高くしろとは言ったけど
ザクッ……。
もう1本、防弾馬車を貫通してきた。
レスタが馬車を止めた。
ガチャリ……。馬車のドアが開く。
ライナが乗り込んで来た。
ん? あれ?
「もしかして、馬車を貫通させてきたのっておまえか?」
「あ~、うん」
なんだかバツが悪そうな……
「矢文を飛ばしたんだよ。だけど……」
「だけど?」
「矢だけ貫通して、文は道端にポトリと……」
「意味ないじゃん。3回もやる意味ないじゃん」
まったく、こいつときたら……
「きつく縛ったいけるかな?って思ったんだよ」
「殺されるかと思ったわ」
「エリナも乗ってるんだぞ」
「大丈夫だよ。ファリスしか狙ってないから」
なんだか、物騒なことを言いやがる。
まぁ、犯人がわかっただけでも良しとしよう。
さて、独立を決意したものの……
自分のいた国は、敵に早変わり。
攻めて来ることも確定している。
まずは防御を備えたい。
高い城壁、堀、丈夫な門あたりは必要か。
「ロドス領とララソ領を分厚くて矢が届かないくらい高い塀で囲む」
という「ウソ」をついてみた。
澄んだ音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
発動した。
リキャスト音も鳴った。
「ロドス領とララソ領を囲んだ塀で、道路に接する部分には頑丈な門がある」
という「ウソ」をついてみた。
澄んだ音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
発動した。
リキャスト音も鳴った。
問題はこれからだ。
代官と、旧ララソ領軍の司令官、エリナ親衛隊を集めた。
代官のほとんどは信者になっている。
どれだけ離反するのか。正直、頭が痛い。
集まった代官の前で言った。
「ロドス領とララソ領で、独立することにした。
今まで仕えてきた国は、
ラシド教団主導で戦争をはじめることにした。
俺は、それに反対し新たな国を作る」
「「「「おぉ!!」」」」
あれ? 意外に高評価?
「ラシド教団に改宗してるものも多いと思う。
もし、離反する意思があるなら……」
「「「「ありません!!」」」」
え? そなの? なんか拍子抜け。
「まずは、これまで仕えてきた国と、
クフィール王国が攻撃をしかけてくる可能性が高い」
「もしかして、あれは領主さまが?」
「あれ?」
あれとは?
今、タワマンの高層階で会議中なのだが、窓を指さした。
高層階からも「何か」が見えた。
「ん? なんじゃ、あれ!!」
山のようなものが見える。
しかし頂上は水平で繋がっている。
あれ? もしかして塀?
ロドス領の端まで、かなりの距離がある。
それでもハッキリ見えるということは、余程高そうだ。
15階建てのタワマン(領主館)よりデカいんじゃないか?
「高すぎだろ!」
いや、高くしてくれとは言ったけど……。
「早速、陽が当たらなくなったという苦情が……」
「まぁ……仕方ないな」
そこは、我慢してもらうしかない。
「司令官と親衛隊は、偵察部隊を派遣し敵の動向を捉えつつ、いつでも戦えるように」
「「はい!」」
その後、塀のところに向かった。
高い。
首が痛くなるまで見上げても、まだ頂上が見えない。
昇ってみた。
昇り始めて60分経過した──
まだ先は長そうだ。
少し一息いれて、続きを昇る。
昇り始めて120分経過した──
まだ先は長い。長すぎ。
下を見るとクラッとくる。すでにヤバい高さなんだが?
昇り始めて180分経過した──
やっと上までたどり着いた。
屋上部分は、両サイドが転落防止柵(防護柵)で囲まれている。
塀の幅は、かなり広い。2m以上はありそうだ。
カンタンにぶち抜かれることはないだろう。
石を投げるくらいならできそうだ。
だが、正確に矢を射るには少し乗り出さないと下が見えない。
下を見ると、立ち眩みしそうなくらい高い。
詳しい高さはわからないけど、T京スカイツリーより高いんじゃないか?
落ちれば、ふつうに死ねる。
命綱を設置しないと、危な過ぎて狙えない。
矢が届かない高さと指定したので、向こうの矢は届かないはず。
だけど塀の屋上から射る場合は、重力が味方するので、こっちの矢は届く。
上から攻撃できれば、一方的な戦闘ができるだろう。
さて、そろそろ下りるか。
下まで3時間くらいかかるしな。
「はぁ……」
塀を上って下りるだけで、ものすごい時間を浪費した。
いや、体力もだ。
気力もだ。
正直、へろへろだ。
領主館に戻ったころには、陽が沈みかけていた。
代官が集まっていた。
何かあったらしい。
「さっそく周辺の領や国から動きがありました」
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次回『例の奥の手』
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
※※ 本日は、この1話のみです ※※
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