第58話:温かいペンダントあるいは緊急ニュース速報
「九条さん、本当にいいんですか?
泊まってくれても全然うれしいんですけど」
「ありがとう、うららさん
でもごめんなさいね、明日予定があって
今日は帰らないといけないの」
九条さんと色々お話をして楽しい時間だった。
この間助けてもらったお礼に、今日は泊まって行ってと
提案したのだが、用事があるとかで断られてしまった。
「あっ、そうだうららさん、これ…」
九条さんが帰り際私に小さい箱を差し出してきた。
開けてみると小さなペンダント。
「うららさん、なにかあった時の助けになると思うの
いつも身に着けていてもらえるかしら」
そう言って、九条さんは箱からペンダントを
取り出し、私の首に付けてくれた。
「九条さんいいんですか?
なんだか高そうなペンダントですけど…」
「いいのよ、これはうららさんを守ってくれるかも
しれない物だから…
うふふ、よく似合ってるわよ」
付けてもらったペンダント
玄関に置いてあった鏡を見てみると胸元にそのきらめきが
金属で冷たいはずのそのペンダントはなんだか
温かく感じた。
お礼を言った後に九条さんは帰って行った。
九条さんに付けてもらったペンダントをそっと撫でる
今度お礼にまた九条さんの家に遊びに行くのも
良いかもしれない。
そう思いながら居間へ戻る。
居間でクッションに座りテレビを付けて
ニュースを見ているとバロがお茶を持ってきた。
「レイ様、九条さまがおっしゃっていた源造さまの
話ですが、かなり誇張が入っていたと思われます。
ですので、記憶に留めない方が宜しいかと」
「何よバロ過去をばらされて恥ずかしいだけでしょ、
別におじいちゃんの事、幻滅したとかないから
安心してよ」
九条さんの話を聞いて、思わず大爆笑していたが
それとこれとは話が別だ。
そんなことでおじいちゃんを嫌いになるわけではない。
ただの家族間の笑い話ってだけだ。
「いえ、そうでは…」
バロが、まだ何か言いたそうにしているが
まあ、中身がおじいちゃん本人だから恥ずかしがってる
だけだろう。
そんな折、テレビに映ったニュースには
たしか日本の防衛大臣…え~と名前何だっけ?
いや、忘れたわけでも知らないわけでもないのだけど、
え~と、なんて考えていたらその防衛大臣の発表が
行われる。
「先ほど〇〇時〇〇分頃、
北夜国より発射された弾道ミサイルは、
我が国の上空を通過し、東京の南約2000kmの
太平洋上に落下したものと推定されます。
今回の発射は、我が国の安全保障に対する
重大かつ明白な脅威であり、
到底容認できるものではありません。
先ほど外交ルートを通じて、厳重に抗議するとともに、
最も強い言葉で『遺憾の意』を表明いたしました。
また、先ほど総理が米大統領と緊急の
電話首脳会談を行い、日米が連携して、
北夜国に対する独自の『共同経済制裁』を
追加で実施することで合意いたしました。
資産凍結や貿易制限のさらなる強化について、
速やかに手続きを進めます。
あわせて、米国政府からの強い要請に基づき、
日米同盟の抑止力を維持するため、
周辺海域で警戒監視にあたっていた海上自衛隊の
イージス護衛艦をグアム近海へと緊急展開させることを
決定いたしました。不測の事態に備え、
万全の態勢を敷く所存です」
防衛大臣が仰々しく発表を行う様子を
テレビの画面は映し出していた。
なんかいろいろ言っていたけどつまりどういうこと?
おそらくさっき九条さんが来る前に飛んで来た
ミサイルの件だよね?
まあいい、夜のニュースで分かりやすく
報道されるだろうからそれを見ればいいやって
思っている所にバロがぼそっと語り始めた。




