第61話:祖母のエピソードあるいは昭和ドラマ
お墓参りも終わり、家に戻ってきてバロが淹れてくれた
お茶を一口、そこでふと思いついたことが…
「そうだ、バロ、
おばあちゃんってどんな人だったの?」
「レイ様のおばあさまの事ですか?
一応記憶データにありますが、聞きたいですか?」
ホログラムのバロが、眼鏡を指で押し上げながら、
私の質問に答えてきた。
さっきお墓参りしたあのお墓にはおじいちゃんのほかにも
おばあちゃんが眠っているんだ。
おばあちゃんの事を聞くにはベストなタイミングでは
なかろうか?
「うん、よかったら聞かせて!
っていうか、もしかして九条さんが実は
私のおばあちゃんだったりして」
「いえ、レイ様、そのような事実はございません。
そうですね、どこから話しましょうか…
あれは、そうですね源造さまが例の
研究所を退所してしばらく経った頃でしょうか」
バロのホログラムはしみじみと遠い目をしているような
そんな執事の姿を映し出していた…
と思っていたらその上に映像ウインドウが開かれた
そこには…ビルの裏路地だろうか
日も落ち薄暗い裏路地に急いだ様子で走っている人影が
って…なにこれ?
えっ?ドラマ仕立てで説明するの?予想外なんだけど…
「……街の灯りも乏しい、暗い夜道でのことでした」
画面の中の走る人影はその両手に赤ん坊を抱え
何かから逃げていた、
そして、走ることに限界を感じたのか
何かから逃れるようにその身を隠すように
身をかがめた、が、しかし…
その赤ん坊を抱いた女性に数人の男たちが
下卑た笑みを浮かべ近づいて行く。
「へっへ、もう逃げられないぜ。
大人しく俺たちと一緒に来な」
…昭和か⁉、って、うん、おじいちゃんの若いころ
は昭和だったわね…
そこに一人の男性が…
若い男性だけど、なんとなくおじいちゃんの面影があって
ちょっとかっこよすぎない?この姿
「ちょっと待ちな、どういう事情か知らねえけど、
女性に対して乱暴がすぎねえか?」
「なんだてめーは!」と男たちが殴りかかるが、
おじいちゃん(若い)は鋭い眼光でそれを見切る。
鮮やかな身のこなしで攻撃をかわすと、
重いカウンターを相手にぶちかました。
「覚えてろよ!」と捨て台詞を残して逃げ去った。
「お怪我はないですか」と優しく
手を差し伸べた――
「…バロ?これ、私は何を見せられてるの?
おばあちゃんのことを聞きたかったんだけど?
これじゃ昭和の頃に放送されていた出来の悪い
ドラマみたいじゃない?」
「ええ、ですから源造さまとレイ様のおばあさまの
最初の出会いのシーンでございます」
ふ~ん、つまりこれがおじいちゃんと
おばあちゃんの初めての出会いって事?
なんかドラマチックすぎない?




