第10話:大量の土の行方あるいは私のスケジュール
くすんっ…
大泣きして少しはすっきりしたかもしれない。
「落ち着かれましたか?レイ様」
バロが無表情で聞いてくる。
少しは動揺しろよ、おい…
「私のことは「うらら」って呼んでよ…
バロ、大体こんな地下室とかガソタムとか
おじいちゃんはどうやって作ったのよ」
埋め戻しにトラック5万台ということは
掘り出した土も5万台のトラックを使って
搬出したということだ。
それこそ秘密裏に工事なんて、できないはずだ。
なんて考えていたらバロが静かに語りだす。
「はい、ご説明をします。まずこちらを…」
執事のホログラムに何やら図が投影される。
「まず最初に誤解を解かせていただきますが、
源造様は搬出という非効率な方法はとられません
地下を作るうえで出てきた土砂をそのまま
原料に使用したのです」
「土砂を原料に?」
「源造様が独自開発した分子再構成装置により
土を原子レベルに分解しそれを再構成することで
他に類を見ない特殊金属を作り出しました。
硬度、耐熱性の他に、超衝撃吸収性もあり
それでいて加工も容易といった金属です」
バロの横に投影された図には
土が機械を通り粒子に分解され金属に加工していくさまが
表示される。
原子に分解?再構成?
私には全然理解ができない。
図には金属板にビームかレーザーを照射している絵に
変わってバロがさらに説明しようとする。
「再構成の際に分子密度を調整し分子の電子レベルを…」
「ちょっと、もういい!わかったから、説明はもういいわ
っていうかガソタムって土で出来てるってこと?」
「はい、この土地の豊富なミネラルを含んだ土です。
源造様が愛したこの町の土がガソタムになったのです」
「へー…」
私は半ばあきらめた感じで相槌をうつ。
おじいちゃんの非常識な執念には驚いたけどね。
「じゃあ、バロ、土からできてるってことは
元の土に戻すとかできるんじゃないの?」
「はぁ、レイ様…」
執事のホログラムはあきれたように首を振る。
まるで、こんなことも分からないのか…という
そんな感じを受ける。うん、むかつく。
「分子再構成をした後に特殊な処理を施しております。
元の土に戻すには、作った時の20倍のエネルギーが
必要です。そのエネルギーは、ガソタムの出力と」
同じでございます」
つまり、無理ってことね…
当分は、隠し続けるしかないってことね。
「はい、それではレイ様
さっそく生活方面のサポートを開始いたします。
明日からのスケジュールをまとめました」
バロの横に、今度は予定表が表示される。
6時00分 起床および朝食
7時30分 登校
16時30分 帰宅
17時00分 シミュレーターによる戦闘訓練
19時00分 夕食
19時30分 入浴
20時00分 勉強
21時00分 自由時間
22時00分 就寝
「なに?これは?」
「明日のレイ様のスケジュールですが、なにか?」
「勝手に私の予定を決めないでよ…
それに戦闘訓練ってなに?」
「はい、ガソタムの操縦訓練でございます
ガソタムを相続されたのですから使えるように
なるため訓練をしていただきます」
そのバロのセリフを聞いて私は力なく
その場にうつぶしてしまった。
「別にガソタムを動かすつもりも予定もないんだけど」
抗議を上げる気力もなくなってきて、弱々しく反論した。
多分、バロは私が反対意見を出しても、
のらりくらりとかわして、理詰めで
私のことを囲い込んでくるのだろう。
「ご安心ください。はるか昔に
レイ様がシミュレーターを使用した記録がございます。
おそらく、すぐに操縦することができるかと」
…そういうことを言ってるんじゃないんだけど
それにそんなシミュレーターなんて
今までやったことなんて…と言おうと思ったところで
ふと幼いころの記憶がよみがえった。
おじいちゃんが私を膝の上に乗せ
変な操縦かんを私が動かして遊んでいた物、あれは…
画面の中のロボットが歩いて、跳び跳ねるたび
おじいちゃんは、手をたたいて喜んでいた…
「まさか、おじいちゃんとやったテレビゲーム?
あれってシミュレーターだったの?」
「はい、源造様が作成されましたガソタム操作
シミュレーターソフトでございます。
源造様はレイ様に英才教育を施されておりました」
おじいちゃん…
私はおじいちゃんが描いたシナリオに
しらずしらずに乗せられていたのか…
おじいちゃんの壮大な計画
そこに巻き込まれた私…
これが戦慄を覚えるってことなのね…
うらら:
「はい!というわけで
『起動させないしガソタム』第10話を
読んでくださって本当にありがとうございました!
司会進行の古谷うららです!」
作者:
(スッ……と、1枚目のメモを差し出す)
うらら:
「ん?10話記念の裏話ですか?
『まずこの作品について
どうゆう経緯で書き始めたのか』
……ほうほう、それは確かに気になりますね」
作者:
(ガサゴソ……と、次のメモを出す)
うらら:
「お、続きですね。
『まわりの友達から
「ガンダムみたいな作品を読みたいなぁ」
って言われて、なんとなくノリで
書いてみたんですよ』」
作者:
(すかさず次のメモを出す)
うらら:
「『そしたら意図せず評判が
めちゃくちゃ良くなっちゃって、
自分でもびっくりしているというか……
本当に嬉しい誤算なんですよね』」
作者:
(恥ずかしそうに、コクコクと深くうなずく)
うらら:
「いや、アイドルオーディションに応募した
女の子の定番コメントか!!!」
作者:
(ビクッ!!!としてメモで顔を隠す)
うらら:
「『友達に無理やり履歴書送られて〜』
みたいなノリでこんな大作書かないで
ください!
……ハァ。でも、そんなノリから始まった
この作品を10話まで支えてくださったのは、
間違いなく読者の皆様です!
本当に、本当にありがとうございます!」
作者:
(慌てて『ブックマークや評価、感想を
もらえると、恥ずかしいけどすごく
励みになります……!』と書いた紙を出す)
うらら:
「お、作者さんもこう言ってますので、
画面下のほうからポチッと応援して
もらえると、私もガソタムの起動阻止に
さらに熱が入ります!
11話からもどうぞよろしくお願いします!」
作者:
(物陰から手をパタパタ振る)
うらら:
「それでは、今回の司会進行はうららでした!
バイバイ!」




