軍議か、処刑か
教会完成披露回の際、王様からの手紙が、
神官経由で渡された時点で嫌な予感はしていた。
また今回も、ミミレ神官から手紙を渡されてしまった。
なんで、王様から命令が教団経由で来るんだ?
教会が完成した時に続いて2回目ともなると、
うちの国の王様はラシド教団と深いつながりがあると、
思わずにはいられない。
王様からの手紙は……
──戦争を始めるので兵隊を出すこと──
──軍議を行うので王城に登城すること──
──なお、欠席は反逆とみなし粛清する──
怖っ……最後の1行は何?。
教団と繋がりが深い王様が戦争を始めるということは、相手は魔王領かもしれない。
現代兵器に剣と魔法で通用するとは思えないのだが。
戦いたくない相手だな。
うちの兵力は…
・旧ララソ領から受け継いだ領軍:3000人ほど
・ロドス領で代官が集めた衛兵:500人ほど
・エリナ親衛隊:80人ほど
領民からの徴集兵は反旗をひるがえしそうで怖いから集めない。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
とりあえず……
領軍の指揮官と、代官(衛兵を統括)、エリナ親衛隊に集まってもらい、事情を説明した。
「うちの国の王様が戦争をはじめるから兵を出せと言ってきた」
「えぇ? 相手はどこですか?」
「まだわからん。王命には、そこまで書いてないんだ」
ざわつきだす代官たち。
相手は魔王軍かもしれないが、憶測では話せないしな。
「何にせよ、戦争の準備を始めておいて欲しい」
「その辺は大丈夫です。常に準備してます」
そう応えたのは、旧ララソ領の領軍の指揮官。
予想外の答えだったので、ビックリした。
「頼もしいけど、なんでそんな準備を?」
「この前、隣国のクフィール王国に攻められたばかりじゃないですか?」
「あぁ、そういえばララソ領経由で進軍してきたんだっけ」
「はい、ですから次に備えておりました。
武具や防具もオリハルコン製のものに変えています」
なるほど、うちの領になったことで、オリハルコン製の装備品が安く入手できるようになっていたか。
「領軍5000名、いつでも動けます」
え? 3000人ほどだったはずじゃ?
「増えたんだ」
「はい、もちろん増やしました」
今回は助かったけど、平時に勝手に軍備を増やされても困るんだが。
「馬とか、荷車とかは大丈夫?」
「はい、全員騎兵です」
歩兵はいないのか?。それは、それで大丈夫なの?
「戦車も装備させてます」
「戦車? キャタピラとかついてるヤツ?」
「キャタピラ? というのはわかりませんが……。
領主様の防弾馬車を参考にした戦闘用馬車です。
オリハルコンで防護した2輪の馬車に御者と兵が乗り、
馬2頭で引っ張り、
高速で移動します。
槍や弓で攻撃して、敵兵を蹂躙できます」
いつの間に作ってたんだ。
話を聞く限り、チャリオットっていうやつかな。
日本人だったころ、海外の白黒映画で見た気がする。
ていうか、金がかかってそうで怖いんだけど。
そんな不安はさておき、今はその戦力がありがたい。
「ありがとう。助かるよ」
「まだ、どうなるかわからない。
だけど、他の者も準備はしておいて欲しい」
「承知しました」
「詳細は王様と会って、諸侯たちと相談の上で決めてくる」
こうして、代官、指揮官、親衛隊との話を終え、俺は王城に向かう準備を始めた。
領軍は、それなりの恰好はつきそうだが、戦争相手が魔王領なら俺は戦うつもりはない。
その時は、できる限り出兵は渋るつもりだ。
まだ、魔王領と戦うと決まったわけではない。
招集されている以上、王城に行くしかない。
粛清されるわけにはいかないからな。
あれ? こういう時、どんな格好で王城に行けばいいんだっけ?
執事に聞きたいところだが、ヤツは離反してしまった。
軍服?
鎧?
鎧だろうな。剣と魔法の世界だし。
今回は軍議をしにいくのだと思ってるし。
そういうの持ってないんだが?
いや、待て……
何かあった気がする。
確かダンジョンのボスを倒して、装備一式が出てきてた。
俺は、この前ダンジョンで手に入れた装備品を着てみた。
うん、一応鎧っぽい感じがする。これでいいかな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
馬車のところまで向かうと、エリナが馬車の前で待っていた。
まぁ、そうだろうと思ったよ。
さらに、予想外のヤツらも待ち構えていた。
幼馴染のライナとレスタだ。
俺は、エリナを自分の方に引き寄せると、幼馴染と距離を取った。
……嫌な予感しかしない。
もしかして、ウルスもいるのかもしれない。
また、先日のバトルの再来なのか。
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次回『ファリスはファリスだよ』
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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・
※※ 本日は、この1話のみです ※※
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