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起動させないしガソタム〜おじいちゃんが地下に残した遺産ーTrue Story~  作者: じょん-ドゥ


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第5話:私の親友あるいは絶叫のジャンヌ・ダルク

翌日、学校の教室…

 

休み時間、サキがスマホを片手に話しかけてきた

 

「ねえ、うらら聞いた?うららの家のところの駅

 再開発が始まるんだって?」

 

「いいよね~うらら超便利になるじゃん!

 あ、でもうららの駅まで私達も一本で行けるから

 いろいろ遊べるかも」

 

サキの話題にチカも入ってくる。

 

「駅もおおきくなるし、新路線が増えて

 隣町のシネコンとかすぐ行けるようになるってね」

 

二人とも「いいな~」なんて私に同意を求めてくるけど

私は引きつった笑顔を返すしかできない。

新路線の敷設が決定したら私の人生が終わる…

 

「う、うん…そうだね、便利にはなるかな…は、は…

 でも、むやみに便利さを求めるのもどうなのかな?」

 

私が、何とか言葉をひねり出すとサキがつっこんでくる。

 

「えー、なんで? 便利になるんだよ?いいじゃん?」

 

純粋にうらやましがってるサキ、でも…

私は意を決してサキ達に説明をする。

 

「実は、駅の再開発で出来る新しい路線なんだけど…

 おじいちゃんの…私の家を通るらしいんだよね…」

 

サキ達は目を丸くして驚いている。

 

「おじいちゃんとの思い出が詰まった家だから…

 無くなるの嫌だなーって思って」

 

「そうだったんだ、便利になっていいねなんて

 軽はずみなこと言ってごめんね…」

「私も反省、知らなかったとはいえ勝手なことばかり」

 

私の気持ちを察して謝ってくれる二人はやっぱり親友だ…

でもごめん、おじいちゃんもそうだけど…そうだけど…

何より地下室、ひいてはガソタムがバレるわけには

いかないのだ…

 

(本当にごめん、サキ、チカ、私の秘密を話せなくて)

 

「でも、どうするの?再開発の計画進んでるんでしょ?」

 

今度はチカが本気で心配をしてくれている。

2人には反対運動に参加することを伝えてもいいかな。

 

「再開発を止めてもらうように、反対運動に

 参加することになったんだ」

 

「だから、放課後とかちょっと遊べないかも…」

 

「反対運動⁉」って2人は驚いていたけど、お互い

顔を見合わせると、「うらら、頑張って」

「私に出来ることなら手伝うよ」なんて応援してくれた。

 

うしっ!もう後には引けない…

やってやるんだ!

 

放課後、私は市役所に向かう。

反対運動の集会、リーダーの岡田さんには

昨日の時点で紹介されていた。

 

真っすぐ岡田さんの所へ向かうと岡田さんは

「待っていたよ、うららちゃん、はいこれ!」と

黄色いヘルメット、よく交通誘導の人がかぶってるような

やつと、赤いメガホンを渡してきた。

 

んっ?…ヘルメットはわかるとしてこのメガホンは?

 

リーダーの岡田さんは続けて

 

「新路線敷設のエリアの中で家があって住んでいるのは

 うららちゃんの家だけなんだよ、他は畑とか林とかだな

 だから、反対運動の要になるうららちゃんを

 前面に出す!」

 

いやいや、聞いてないんですけど…

 

周りを見渡して反対運動のメンバーをみれば

私の活躍を期待するような目線

 

う~ん…、でもこのままじゃガソタムを発見されちゃうし

少し躊躇したのだが、私の未来の平和を守るため

覚悟を決めた。 半ばやけくそのように市役所に向かって

メガホンを構える。

 

「再開発、反対ーー!、自然を壊すなーー!」

 

続けて、メンバーたちが私の言葉を繰り返す。

普通の人がはたから私の事を見たらどう思うのだろう?

 

声を張り上げている私の姿…

反対運動の人たちの前に、バリケードのように並べられた

長方形の木箱。

そこに片足を乗っけて、メガホンを構え、もう片方の腕を

天高く掲げている。

 

べっ、別に私が反対運動の人たちを扇動しているわけじゃ

ないからね。リーダーでもないから誤解しないで…

 

「美しいこの町の景観を壊すな

 私達は便利を求めてない!

 私の私達の町をめちゃくちゃにしないで!」

 

…嘘です、本当は便利な方がいいです。

おじいちゃんの家を分断しないのなら新路線大賛成です。

 

なんて心の声をうっかり言わないように

気を付けなければ。

 

後ろの反対運動メンバーは、ほぼお年寄り

叫ぶ私の姿を見て、

「見ろよ、源造さんの孫娘さんを」

「感心じゃ、うららちゃんみたいな郷土愛にあふれた子が

 若い子にいたなんて…」

なんて言ってるし、なんか勘違いされてない?

「そうだ!うららちゃんを悲しませるな!」

「反対! 反対! うららちゃんの平穏を守れ!」

 

…なんかこの反対運動の主体が私になってない?

 

いつの間にか反対運動の主体に祭り上げられた私…

なんか取り返しのつかない方向に行っているような…

いや、ここでやめるわけにはいかない!

あの地下室が見つかるわけにはいかないから

 

私はさらに声を上げる。

結局、反対運動は2時間も続き私の声もガラガラに

なってしまった。

別のグループは市役所入り口で署名活動などやっていて

…私もそっちの方が良かったなんて

思ったり、思わなかったり…

 

そんな弱音を吐くわけにはいかない!

地下に眠る、ガソタムの存在を隠すため…

明日も頑張る決意を暮れゆく夕日に固く誓った。


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