聖なるおどり
領内に教会が建ったら、神官を通じて魔王領と通じてるってバレそうで怖い。
そんな事態に備えて、俺も瞬間移動とか覚えたい。
もしかして、賢者というくらいだから、そういうの覚えてないかな?
記憶を探ってみると、
あるじゃん。ファリス覚えてるじゃん、瞬間移動。
さっそく使ってみる。
おぉ、いいね。
瞬間移動の魔法はMPを消費することがわかった。
まぁ、魔法だもんな。
あれ? 記憶にあるってことは、あいつも使えるのかな?
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そんなことをしていたら、脳内にリキャスト音が響いた。
また「ウソ」をつける状態になった。
「『神術』では俺の『魂を燃やせない』」という「ウソ」をついた。
澄んだ音が脳内に響き、空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
無事に「ウソ」が発動したようだ。
「あら、そうきたんですのねぇ~」
またローラがぬっと現れた。
「今度はどうよ?」
「なんだか惜しいですわぁ~」
「え?」
「わたくしと一緒に永遠の命を得ることを期待してたのですわぁ~」
「それは、ごめんだね」
「ところで『ふしぎなおどり』の対策してないですわぁ~」
「瞬間移動使えなくなってもいいんですのぉ~」
「くっ、またしても……」
つくづく俺は詰めが甘いらしい。
そういう話をしていたら、また事件が起こった。
代官が駆け込んできた。
「大変です。領内のネコたちがおどりはじめました」
「え?」
それは、それでかわいい気がするが。
「何が問題なの?」
「それを見た領民が次々と倒れています」
えぇ!?
「報告ありがとう。ちょっと対策考えてみるよ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
代官が帰ったあと、ローラに目を向けた。
「『ふしぎなおどり』ですわぁ~」
「マジか……」
水害の時にMP切れを体験した。
頭がクラッときて。
目がかすんで。
指先が震えて。
ヘタヘタとその場に座り込んだ。
……そんな感じだった。
何もできなくなるな。
うん、やばい。
やばすぎ。
そんなことを考えてたら、脳内にリキャスト音が響いた。
また「ウソ」をつける状態になった。
「『おどり』では『MPを減らせない』」という「ウソ」をついた。
澄んだ音が脳内に響き、空気が一瞬入れ替わる感覚がした。
無事に「ウソ」が発動したようだ。
・ ・ ・ 数日後 ・ ・ ・
代官の報告を聞いていた。
「おどるネコを見ても倒れる者がいなくなり、人気になっています」
だよね~。
「ネコの売り上げが急増中です」
愛玩用かな? ネコブーム来ちゃったみたいな?
「そういえば、今までもネコって出荷してたよね? どこに売ってたの?」
「クフィール王国です」
「へぇ」
ん?
「ララソ領から、大量のネズミが隣国のクフィール王国に流れていったことがありまして……」
そういえば、うちの領でもネズミが増えたことがあったな。
あの時に、代官がネコで対策して、
それ以来、うちではネコが増えすぎちゃったんだよな。
「それ以来、王国の商人にネコが売れてました」
あのネズミ、結局なんで増えたんだろう?
まぁ、いいか。
「でも、今回の急増は新たな顧客ができた影響だと思います」
「新たな買い手はどこなの?」
「ラシド教団です」
ん? 教団?
あまりにも不自然では?
「教団がネコの『ふしぎなおどり』を『聖なるおどり』と認定したそうで」
「なんだそりゃ……」
「ラシド教団からは、王国の商会より5倍の取引量でネコが売れてます」
なんか嫌な気がした。
だけど、何が問題なのか思いつかなかったし、儲かってるんだからいいよねと思うことにした。
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次回『魔王がやってきた』
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※※ 次回 7/16 21:00 公開 ※※
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