石ころに負けた(改訂版)
第1話の構成を入れ替えたので、必然的に、第5話にも修正が生じました。
既に読んで下さった方、すみません。
新しい家族ができた。名前はエリナ。
領地視察中に、道端で死にかけていたので拾ってしまった。
母親の形見だというペンダント以外は、なにもかもボロボロだった。
服や靴を買ってあげたい。
でも、領主が自由に使える金がない。
借金返済の期限も近い。
とりあえず、当座の資金を作る必要がある。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
しかし、俺には秘策があった。
俺は再び《フェイク》を使おうと思っている。
道端に落ちているゴミを拾った。
「これ、全部、金!」
という「ウソ」をついてみた。
どうよ!
これぞ、一攫千「金」ってヤツだ。
その時、ブブーという音が脳内に響いた。
現実は変わらない。
発動しない。
そういえば、領主と対決した時に聞いたあの音を、まだ聞いていなかった。
よくわからないけど、あの音を「リキャスト音」と名付けることにしよう。
もしかして、あれが聞こえるまで使えないのか?
・ ・ ・ 3日後 ・ ・ ・
待っていた「リキャスト音」が脳内に流れた。
これで、またスキルが使えるらしい。
「これ、全部、金!」
という「ウソ」をついてみた。
澄んだ音が脳内に響いた。
空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
発動した。
やはりリキャスト音で間違いないようだ。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
エリナが赤く光る石を取り出した。
「これ、複製できる?」
「こういうの好きなの?」
「うん」
「これ、全部、この赤く光る石!」と「ウソ」をつく。
ブブーという音が脳内に響く。
リキャスト待ちか。
・ ・ ・ 数時間後 ・ ・ ・
リキャスト音が脳内に流れたので、
「これ、全部、この赤く光る石!」
と「ウソ」をつく。
澄んだ音が脳内に響き、空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
やはり発動した。
もしかすると、「ウソ」の内容によってリキャスト時間が違うのかもしれない。
少なくとも今回は数時間で使えるようになった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そういえば、エリナはなんでこの石を欲しがったのだろう。
珍しい石だとは思う。
でも、宝石の知識なんてない。
光るキレイなものが好きなのかな。
そういうところは、やっぱり女の子っぽい気もする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
何はともあれ、金を売りに市場に行った。
「ちっ、ファリス・ロドスか!」
店主が嫌そうな顔で俺を見る。
ほかの店主も同じ反応だ。
「あんたと取引なんてできないよ」
「帰った、帰った」
エリナが上目遣いで店主の手を握る。
「お願い……」
店主がエリナの胸元を見て、ハッと態度を変えた。
その時、エリナの胸元で何か光った気がした。
何だよ。女の子には甘いタイプなのか?
やっと商談ができるようになった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
金は安かった。
とても安かった。
この辺では金がザクザク採れるらしい。
マジか。
それとも、俺が相手だからそう言っているのか。
エリナがこっそり石を見せる。
「い、今のは……」
「こ、これは……」
(まさか、伝説の……?)
商人がすごい勢いで食いついてきた。
金の100倍を提示してきた。
「イヤ……」
エリナが首を振る
今度は1000倍。
「イヤ……」
エリナが首を振る
8000倍で……
「それなら、いいよ。1個だけなら……」
「まだ、お持ちなんですか?」
「うん」
エリナが石を次々と取り出して見せる。
商人の目が点になっていく。
「さらに10倍なら考えてもいい」
「わかりました……」
つくづく女の子に甘いヤツだな。
エリナがポケットへ入れていた小さな石が、とんでもない金額になった。
でも、これで少しは領地経営が楽になるか。
◇ ◇ ◇ 翌日 ◇ ◇ ◇
オリハルコンという鉱石が、手に入ったらしい。
今、オークションが始まってる。
見てみると、昨日の赤い石だった。
売った値段より高くなってるぅ……
これ、そんなに希少なの?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
エリナがポケットから例の石を取り出して言う。
「また、作ってね……」
「おう!」
エリナは満足そうだった。
やっぱり光るキレイなものが好きなんだろうな。
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