第45話:バカンスの余韻あるいは帰宅できない絶望
数時間のクルージングを体験し時刻は夕刻
バロの操船で、港の停船所へ戻ってきた。
俗にいうマリーナというらしい。
「なんか、途中からおかしなことになったけど
おおむね楽しかったわね」
バロの機転?で午後からクルージングを堪能することに
なったが、まあ、それはそれとして楽しい一日だった。
サキとチカも満足してくれたようだし、今回は
バロに感謝するか。
さすがに自宅方向に延びる河川などは無いので
船から降りてから公共交通で帰るしかなく
とりあえず着替えて荷物を整理した。
船が停止し、いざ荷物を持ったら肩にずしっとかかる
重量感
…忘れてた、パラソルとカメラを持って帰るんだった。
仕方ないので、何とか頑張って荷物を抱え下船する。
「うらら、荷物持つの手伝うよ」とチカが
言ってくれたので、パラソルだけお願いすることにした。
本当にありがたい…
さて、マリーナから近くのバス停留場に移動したのだが、
私たち三人は呆然としてしまった…
時刻表…バスの最終便が10分前に出てしまっていた…
つまり…明日の朝まで次のバスが来ない…
「どうする~うらら~、さすがに歩いて帰るのは
無理だよね~」
時計を見ると時刻は18時50分を過ぎていた、
仕方ない、お金はかかるけどタクシーを呼ぶしか…
「うらら、ここ圏外で電波はいらないよ?
タクシーとか呼べないかも…」
えっ?電波届かないの?
でも、バロは今もスマホにつながっているし…
そうだ!バロにタクシーを手配してもらえれば、
《レイ様、もしよろしければ、ガソタムでお迎えを…》
「却下!」
バロがまた、ガソタムを起動させる案を言ってきたので
速攻拒絶しておく。
「バロ、それよりもここにタクシーを呼んでよ!
どれぐらいで来る?」
《ここの地域は町から離れておりますので今から呼ぶと
2時間以上待つと思われますが、呼びますか?》
2時間…
よく見ると周りに街灯がない、すぐにでもここら一帯は
真っ暗になってしまうだろう。
その暗い中で2時間待つのは危険ではないだろうか…
歩くことも出来ず、タクシーもすぐに来ない。
私たちが困って途方に暮れている、その時
「こんばんは、こんな時間に
女の子たちだけでどうしましたか?」
その声は女性の声だった。
不審者などではなく本当に私たちを
心配しているような声色で私達に話しかけてきた。
「いえ、その…海水浴で遊びに来たのですけど
バスの最終便に乗り遅れてしまいまして…
タクシーを呼ぼうと思ったのですが…」
「まあ、それは大変ね、ここら辺は携帯の電波は
届かないからタクシー呼べないでしょ。
もしよろしければ、私の家がここの近くなので
家に来ませんか?家の電話を貸してあげるわ」
絶体絶命だと思っていた状況に光明が差した。
私達はこの女性の御厄介になることにして
お礼を言いつつ、女性の後に付いて行った。




