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起動させないしガソタム〜おじいちゃんが地下に残した遺産ーTrue Story~  作者: じょん-ドゥ


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32/60

第32話:疾風の逃走車あるいは暗黒への逃亡

「バ、バロ!もう少し速度落とせないの!」

 

猛スピードで走る車の助手席で、運転するバロに

私は懇願した。

 

安室さんの姿を投影したバロは、私を人質にしたように

警官の目を欺いた。

実際、ホログラムには触ることができないため

私がホログラムに合わせて動いたんだけど

何とかうまく騙せたようだ。

 

私の腕の中には、生まれて初めて感じる

現金の重さをずっしりと感じられるカバン。

それを持ったままバロと車に乗り込み

走り出したのはいいのだけど、バロ、スピード出しすぎ

だって!

 

「申し訳ありません、レイ様。

 しかし、このスピードでないと警察に追いつかれて

 しまいますので」

 

それはわかるけど、今私は命の危険を

ものすごい高レベルで感じてるんですけど!

きゃぁぁぁ、いま赤信号!

赤信号だったわよ!


なおも追跡してくるパトカー

その距離は全然離れない。

 

「レイ様、もう少し行きますと国道に出ます。

 そこに出れば2車線になりますので

 危険レベルは多少は下がるかと」

 

ちょいちょい、バロが説明してくれてるけど

あまりの恐怖に言葉を返すことができない。

 

そうこうしているうちに国道に入り、さらに

バロがスピードを上げる。

えっ、危険度が下がるんじゃなかったの?

もう。信号も交差点も全部無視して突き進むこの車。

しかし、警察もさすがにプロなのか後方にしっかりと

追従してくる。

すると、道の先に赤いランプの羅列があらわれた。

 

「まいりましたな、先の道は渋滞しているみたいです」

 

渋滞⁉、渋滞なんて、これじゃ警察にすぐ

追いつかれちゃうじゃない!

 

「バロ!渋滞ってどうする…きゃぁぁぁぁぁ!」

 

バロはいきなりハンドルを切り、車があまりいない

車線に移りって!こっち反対車線じゃない!

 

すごいスピードで進むこの車に対して対向車も

それなりの速度で向かってくるのだから

実質体感速度はその合計になる。

 

「バロ!前から光がぁぁ!ぶつかるぅぅぅ!」

 

向かってくる対向車を冷静にかわして進むこの車のドアに

甲高い衝撃音、ガキイィィ!

今の、今トラックだったよぉぉ、

少しかすったぁぁぁよぉぉぉ!

 

「失礼しましたレイ様

 少々計測データを見誤りました」

 

「ぎゃあぁぁぁ!おろして~。今すぐおろして~」

 

反対車線を進むこの車に対して警察のパトカーは

どうなってるの?少しは引き離した?

もう状況を理解することもできない⁉

 

気が付けば、いつの間にか国道を離れ

海沿いの道を疾走していた。

「わぁ、夜の海だ~月の光が海を照らして

綺麗だな~」

なんて現実逃避(本日2回目)をしていると

バロから絶望感Maxの言葉が

 

「レイ様、どうやらこの先で警察車両が

 道路を封鎖しているみたいです。

 逃走劇はここまでで限界と判断し

 最終段階に移行します」

 

最終段階?

次は何をするの?この恐怖以上のことが起こらなければ

それでいいのよってぎゃあぁぁぁぁぁ!

 

カーブに差し掛かったその時いきなり衝撃が私の

体を襲う。

そのあと、訪れる浮遊感、これって何が起きたの⁉

え⁉いまどうなってるの?どっちが上?下?

 

私とバロが乗ったこの車

ぎりぎりとらえた私の視界には

月の光が照らしてもまだ真っ黒な海が

猛スピードで迫ってくる様子が…

 

あっ、これ私…死ぬのね…


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