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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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56/62

高くしろとは言ったけど

 ザクッ……。

 もう1本、防弾馬車を貫通してきた。

 レスタが馬車を止めた。

 ガチャリ……。馬車のドアが開く。

 ライナが乗り込んで来た。


 ん? あれ?

「もしかして、馬車を貫通させてきたのっておまえか?」

「あ~、うん」

 なんだかバツが悪そうな……


「矢文を飛ばしたんだよ。だけど……」

「だけど?」

「矢だけ貫通して、文は道端にポトリと……」

「意味ないじゃん。3回もやる意味ないじゃん」

 まったく、こいつときたら……


「きつく縛ったいけるかな?って思ったんだよ」

「殺されるかと思ったわ」


「エリナも乗ってるんだぞ」

「大丈夫だよ。ファリスしか狙ってないから」

 なんだか、物騒なことを言いやがる。

 まぁ、犯人がわかっただけでも良しとしよう。


 さて、独立を決意したものの……

 自分のいた国は、敵に早変わり。

 攻めて来ることも確定している。


 まずは防御を備えたい。

 高い城壁、堀、丈夫な門あたりは必要か。


「ロドス領とララソ領を分厚くて矢が届かないくらい高い塀で囲む」

 という「ウソ」をついてみた。

 澄んだ音が脳内に響いた。


 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。

 発動した。

 リキャスト音も鳴った。


「ロドス領とララソ領を囲んだ塀で、道路に接する部分には頑丈な門がある」

 という「ウソ」をついてみた。

 澄んだ音が脳内に響いた。


 空気が一瞬入れ替わる感覚がした。

 発動した。

 リキャスト音も鳴った。


 問題はこれからだ。

 代官と、旧ララソ領軍の司令官、エリナ親衛隊を集めた。

 代官のほとんどは信者になっている。

 どれだけ離反するのか。正直、頭が痛い。


 集まった代官の前で言った。

「ロドス領とララソ領で、独立することにした。

 今まで仕えてきた国は、

 ラシド教団主導で戦争をはじめることにした。

 俺は、それに反対し新たな国を作る」


「「「「おぉ!!」」」」

 あれ? 意外に高評価?


「ラシド教団に改宗してるものも多いと思う。

 もし、離反する意思があるなら……」


「「「「ありません!!」」」」

 え? そなの? なんか拍子抜け。


「まずは、これまで仕えてきた国と、

 クフィール王国が攻撃をしかけてくる可能性が高い」

「もしかして、あれは領主さまが?」

「あれ?」

 あれとは?

 今、タワマンの高層階で会議中なのだが、窓を指さした。

 高層階からも「何か」が見えた。


「ん? なんじゃ、あれ!!」

 山のようなものが見える。

 しかし頂上は水平で繋がっている。

 あれ? もしかして塀?


 ロドス領の端まで、かなりの距離がある。

 それでもハッキリ見えるということは、余程高そうだ。

 15階建てのタワマン(領主館)よりデカいんじゃないか?

「高すぎだろ!」

 いや、高くしてくれとは言ったけど……。


「早速、陽が当たらなくなったという苦情が……」

「まぁ……仕方ないな」

 そこは、我慢してもらうしかない。


「司令官と親衛隊は、偵察部隊を派遣し敵の動向を捉えつつ、いつでも戦えるように」

「「はい!」」


 その後、塀のところに向かった。

 高い。

 首が痛くなるまで見上げても、まだ頂上が見えない。


 昇ってみた。

 昇り始めて60分経過した──

 まだ先は長そうだ。

 少し一息いれて、続きを昇る。


 昇り始めて120分経過した──

 まだ先は長い。長すぎ。

 下を見るとクラッとくる。すでにヤバい高さなんだが?


 昇り始めて180分経過した──

 やっと上までたどり着いた。

 屋上部分は、両サイドが転落防止柵(防護柵)で囲まれている。

 塀の幅は、かなり広い。2m以上はありそうだ。

 カンタンにぶち抜かれることはないだろう。


 石を投げるくらいならできそうだ。

 だが、正確に矢を射るには少し乗り出さないと下が見えない。

 下を見ると、立ち眩みしそうなくらい高い。

 詳しい高さはわからないけど、T京スカイツリーより高いんじゃないか?

 落ちれば、ふつうに死ねる。

 命綱を設置しないと、危な過ぎて狙えない。

 矢が届かない高さと指定したので、向こうの矢は届かないはず。

 だけど塀の屋上から射る場合は、重力が味方するので、こっちの矢は届く。

 上から攻撃できれば、一方的な戦闘ができるだろう。


 さて、そろそろ下りるか。

 下まで3時間くらいかかるしな。

「はぁ……」


 塀を上って下りるだけで、ものすごい時間を浪費した。

 いや、体力もだ。

 気力もだ。

 正直、へろへろだ。


 領主館タワマンに戻ったころには、陽が沈みかけていた。


 代官が集まっていた。

 何かあったらしい。

「さっそく周辺の領や国から動きがありました」

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 次回『例の奥の手』

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

※※ 本日は、この1話のみです ※※

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