第53話:AI執事との攻防あるいはうかつなおじいちゃん
ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ、
いくら問い詰めてもバロは認めない
「いい加減に認めなさいよ!
もうバロがおじいちゃんだってわかってるんだから!」
「おやおや、レイ様、ではその根拠となる
エビデンスを出してもらえますか?」
ダメだ…このままではバロに押し通されてしまう。
何とか…何とか流れを変えなければ…そうだ!
「バロ、九条さんに聞いたんだけどおじいちゃんって
若いころ研究所で働いていたんですって?」
「はい、私のデータベースにもそう記録されております」
「なんでもランジェリーの研究所なんだってね」
「そ、そうですね、記録にあります…」
「なんでランジェリーの研究所なの?
ランジェリーなんかガソタムには関係ないじゃない?
たかが女性の下着でしょ?」
「とんでもない!
ランジェリーには無限の可能性があります!
パンティを例にとれば、あの伸縮性、
滑らかな肌触り、そして洗練されたそのデザイン!
どれをとっても研究に値するものなのじゃ!」
「へー、おじいちゃんって天才なんだね!
一般人だとそんなことに目を付けないよ!
ブラジャーとかも研究してたの?」
「もちろんじゃ!
ブラの胸を保持するあの機能美!
あれは機械工学の真理の塊ともいえるわい!」
「え~そうなんだ!
だから世界の平和をおじいちゃんが守るため
頑張って研究してガソタムを作ったんだね!
う~ん、尊敬しちゃうな~」
「そうじゃろ!そうじゃろ!
だからレイも頑張って一層ガソタムの操縦技術を
磨くんじゃぞ!」
「…おじいちゃん? 素が出てるよ?」
「あっ、いえ…
あの、その…源造さまのデータから
源造さまならこう言うかと…」
「…」
思った通り、おじいちゃんの嗜好を刺激する話なら
熱く語ってそのうちボロが出ると思ったけど…
案外、チョロいわね。
でも、これで確信した
バロの中身はおじいちゃんだ!
何だろうこの感覚…
帰ってくるまでは、もし中身がおじいちゃんなら
今までの事、さんざん文句を言おうと思っていたのに
確信した今は怒る気持ちが失われてしまった。
怒りよりも再びおじいちゃんに会えたという
嬉しさの方が勝ってしまったからなのかもしれない。
そう考えている途中もバロは
中身がおじいちゃんだということを必死に隠そうと
弁明を繰り返している。
そう考えるとなんだかかわいく思える。
おじいちゃんがそこまで必死に隠そうとする理由が
あるのならそれでいいかもって思い始めていた。
にやけ顔を隠すようにちゃぶ台にうつぶして
いまだに弁明を繰り返すバロを眺める。
ふと、昔おじいちゃんの膝の上で、
おじいちゃんの事を呼んだ子供の頃を思い出し、
「ねえ、おじいちゃん…」
「なんじゃ?レイ?…あっ」
おいおい…、隠すんだったらもうちょっと
気を付けて頂戴よおじいちゃん…




