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起動させないしガソタム〜おじいちゃんが地下に残した遺産ーTrue Story~  作者: じょん-ドゥ


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第4話:駅前の再開発あるいは未来への反対運動

放課後、おじいちゃんの家…もとい

私の家に帰ろうと学校を後にした。

 

最寄りの駅に着いて電車を降りるその足は重く感じる。

やっぱり、サキとチカをごまかした罪悪感だろうか…

 

駅から出て、ふと足を止めなんとなく周りを見渡してみる。

おじいちゃんの家がある街は、都会といった雰囲気とは

言えず、かといってド田舎かと言われれば、

そこまでド田舎ではない。

 

駅前には商店街もあるし、人の通りもそれなりにある。

それでも、自転車で家の方向へ10分も走り出したら

周りの景色は畑だらけに変わる。そんな小さな町だ。

 

私は駅の自転車置き場に歩き出したがすぐに足を止めた。

駅の掲示板に貼られていたポスターが目についたからだ。

いつもは掲示板なんて見ないのだが

今日はたまたま視線に入ってきたのだ。

 

『祝! 駅前再開発計画始動 より便利な街づくりへ』

 

…再開発?

 

私は掲示されていたポスターを食い入るように見る。

 

読んでみると、この駅の路線を1本増やして

駅も大きくするみたいだ。

駅前の商店街もその駅の中に入るらしい。

 

問題は増える路線の通り道だ。

この予定図を見ると私の家の近くを通らない?

ポスターには「土地取得交渉中」と書いているけど…

 

予定図の地図上には赤い点線が描かれていて

この赤い線の所に線路が通るらしいが、

 

う~ん、微妙なところだ。

ギリギリ私の家をかすめているような…

 

でも、線路の敷設って、電車の幅だけ土地が

あればいいわけじゃないよね…

上下線の分の線路とある程度の余剰が必要なはずだ。

 

嫌な想像が頭の中を駆け巡る。

もしも、私の家が予定範囲に入っていたら…

もしも、敷設工事の際に地下室が崩落したら…

 

工事中に突然地面に穴が開き重機が飲み込まれる、

救助活動中に泥にまみれたガソタムをみて

唖然とする工事関係者やレスキューの人々

 

だらだらと、いやな汗が額から首筋、背中へと伝って行く

ハンカチで拭っても次から次へとあふれ出す。

 

じっとなんてしてられなくなる。

私は居ても立ってもいられず、市役所の都市開発課へ

向かった。

この都市開発の詳細を調べないときっと

夜も眠れなくなる。

 

カウンターの受付で、再開発の詳しい話を聞いた。

職員さんは地図を持ってきてくれて丁寧に説明してくれた

広がった地図の自分の住所付近。

自分の家の住所の場所を震える指で探し始める。

 

…だめだ、本格的にまずい…

 

新しい路線ががっつり私の家を分断するように通っている

工事が始まれば、まず、家の取り壊しが始まるだろう。

そしたら、あの地下室がばれてしまう。

ガソタムも見つかってしまうだろう。

 

「…どうしよう、おじいちゃん…助けて…」

 

目の前が暗転し膝の力が抜けそうになった。

脱税、違法建築、そして違法兵器。

私の高校生ライフが音を立てて崩れていく予感。

 

職員さんにお礼を言い市役所の出口に向かう。

呆然とする私。暗い未来の想像が頭から離れない。

そんな時だった。

市役所の外から騒がしい声が聞こえてきた。

 

なんだろ?と思いつつもその声に反応する気力は

私にはない。が、しかし

市役所から外に出て目に入ってきた文字を見て

私は希望を感じた。

 

外には数人の人だかり、その人たちが横断幕を掲げていた

横断幕には「再開発反対! 先祖代々の土地を守れ!」と

でかでかと書かれている。

 

「再開発反対~美しい景観を壊すな~」

 

どうやら再開発の反対運動みたいだ。

普通の女子高生なら、怖くて近寄らないような状況。

けれど、絶望の中をさまよっていた私の耳には

とても甘い言葉に聞こえた。

 

「反対したら…

 反対したら守れるの?私の秘密を…」

 

私はその甘い言葉につられるように、その集団の中に

歩き出した。

 

集団に近づくと、その中には見たことがあるような人も

ちらほら居た。知り合いという程ではないが

近所に住んでいる人だ。

 

「あの、す、すいません…」

 

たぶん近所の人?に話しかける。

その人は私を見ていぶかしがるように目を細める。

まあ、女子高生がこんな集団に声はかけないよね。

 

「あんた、学生さん?ここは遊び場じゃないんだ

 向こうに行きな」

 

「いえ、私、古谷と言います。

 3丁目のおじいちゃんの家に住むことになった」

 

「古谷って、もしかして源造さんの孫か?」

 

はいと答えると、その人はガシッと私の肩をつかんで

 

「そうか、あんたが、源造さんの孫か!

 源造さんの家は路線工事の要なんだ、

 今度、家を売らないように頼みに行くつもり

 だったんだ!」

 

その人は興奮気味に言ってきた。

 

「あんたがハンコを押さなきゃ

 この再開発も白紙になるはず。頼むお嬢ちゃん

 あそこの土地を奴らに渡さないでくれ!」

 

明け渡すも何も家が取り壊されて地下室が見つかったら

その時点でアウト。

登記に無い巨大地下室と60tのガソタム。

バレるわけにいかない私は再開発を許容できない。

 

「もちろんです!あの土地は渡しません。

 一緒にこの町を守りましょう!私も…

 私も協力します。」

 

私の言葉を聞いた反対運動の方々は、おお、と歓喜し

拍手も鳴りやまない。

 

私の平和な高校生ライフの為、私の平和な未来の為

ガソタムを隠し通すことに全力を尽くす!

 

今この瞬間、

ただの女子高生だった私は「ジャンヌ・ダルク」へと

変貌した。


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