第19話:お風呂への案内もしくはセキュリティポリシー
湯あみ?ああ、お風呂の事か
確かにもうそろそろ入ってもいい時間かもしれない。
「じゃあ、お風呂入ろ、一人ずつしか入れないから
順番ね、サキかチカか先に入っていいよ!」
我が家のお風呂はそんなに広くない。
浴槽も、昔ながらの追い炊き式の古いタイプ。
シャワーすら付いてないのが辛いところ。
「いえ、レイ様、本日お客様をお迎えするために
バスルームを改装いたしました。
皆様ご一緒に入れます」
えっ?いつの間に?
昨日の夜入った時は狭くて古い浴槽だったけど?
「バロ、改装ってなに?私聞いてないんだけど?」
「はい、お客様に最高の時間をご提供するのが
私の使命で御座います。
レイ様が学校に行っている間に突貫で改装を
いたしました」
もう、勝手にこの執事は…
まあ、3人で入れるって事なら入りましょ。
「サキ、チカ、なんか一緒に入れるみたいだから
一緒に入りましょ」
「では、ご案内いたします。こちらへどうぞ」
バロの後に付いて行きいつものお風呂場へ3人で向かう
お風呂場の扉を開けると、なんてことでしょう…
昨日までは一人しか入れなかった脱衣場。
それがまるで銭湯の脱衣所のような広さに…っておい!
「バロ、何よこの広さ!前の脱衣所の何倍あるのよ!」
「はい、窮屈な思いをされてはいけないと思い
私頑張りました」
頑張りましたじゃなくて、こういうのは非常識って…
思ってるとすでにサキは裸になっていた。
「ちょっ!サキ、まだバロがいるのよ!何脱いでるの!」
「え~?でもバロってロボットでしょ?
じゃあ別にいいじゃん」
なんてあけすけな…
バロに性別はないかもしれないけど
ホログラム映像は執事なのに、男性なのに、
って、チカも早々と脱ぎだしている。
「チカ?チカもなの?」
「AIなんでしょ?別に気にしないけど?」
う~ん、そうなんだけど、そうなんだけど
2人が納得してるならいいのか?
って考えていても仕方がないので私も脱ぎ始める。
……
「ねえ、バロ、その赤い点灯は何?いつもそんなの
ついてなかったよね?」
バロの本体、球体の真ん中が赤く光っていた。
「さすがレイ様、よくお気づきで、これは
お客様へさらなるおもてなしをするために
データ収集をしているサインで御座います」
「データ収集ってなに?」
何やら不穏なワードがバロから出たので
さらに問い詰める。
「はい、動画データより、肌の状態、体格などを分析
それを元に浴衣や寝具を高速で作成いたします」
悪びれもなくしれっと言ってくるバロ。
私がわなわなと震えていると、
「レイ様、私の献身的なおもてなしを
そこまで感動して頂けるとは、私は光栄で御座います」
「ちがーーーう!、感動してるんじゃなくて怒ってるの!
世間ではそういう行為は盗撮って言うのよ!」
私のツッコミを聞いても、まだバロは、
「盗撮?はっはっはっ、ご冗談を、私は人間の男性では
御座いません。
そんな世間の男性みたいな俗なものと一緒にするなど
心外です」
このAI執事は、本当に…
どういう理由でも盗撮はダメって事を分かってないのか?
「だめ!絶対!録画は認めないから!
バロはこのお風呂場から出て行きなさい!」
出口を指さしバロに命令をする。
バロは「しかし…」と言ってくるが絶対にダメだ!
「出ていかないと、スクラップにして庭に埋めるわよ!」
と強く言ったところでバロは出口に
すごすごと移動していった。が…
扉を閉める際に、
「しかしレイ様、入浴のサポートはさせて頂きます。
音声でご案内いたしますので、その通りに
して頂きますようお願いします」
わかったからさっさと行け、しっ!しっ!
なんとかバロの魔の手から親友たちを
守ることが出来た。
この世界の平和は私が守る!
そう、固く誓うのであった。




