第54話:平穏の終わりあるいはミサイルの脅威
バロとの攻防があったその日から数日
再び平穏な生活が戻ってきたと思われた。
しかし、最近は毎日スマホから鳴り響く
Jアラート…
もうほんとにいい加減にしてよ!
居間で夏休みの宿題を
頭を抱えながらやっている所にJアラートが
鳴り響くのって結構なストレスなんだけど!?
もう最近は慣れすぎちゃってバロに
ミサイルの動向を確認することも無くなった。
どうせ今回も海に落ちるんでしょ…
「レイ様、お勉学お疲れ様です。
お茶をお持ちしましたので少し休憩をいかがですか?」
バロがちゃぶ台にお茶とお菓子を置きながら
話しかけてくる。
あの日、バロの正体がおじいちゃんと確信してからも
バロのその態度は変わることは無かった。
逆に私への甘やかしに拍車がかかったような気がするが…
今だって、宿題始めてから20分も経っていないのに
休憩とか言ってくるし。
「レイ様、今回のJアラートですが、いつもとは少し
様子が違うみたいです」
「ふ~ん、そうなの?」
「はい、今回のミサイルは日本本土を横切り
太平洋側に落下するみたいです」
「えっ?日本の上空を通過するって事?
今までそんなことなかったじゃん!?
途中の都市とかに落ちたりしないの?
大丈夫なの?」
「はい、このままの勢いで飛行したならば
東京上空を通過してそこから南へ2000Kmほどの
地点に落下するかと」
「う~ん、日本に落ちないのなら安心だけど…」
「とんでもございません!
その落下地点はもうグアムの目と鼻の先
アメリカが黙ってはおりません」
「あ、アメリカ?」
「はい、今回は日本政府の遺憾砲は少し違うものに
なるでしょう。おそらく…
日米共同の軍事的な対抗措置もしくは経済制裁が
取られると思われます」
いつもの事で慣れてしまったJアラート
普段の日常に溶け込んでいたと思い込んでいたそれは
一瞬にして崩れ落ちた。
「やはり、ガソタムで一発…」
「なんでよ!
だいたい、勝手にガソタムを起動させて
いくら、その国が悪いことしてるからって
その国に攻撃を仕掛けたら、今度は私の方が
犯罪者になっちゃうじゃない!」
バロはことあるごとに物騒なことを言ってくるけど
私は犯罪者になるつもりは毛頭ない。
バロはまだ何か言いたげだったけど
私はバロが淹れてくれたお茶を一口飲み
再び目の前の宿題に取り掛かった。




