燃料
「なんだ、ありゃ?」
不思議な集団がやって来ていた。
先頭には、大量の踊るネコ。
踊っていない武官。
踊る神官。
踊るウルス。
馬車の群れ。(補給部隊かな)
映像を見ると、パレードにしか見えない。
しかし、あれが、今回のクフィール王国軍らしい。
っいゆうか、ウルスすごい老けたな。
攻城兵器らしきものは見えない。
「なんで皆踊ってるんですか?」
「そりゃ魔法攻撃を防ぐためじゃろう」
ミカン(魔王)が言った。
どうやらMPを奪う『ふしぎなおどり』らしい。
「誰だ。ネコに、あんな踊り教えたのは」
「すまん、わらわじゃ……」 とミカン(魔王)。
「はぁ……」 思わず、ため息が出る。
「クフィール王国側の戦闘任せていいっすか?」
俺は、思わずミカン(魔王)に丸投げした。
「任せろ……。ナニワ、あとは頼むぞ」
ミカン(魔王)は、ナニワ(機甲師団長)に丸投げした。
なんだかなぁ……。
今回は全体を把握するため、
16分割のマルチ画面でモニタしている。
16画面共に、一瞬だけ白い閃光。
その直後、
16機の偵察ドローンからの映像が消えた。
ミカン(魔王)が聞く。
「今ので、かなりやられたかのぅ?」
「想定内や、問題あらへん」
ナニワ(機甲師団長)は、いちいち軽い反応だ。
「あの武官は、僧兵かもしれんのぅ」
「僧兵って教会の軍隊? どんな攻撃するんすか?」
「太陽の光を神術で収束させて貫く感じやな」
ソーラーレイって感じか。怖そうだ。
今回作った塀もぶち抜かれてしまうかもしれない。
「対策ってあるんすか?」
「太陽を隠すのがいいかのぅ」
「は?」
「要は物理的な大きな傘で覆うんや」
「ふむ」
「それか、後ろの馬車の群れを破壊することじゃ。
あれが燃料じゃからのぅ」
「え? 補給部隊じゃないの?」
「神術の燃料じゃ……。まぁ、今は知らん方がええじゃろ」
「この世界では『神術』に術者の魂以外使えない。
っていう「ウソ」がおススメですわぁ~。
さぁ、リピート アフター ミー?
この世界では『神術』に術者の魂以外使えない」
よくわからんが……
「この世界では『神術』に術者の魂以外使えない」
という「ウソ」をついた
ふっと世界が入れ替わるような感覚を覚えた。
初めて、世界という範囲を決めたウソをついた。
「これなら、いい?」
「よくできましたわぁ~」
ローラが、俺の頭をなでなでしてくる。
「これなら、敵の攻撃も弱くなるかのぅ」
「敵の神術が弱なって混乱し始めたようやな」
「ほな、片づけますわ」
ナニワ(機甲師団長)が関西弁の軽いノリで、動き始める。
ドローン群、第2群が一斉に動き出す。
多すぎて空が真っ黒になる。
「多過ぎでしょ」
「このくらいがいいのじゃよ」
敵軍が一掃されていく。
後ろの馬車の一群も……。
馬車から逃げようとする人々の姿も映っていた。
燃料と言われていた馬車には、
人がすし詰め状態で乗せられていたようだ。
すし詰めすぎて、ドアから人が出ようとしてるのに、
カンタンに出ることができない。
よく見ると、その人たちの手には枷が付けられていて、
馬車と鎖でつながれている。
馬車から逃げられないまま、
その人たちが、爆炎に飲まれていく。
武装はしていない。
どうみても一般人だ。
「ちょっと待て……あれ、ふつうの人たちじゃないのか?」
「違いますわぁ~。
あれは・ネ・ン・リョ・ウ。
信者を燃料として使ってるんですわぁ~」
「燃料じゃなくする『ウソ』をついたんだ。もう燃料じゃないだろ」
「どうして……それで燃えんようになるんや?」
ナニワ(機甲師団長)はローラと違って、俺の能力のことは知らないらしい。
「俺にも説明できない」
「やらんと、やられまっせ」
「……」
魔王に任せたのは俺だ。
だから、目をそらす資格はない。
「それに、やらんと、増えますわ」
「……」
まるで虫か何かのように思ってるんだろうか。
だが、戦場の映像を見せられた。
そこには、見たくない現実が待っていた。
エリナは、何も言わず静かに映像を見ていた。
ただ、その表情だけは、いつもと変わらなかった。
「いつもより少ないくらいですわぁ~」
「少ないって何人だよ……」
「いつもは信者は何千という単位ですわぁ~」
「今回は、ええとこ500人くらいやな」
「…………」
映像には、動かなくなった馬車と、倒れている人影が映っていた。
思わず吐いた。
これは、戦争だ。戦争だったんだ。
そう思うしかなかった。
「…………」
「まだ、終わってへんで」
機械なのに、笑っているように見えた。
--------------------------------------------
次回『回復する気なんですね』
--------------------------------------------
・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
--------------------------------------------
お読みいただき、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけましたら、
★や【ブックマーク】で応援していただけると、
今後の創作活動の励みになります。




