第24話:片田舎の大事件あるいは招かざる訪問者
ファン、ファン、ファン
外からけたたましいパトカーのサイレンが聞こえる。
「なにかあったのかな?」
例によって遊びに来ていたサキがつぶやく。
こんな田舎町でパトカーがサイレンを鳴らしているのは
確かに、すごく珍しい。
「テレビとかつけてみたら?」
今度はチカが提案してくる。
こんな田舎町で起こる事件とかニュースにはならないでしょ。
と思いつつテレビをつけてみた。
『たった今、入った情報です。本日午後〇時ごろ、
〇×町にある銀行に男が押し入り、現金を奪って逃走しました。
犯人は現在も逃走中とのことで、
警察が緊急配備を敷いて、行方を追っています』
うちの町じゃん…
こんな田舎町で銀行強盗が起こるなんてどういうこと!?
さっきからなっているパトカーのサイレンも
この事件が関係してるのか…
サキとチカも野次馬根性よろしく、
テレビに釘付けだけど…
っていうか、ちょっと待て、
パトカーのサイレンが家の近くで
止まるんだけどどういうこと?
「うらら~これ大変!これ見て!」
サキがテレビを指さし私を呼ぶ。
『あ、……いま、現地の映像が入りました!
画面に映っているのは、〇×町内の民家でしょうか。
犯人は現在、この民家に潜伏している模様です!』
…
ナニカミオボエノアルイエガウツッテル…
ってこれ私の家じゃない!
映像が上空からの絵に切り替わり家の全体が
映し出される。
家の周りパトカーだらけなんですけど…
玄関前の男が犯人か?
映像では犯人が玄関の扉を何度も蹴って侵入しようと
している。
しかし、犯人が何をやっても扉は破壊されない。
しまいには拳銃で撃ち抜こうと発砲もしたけれど
その弾丸すら跳ね返していた。
そこで私はふと思い出す。
確かバロが前に言っていた。
この家もガソタムと同じ特殊合金でできていると…
えっ!?それまずいじゃん、
テレビで映っちゃってるのよ?
普通の家じゃないってバレちゃうじゃない!?
その流れで、地下室とかガソタムとか…
おろおろしている私をよそにバロが冷静な言葉で
「ご安心くださいレイ様、この家は特殊金属製。
あのような悪漢ごときには侵入されません。
そのうち警察に逮捕されるかと思われます」
ちがう!違うのよバロ!犯人に立て籠もられる事を
心配してるんじゃなくて、地下室とか!ガソタムとか!
あっ!そうだこんな時の為のサポートAI執事がいるのよ!
私はバロに向かって若干パニック状態でお願いする。
「バロ! おねがっ、いぃから…! まず、い、がそ、
たむ、かく……してっ!」
「…」
なんで黙ってるのバロ!?ガソタムバレたら私逮捕されちゃうのよ!?
ホログラムで顎に手をやって何やら思案しているバロは
黙っていたが、数秒後
「あぁ!そういうことで御座いますね。
かしこまりました、全てこの私にお任せください」
私の命令を理解するのに時間がかかったのか、
数秒のラグを生じさせ、やっと理解してくれた。
はて?私ちゃんと命令したよね?
バロへ命令を伝え、再びテレビを見てみる。その瞬間
犯人が壊そうとした玄関が、「ガチャッ」と音を立てて
自動で開いた。
犯人はこれ幸いと家に侵入する様子が画面にははっきり
映っていた。
「何やってるのよ!バロ!
犯人を家に入れてどうするの!?」
まずい!まずい!犯人がこの居間に来ちゃう!?
どうすればいいの!?
きっと犯人は土足のままでドカドカとこの居間まで…
…来ないじゃん?
なんで?もう玄関から入って数分経ってるけど?
ってゆうか、この居間は玄関のすぐ横なんだけど?
もしかしたら、犯人は居間を通り過ぎて奥の部屋に
行っちゃった?
いや、それにしても足音が全然しなかったし…
それか、実はテレビに映っていたのは実は
私の家じゃなかった?
不気味なほどに静かな侵入に
私達三人は固唾をのんで廊下をにらんでいたまま
固まっていたのであった




