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【完結済】ウソつき賢者の領地再建 続編を新作として準備中  作者: 秋月心文


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晴れ 時々 ねこ

「最近、通信網が被害を受けております」

 代官たちから新たな問題が発生したという報告を聞いていた。


「通信網? そんなのあったの?」

「はい、伝書鳩によるものなのですが……

 鳩が喰われるという被害が多発しています。

 それにより遠隔地からの通信が途絶えています」

 鳩が喰われる?。新たな魔物の仕業か?


「原因はわかってるの?」

「ネコです」

「は?」

「ネコって空を飛べるじゃないですか」

 何言ってんだ、この人。


「え? ネコって空を飛ぶ生き物だっけ?」

「当たり前じゃないですか。何、言ってるんです?」

 え? 

 なんで?

 俺がおかしいの? 


 代官との打ち合わせなのに、当然のように同席しているエリナが口を開いた。

「ファリス言ってた……」

「ん?」

「『ネコは空を飛べる』って……」

「え? そんなこと言った?」

「うん」


 ……。あれか?

 《フェイク》が戻ったことを確認するために

 テキトーについた「ウソ」か!?


 う~ん、俺のせいらしい。

 でも、通信網の被害は困るな。


「ネコはハトを襲わない」という「ウソ」をついた。

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 成功した。

 リキャスト音も鳴った。


「しばらく様子見してみて!」

 と代官たちに伝えた。


 これにて、一件落着と思っていたら……

「それから、さらに……」

「まだあるの?」

「もしかして、空飛ぶネコによる問題?」

「はい」

 しまったぁ~。「ウソ」つくの早すぎたか!?


「ひとことで言えば、ネコほいほいです」

「は?」

 ちょっと要約しすぎじゃね?

 意味わかんないんだけど。


「ネコほいほい?」

「最近、教会の荷馬車が、そう呼ばれています」

「空を飛んでたネコが、馬車めがけて降りてくるそうです」

 教会の荷馬車の被害が今まで以上に増えているそうだ。


「箱に入れたんだよね?」

「はい、箱に入れたのですが……」

「うん」

「時々、箱の上で粗相をしてしまうネコもいるらしく……」

「えぇ!?」

 箱はいわゆる木箱で防水にはなってないらしい。


「ビニル袋にいれられない?」

「ビニル……? なんですか、それ?」

 そうか。この世界にはビニル袋がないのか。


「何かで防水できないのか?」

「金属製の箱に入れればなんとか。でも……」

「ん? もしかしてお金か?」

「はい」

 まぁ、そうだよな。

 荷馬車に乗せるような荷物だもんな。

 結構、大きなものなのだろう。


「それじゃ、うちの領を通過する馬車に限り貸し出すことにしよう」


「おぉ……」 代官たちが、そう言って俺を取り囲む。

「いつごろできます?」

「どこで貸し出します?」

 思い付きで言っただけなので、そこまで考えてなかった。


「ちょっと職人さんに相談してみるよ」

 エリナ様にも相談が必要だ。

 チラッとエリナを見る。


「うん、大丈夫」

 さすがエリナ様。

 お金の話もアイコンタクトだけで通る。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「ネコの粗相対策ですか」

「うん」

「教会の馬車が狙われてるらしいんだ」

「なるほど、匂いが漏れないようにするんですね」

 え? 粗相を防ぐつもりだったんだが……


「ネコたちがなんでおかしくなるか知ってるの?」

「えぇ」

 なんてこった。ここによく知る人がいたのか。


「ナツウメの匂いは微量でもネコの嗅覚を刺激しますので……」


 エリナが横で、俺の服の裾を引っ張る。

「ナツウメは、マタタビとも呼ばれてる植物」

「マタタビ!」

 だから、過剰に反応しちゃうのか……。

 あ……。だからモテモテだったのか、ドドソソさん。

 信者がぶら下げてる飾りにネコが反応してたのね。

 いろいろと謎が解けた。

 魔王がかじってしまったこと以外は……。


 それから職人さんたちと匂いが漏れない密閉容器の開発について話しあった。

「いつごろ出来そう?

