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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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48/62

聖なるおどり

 領内に教会が建ったら、神官を通じて魔王領と通じてるってバレそうで怖い。

 そんな事態に備えて、俺も瞬間移動とか覚えたい。


 もしかして、賢者というくらいだから、そういうの覚えてないかな?

 記憶を探ってみると、

 あるじゃん。ファリス覚えてるじゃん、瞬間移動。


 さっそく使ってみる。

 おぉ、いいね。

 瞬間移動の魔法はMPを消費することがわかった。

 まぁ、魔法だもんな。


 あれ? 記憶にあるってことは、あいつも使えるのかな?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 そんなことをしていたら、脳内にリキャスト音が響いた。

 また「ウソ」をつける状態になった。


「『神術』では俺の『魂を燃やせない』」という「ウソ」をついた。

 澄んだ音が脳内に響き、空気が一瞬入れ替わる感覚がした。

 無事に「ウソ」が発動したようだ。


「あら、そうきたんですのねぇ~」

 またローラがぬっと現れた。


「今度はどうよ?」

「なんだか惜しいですわぁ~」

「え?」

「わたくしと一緒に永遠の命を得ることを期待してたのですわぁ~」

「それは、ごめんだね」


「ところで『ふしぎなおどり』の対策してないですわぁ~」

「瞬間移動使えなくなってもいいんですのぉ~」

「くっ、またしても……」

 つくづく俺は詰めが甘いらしい。


 そういう話をしていたら、また事件が起こった。

 代官が駆け込んできた。

「大変です。領内のネコたちがおどりはじめました」

「え?」

 それは、それでかわいい気がするが。


「何が問題なの?」

「それを見た領民が次々と倒れています」

 えぇ!?

「報告ありがとう。ちょっと対策考えてみるよ」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 代官が帰ったあと、ローラに目を向けた。

「『ふしぎなおどり』ですわぁ~」

「マジか……」


 水害の時にMP切れを体験した。

 頭がクラッときて。

 目がかすんで。

 指先が震えて。

 ヘタヘタとその場に座り込んだ。

 ……そんな感じだった。


 何もできなくなるな。

 うん、やばい。

 やばすぎ。


 そんなことを考えてたら、脳内にリキャスト音が響いた。

 また「ウソ」をつける状態になった。


「『おどり』では『MPを減らせない』」という「ウソ」をついた。

 澄んだ音が脳内に響き、空気が一瞬入れ替わる感覚がした。

 無事に「ウソ」が発動したようだ。


 ・ ・ ・ 数日後 ・ ・ ・


代官の報告を聞いていた。

「おどるネコを見ても倒れる者がいなくなり、人気になっています」

 だよね~。

「ネコの売り上げが急増中です」

 愛玩用かな? ネコブーム来ちゃったみたいな?


「そういえば、今までもネコって出荷してたよね? どこに売ってたの?」

「クフィール王国です」

「へぇ」

 ん?


「ララソ領から、大量のネズミが隣国のクフィール王国に流れていったことがありまして……」

 そういえば、うちの領でもネズミが増えたことがあったな。

 あの時に、代官がネコで対策して、

 それ以来、うちではネコが増えすぎちゃったんだよな。


「それ以来、王国の商人にネコが売れてました」

 あのネズミ、結局なんで増えたんだろう?

 まぁ、いいか。


「でも、今回の急増は新たな顧客ができた影響だと思います」

「新たな買い手はどこなの?」

「ラシド教団です」

 ん? 教団?

 あまりにも不自然では?


「教団がネコの『ふしぎなおどり』を『聖なるおどり』と認定したそうで」

「なんだそりゃ……」

「ラシド教団からは、王国の商会より5倍の取引量でネコが売れてます」

 なんか嫌な気がした。

 だけど、何が問題なのか思いつかなかったし、儲かってるんだからいいよねと思うことにした。

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 次回『魔王がやってきた』

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※※ 次回 7/16 21:00 公開 ※※

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