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【完結済】ウソつき賢者の領地再建  作者: 秋月心文


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ネコは空を飛べる

「ポテチ、ポテチ……」

 最近、ポテチの禁断症状がはじまりました。

 ローラがポテチとコーラの供給をやめてしまったのです。

 あぁぁぁ……

 ポテチ、ポテチィ……


 ローラは、俺の言うことは、基本的に聞きません。

 ネコみたいに気まぐれなヤツです。

 俺は、もう一生、ポテチと出会うことができないのでしょうか?


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「最近、教会のユニットに新メンバーが加入したそうです」

 例のアイドルユニットか。


「うちの領の出身者らしいって、大騒ぎですよ」

「うちの領でも、グッズが売られてるんですよ」

「へぇ、王国の人間以外も、参加してるんだ」

 同じ出身地のアイドルがいれば人気も出るか。


「『かわいい』系の新キャラだそうです」

「とても『かわいい』ので、男性にも人気があるそうです」

「へぇ……」

 男の娘って、ヤツかな……!?


「名前は……勇者ウルス……!?」

 ブホッ……。飲みかけていたお茶を吹いた。


「えっ!?」

 えぇ、忘れるはず、ありません。

 あいつです。

 俺を殺そうとした、あいつです。


 そういえば……

 俺があの体にいたころ、

 幼馴染に「かわいい」って言われてたっけ!?


 それにしても……。

 男にも人気?


「キレッキレのダンスを披露してるそうです」

 あいつ、そんな特技あったん?

 いや、それより、ダンスができるってことは!?

 手足戻ったんか~い。


 やばくない?

 やばいよね!?

 めちゃくちゃ、やばいよね!!


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 代官が帰った後、ひとりつぶやきます……

「それにしても、何で歌とダンス……?」


「ゲームとかでも、よく見ると思いますわぁ~」

「ん? どんな?」



  ウルスが、あらわれた。


  ウルスは、ふしぎなおどりを、おどった。


  MPがなくなった。


 --------------------------------------

 ▼コマンド

  にげる

  たたかう

  しんだふり



「……みたいな? そういうの基本ですわぁ~?」

 基本って……

 それにしても……

 キレッキレのダンスって、ふしぎなおどりのことかぁ~い。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 うちの領内でも売られているので、

 勇者ウルスグッズをよく目にするようになった。


 でも、よく見ると……

「誰? これ?」

 少しだけ、面影はあるけど、結構別人だ。

 いや、まるっきり別人とも言う。

 男の俺が見ても、かわいいと思える。

 そういう感じに、改変されている。


 それとも、手足復活ついでに、整形もした?


 でも、見てると、かわいいな……。

 なんか推せるな……。

 じゃなくて……。


 ホントにあのウルスか!?


「あら?『ばえる』ように修正するのは基本ですわぁ~」

「えぇ?」

 そういうのアリなん?


 そういえば、聞いたことがある。

 絵画に変わって、写真が出回り始めた頃、

 写真を絵画のように修正することがあったという話を……


 修正って、どっち?

 グッズ?

 整形?


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 最近のローラは、

 野菜カレーや肉じゃが、八宝菜に加え、

 定食ものを持って来てくれる。

 なんか、野菜が多い気がする。


 だけど……

 だけど……


「ポテチ、ポテチィ……」

 あの、パリパリ……が、恋しい……。

「いい加減、あきらめるのですわぁ~」

「禁断症状なんだよ……」

「ガマンすれば、いいのですわぁ~」

 ひどい。

 人ごとみたいに……。人ごとだけど……。

 俺の心の支えだったのに……。


 そんなことを考えていると……

 脳内に聞き慣れた音が響いた。

「ん?」

 リキャスト音だ。

 久しぶりに聞いた気がする。

 そういえば最近聞いてなかったな……

 純粋にリキャスト待ちだったのかなぁ。


「何かありましたのぉ~?」

「いや……」


 試しに、どうでもいい「ウソ」をついてみる。

「ネコは空を飛べる」

 澄んだ不思議な音が脳内に響いた。

 成功した。

「戻ったぁぁぁぁ!」


「何がですのぉ~?」

「《フェイク》だよ!」

「おめでとうございますわぁ~」


「でも、確認用の『ウソ』が、

 なんでそれなのか、理解できないですわぁ~」

「え?」

 俺、何て「ウソ」をついたっけ?


 《フェイク》が戻ったことに興奮して、

 正直、それどころじゃなかった。

 テキトーすぎて、覚えてないんだが……。


 ともあれ《フェイク》は戻った。

 原因は、結局わからないままだ。


 ただ――

 最近、体も少し軽い。

 眠気も減った。

 疲れにくくなった。


「やっぱり休養かな?」

「わたくしは、知らないですわぁ~」

 ローラがなぜか目をそらした。

 気のせいだろう。


 たぶん。

 俺はまだ気づいていなかった。

 テキトーについた「ウソ」が、

 また、問題を発生させることを……

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 次回『晴れ 時々 ねこ』

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・・ 次回 毎日 20:00 公開 ・・

※※ 本日は、この1話のみです ※※

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