 あまり引っ張ると教会が何かして来そうで」


「そうですね。ところで何個必要なんですか?」

「え~と、まずは20個くらいから」

 根拠はない。とりあえず、順次増やしていこう。


「それなら5日ほど待ってください」

「もしくはでき次第、1個でも納入していきますか?」

「あ、そっちの方がいい」

 ガラスで作ることになった。

 ゴムは馬車のタイヤを作るときにあったので問題なさそう。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 次は、箱を貸し出し、回収する場所を決めなくては……

 地図を広げる。

 うちの領内を通る道路で、他領に通じる箇所は2箇所だけか。

 これなら、そこにレンタルスポットを作ればいいか。

 早速、そこを監督している代官を呼んだ。


「こことここに、

 今作成中の大きな密閉箱を

 貸し出し、回収する場所を作って欲しい。

 貸し出す際に『保証金』という名目で大きくお金を預かって、

 返却したら返す感じで。

 そうしないと箱が持ってかれちゃうから……」


「貸出量は取らないんですか?」

「う~ん、取りたいけど。

 箱が返ってこなくなるのも困るので、

 箱が確実に返ってくるなら価格は任せるよ」

「承知しました」

 これで空飛ぶネコ問題は解決かな?


 そう思っていたら、空から何か落ちてきた。

 ガリッ……。

「痛っ!」

 思いっきり引っかかれた。

 ネコだ。

 う~ん、こんな風にいつでもどこでも、落ちてくる問題があったか。


 その対応は、後日検討かな……。


「うわ、また!」

 ガリッ……。

「あ痛っ!」

 あまり放置できないようだ。

 どこかの国が、ドローン対策で道の上にネットを張ってたけど。

 あんな感じのを検討しないといけないかもなぁ……。


 結局この後、職人さんとエリナに道の上にネットを張ることについて相談した。

 また、借金が増えていくなぁ。


 これで、片付いたと思ったら……


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「今度は、肉屋と農家から苦情が出ています」

「何が原因」

「空飛ぶネコです」

 また、ネコか……。


「もしかして、肉屋と農家ってナツウメ使ってるの?」

「いえ、肉屋は店頭で肉を吊っていますし、農家は作物を保存のために干しているです」

「あぁ、それをネコが食べちゃうのね」

 今までは高いとこに吊れば大丈夫だったけど、

 飛べるようになったから、食べ放題か。


「特に肉屋が深刻です」

 素直にネコは飛ばないとかって「ウソ」にすべきだったか。


「どうします?」

「魚屋は大丈夫なの?」

「魚? 生きたまま売ってますよ?」

「あぁ、なるほど。水槽の中にいるのね」

 さすがに、それなら食べられることはないか。


「たまに水槽にネコが落ちることはあるらしいですが」

「落ちるんだ」

「魚に被害は出てないようです」

 なら、安心。


「魚の干物とかは?」

「臭すぎて近づかないらしいです」

「なるほど」

 ネコは人より匂いには敏感って聞いたことがある。


 対策すべきは吊ってる肉や、野菜。

 カンタンそうなのはネットで覆うくらいだけど。

……ということで、俺は代官にネットの提供をお願いした。


 チラッとエリナを見る。

「うん、問題ない」

 さすがエリナ様。

 今回もアイコンタクトだけで通る。


 そういえば、なんでネコが飛べるなんて「ウソ」ついたんだっけ?

 確か「ウソ」が使えなくなって……。

 なんで「ウソ」が使えないって気づいたんだっけ?


 何か重要なことを忘れているような……


 そうだ、領民が減り続けてるんだった。

 教会巡礼者が帰って来なかったんだ。

 そっちも、なんとかしないと……。

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 次回『勇者ウルスの腕がもげた』

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

※※ 本日は、この1話のみです ※※

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