第49話:行き過ぎた動物愛護あるいは月明りに照らされた人物
一通り、私を撫でまわし満足したのか
サキとチカはようやく落ち着いてくれた。
「ごめんなさいね、その薬副作用で
ケモ耳としっぽが生えてきちゃうの。
でも美容効果は抜群だし、耳としっぽは
2~3時間で消えるから安心してね」
「はぁ、」
美容効果、確かにお肌とかつやつやになったような
なってないような…
大体、高校生の私のお肌は、そこまでボロボロでは
ないので効果がいまいちわからない。
「サキとチカも飲めばいいじゃない、
害はないみたいよ」
「え~もう、うららで満足したからもういいや」
「そうね、ふわふわのしっぽ、ご馳走様」
こ、こいつらは…
「さあ、さあ、夕食の準備ができたみたいだから
ご飯にしましょう」
九条さんが、ほほ笑みながらリビングを指し示す。
テーブルの上には豪華な食事が並べられていて
サキも「わ~い」と言いながら走っていく
さんざん私のことを弄んでおいて
もう飽きたのね…
はぁ~
とため息をつきながら私もテーブルに向かったのだった
食事が終わり、九条さんがお風呂を勧めてくれた。
「うちのお風呂は大きいからみんな一緒に
入れるのでどうぞ」
九条さんに勧められるまま三人でお風呂に
入ることになったが、そこでサキたちの
動物愛護精神が爆上がりして
逆に私の精神は爆下がりしたことは省略しよう。
精神的に思い出すのもつらいです、はい…
就寝時間になり、それぞれ寝室へ
今日は肉体的にも精神的にも疲れたから
すぐに夢の国へ落ちるだろう、と思っていたのだが
妙に目が冴えてしまい、なかなか眠れなかった…
そういえばさっきからバロが大人しいな?
いま眠れなさそうだしちょうどいいかも。
「ねえバロ?さっきからしゃべらないけど
どうしたの?
ちょっと眠れないから話し相手になってよ」
「……」
あれ?スマホからバロの声が聞こえない?
クルーザーから降りたところでは
普通に話していたよね?
スマホを手に取り画面をのぞき込む
電気のついていない部屋でスマホの明かりが
私の顔を照らすだけだった。
う~ん?やっぱり電波が届いていないから
バロも通話できないのかな?
まあ仕方がない、ちょっと起きて
水でも一杯飲んでこようかしら。
私は起き上がり、スリッパを履いて部屋を出て
台所に向かおうとした。
しかし、見れば見るほど立派な洋館…お屋敷って
言うのかしら、
部屋を出ると長い廊下があり、その廊下には
大きい窓ガラスがずらりと、
今日は雲一つない夜空で、月の光が窓から
差し込んでいて電気をつけなくてもぜんぜん明るい。
なんて思いながら、足を進めていると
月明りに照らされた人影…
「九条さん、まだ起きていたんですか?」




