しく食事の時間を楽しんだ。
バロも甲斐甲斐しく私たちの世話をする。
もしかして女子高生が好きなのではなく
単純に世話を焼きたいだけ?
そう思いながらも最後のデザートまでしっかりと
堪能してしまった。
ちょっと食べすぎたかもしれない…うぷっ、
さあ、昼ご飯も食べたしもうひと頑張りしないと…
「レイ様、食後すぐに体や頭を使うのは
健康には悪うございます。
お茶を入れますので食休みしてから再開で
どうでしょうか?」
う~ん、言われてみたら現在満腹で
すごく苦しいし、この状態で課題をするのも
きついかも…
「そうね、じゃあ お願いできる?
居間で飲むから用意おねがい」
バロは「かしこまりました」と一言
なぜかサキが「お茶?じゃあお茶請けはケーキが良い」
なんて言い出してるけど、食後のお茶だからね?
チカも私と同じように思ったのかサキに注意を入れる。
サキはケーキどころじゃないと思うんだけど…
しかしこのお茶が破滅への道しるべとはついぞ
思わなかったのであった…




